自由貿易協定で10年後に日本農業は壊滅する。

<日米貿易協定が1日発効した。日本側は牛肉など米国産農産品の関税を引き下げ、国内の消費者にとっては価格の低下を通じて恩恵となる一方で、生産者からは輸入増加に対する懸念の声がある。米国側は工業製品を中心に関税を引き下げるが、自動車・同部品への関税撤廃は先送りされた。

 米国産農産品の関税は、11カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)並みの水準に引き下げられる。牛肉については、発効と同時に現在の38・5%の関税が26・6%に下がる。その後も段階的に引き下げ、2033年度に9%とする。豚肉は低価格品の関税を1キロあたり482円から、27年度に50円まで下げる。ナチュラルチーズの一部やワインなどの関税は将来撤廃する。

 米側は日本の工作機械や燃料電池など工業品の関税を削減・撤廃するほか、日本産牛肉の低関税輸入枠を大幅に拡大し、日本にとっては輸出拡大が期待される。しかし日本の対米輸出額の約30%を占める自動車と同部品への関税撤廃は先送りされ、すべての工業品の関税撤廃で合意したTPPと比べると、日本側のメリットは少ない。

 日本政府は、貿易額ベースの関税撤廃率を米国側92%、日本側84%としている。だが、日本産自動車・同部品を除くと米国の撤廃率は実質的に60%程度にとどまり、90%程度の関税撤廃率を求める世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性がある。政府は今後、自動車関税について米側と協議するとしているが、トランプ大統領は20年11月に大統領選を控え、交渉再開の見通しは立っていない。

 日米貿易協定は、TPP、日・欧州連合(EU)経済連携協定に続く大型の貿易協定となる。政府は、日米協定発効による国内農業生産の減少額を最大約1100億円と試算。農家の不安は強いが、19年度補正予算案に3250億円を計上するなど農家支援を強化している>(以上「毎日新聞」より引用)安倍自公亡国政権は



 日米FTAが今日から発効する。内容を見る限り、日本へ輸入する農産品の関税だけを引き下げる不平等条約で、自動車と同部品の関税引き下げは何も決まっていない。上記記事でも「すべての工業品の関税撤廃で合意したTPPと比べると、日本側のメリットは少ない」と断じている。
 米国産農産品の関税は「11カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)並みの水準に引き下げられる」という。牛肉については発効と同時に現在の38・5%の関税が26・6%に下がる。その後も段階的に引き下げ、2033年度に9%とする。豚肉は低価格品の関税を1キロあたり482円から、27年度に50円まで下げる。ナチュラルチーズの一部やワインなどの関税は将来撤廃する。コメの関しては別枠とされているが他の農産品と同様に引き下げられるものと思われる。

 実のところ、日米FTAの中身は良く分からない。国会審議の折に日米FTAのすべての内容が開示されたわけではないからだ。「継続交渉中」という変な理屈をつけて、安倍自公亡国政権は詳細な内容開示を拒否したからだ。
 それでも安倍自公亡国政権は「貿易額ベースの関税撤廃率を米国側92%、日本側84%としているが、日本産自動車・同部品を除くと米国の撤廃率は実質的に60%程度にとどまり、90%程度の関税撤廃率を求める世界貿易機関(WTO)のルールに抵触する可能性がある」と上記記事で指摘している通りだ。つまり米国は品目別では92%の関税を撤廃したが、輸入額の大きい自動車関連の関税撤廃を協議しなかったために、結果は日本にとって不利な不平等条約になっているのだ。

 安倍自公亡国政権は「日米協定発効による国内農業生産の減少額を最大約1100億円と試算。農家の不安は強いが、19年度補正予算案に3250億円を計上するなど農家支援を強化している」と主張するが、日本国民の暮らしを支える食糧安全保障を蔑ろにするものとの批判は免れない。
 政府が日米FTA発行による国内生産農産品の減少額を1100億円と試算していることは実際はそれ以上ということだ。そしてその対策に3250億円の補助金を投じるというが、いかなる補助金なのか、詳細なメニューを見ない限り信用できない。あるいは農業土木というメニューならば農家への支援といいながら、実際は安倍自公亡国政権と関係の深いゼネコンの仕事でしかない、ということもあり得るからだ。

 しかも日米FTAは永続的で今後国内生産農産品の減少額1100億円は続くが、農業補助金3250億円はガス抜きの一時金に過ぎない。制度として農家の所得補償を行う、というものではない。
 日本の農業を強くするには農業に従事する後継者が自然と生まれるような「魅力ある産業」にしなければならない。そのためには「暮らせる農業」にして、農家が公務員以上に若者が魅力を感じる産業にする必要がある。しかも、農業従事者を育成する時間は極めて少ない。地方の農業従事者の平均年齢が65才を超えている実態を政府は認識しているのだろうか。このままでは10年もしないうちに日本の農業は壊滅的になる。そうした認識を持って農家への所得補償を議論すべきだ。

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