「企業は人なり」を否定する「成果主義」「業績主義」の賃金体系。

「給与、賞与は年齢や在籍年数にかかわらず、職責や業績を適切に反映する体系にする」――。毎日新聞が主要企業126社に対して実施したアンケートの回答で、ある証券大手はこう断言した。年功賃金を「既に見直した」「今後見直す予定」と答えた企業は5割。正社員と非正規社員との間の格差是正を目指す同一労働同一賃金の来月からのスタートで、賃金を仕事の成果で決める「成果主義」や仕事の内容で決める「職務給」に切り替えようとする動きが目立つ。
 物流大手の日本通運は同一労働同一賃金の開始をにらみ、勤続年数で賃金を上げる仕組みを廃止した。代わりに職務内容や能力、成果に基づき決める。同社は廃止について「従業員のモチベーション向上」と、法改正による制度開始への対応を理由とした。旅行大手JTBの「年齢の定期昇給は26歳まで」という回答もあった。
 成果主義を強く打ち出す企業も。繊維大手の帝人は既に成果主義を導入済みとし、営業部門では「個人の営業達成の度合いを給与に反映させる」と回答した>(以上「毎日新聞」より引用)



 「同一労働、同一賃金」は当たり前のことだが、その前に労働者に格差を設けて差別する「正規、非正規」という労働者の差別こそ撤廃すべきだ。同じ仕事に従事する者に「正規社員」と「非正規派遣社員」が存在すること自体が、深刻な人権侵害ではないか。
 そして年功賃金を「既に見直した」「今後見直す予定」と答えた企業は5割に達したという。年功序列賃金は「賃金は労働の対価である」との考えからすれば矛盾しているも知れない。しかし年功者の「知恵」と「経験」を評価する基準がないのも確かだ。労働者がすべて単純作業をしているのなら「年功」は不要かも知れないが、組織としての企業では年功をすべて否定することも出来ないのではないか。

 そして家庭支出として必要とされる金額も年代によって異なるのも確かだ。若い世代と子育て世代と、子供たちが大学へ進学する年代とでは家庭の必要支出額は明らかに異なる。そうした家庭支出の必要を満たす手段として「年功賃金」は一定の役割を果たして来た。
 年功序列賃金が否定され、賃金を仕事の成果で決める「成果主義」や仕事の内容で決める「職務給」に切り替えるのなら、大学なども無料化が前提になるだろう。そうした社会の変革なくして労働賃金だけを変革することは出来ないのではないだろうか。

 物流大手の日本通運は同一労働同一賃金の開始をにらみ、勤続年数で賃金を上げる仕組みを廃止した、という。代わりに職務内容や能力、成果に基づき決める。同社は廃止について「従業員のモチベーション向上」と、法改正による制度開始への対応を理由としているようだが、「成果」を誰がどの基準で評価するのか、問題は必ずしも一掃できないのではないか。そして旅行大手JTBの「年齢の定期昇給は26歳まで」にしているようだが、そうすると経験とノウハウを獲得したJTBの社員が他社から引き抜きにあったり、独立する動きが加速されるのではないだろうか。
 労働力を「人」として捉えるのではなく、工数の一つの「労働力」として捉える「働き方改革」は人が人らしく生きる社会に逆行してはいないだろうか。企業は労働単価を切り下げて企業収益を上げて来たが、それが企業体質を悪化させていることに気付くべきだ。企業の基礎体力は内部留保によって培われるのではない。「企業は人なり」とはけだし箴言だ。人が企業を創っている、という理念なくして企業の発展はあり得ない。

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