奴隷契約を日本社会から排除せよ。
<セブン―イレブン・ジャパンは31日午前0時に、大阪府東大阪市の加盟店オーナーと結んだフランチャイズ契約を解除した。この店のオーナーは、今年2月に本部の同意を得ずに営業時間の短縮に踏み切り、コンビニ業界が24時間営業を見直す動きが広がるきっかけとなった。
契約を解除されると、セブンの商品の仕入れができなくなるという。オーナーは31日と元日は休業し、2日から独自に営業を始める意向を示している。30日夜、取材に対し「(本部の対応は)不服なので、訴訟で争いたい」と話した。
セブンは今月20日、このオーナーに、本部との信頼を回復する措置を取らなければ12月末で契約を解除すると通告していた。利用客から苦情が多数寄せられたことなどを理由としている >(以上「読売新聞」より引用)
全国一律の24時間営業というのは地域性を無視した「経営戦略」というしかない。時間毎の「売り上げ/人件費」率を出すまでもなく、赤字の時間帯があるとすれば閉店する方が良いに決まっている。
コンビニの24時間営業が揺らいでいる、というが地域性を無視して「コンビニ本部」の売り上げ至上主義でフランチャイズを縛るのは「奴隷契約」ではないだろうか。芸能プロダクションでも奴隷契約が問題になったが、商品の有償支給と他の商品販売を排除して時間切れ寸前の弁当などの値引き販売までも規制して批判を浴びたばかりだ。
利益にではなく、売り上げの一定率をロイヤリティーとして「コンビニ本部」が徴収する契約だから、夜間営業が赤字になろうとコンビニ店を24時間営業させて売り上げを一円でも上げれば本部の儲けは多くなる。
しかし首都圏の鉄道でも終電と始発はある。一晩中電車を運行した方が儲けは上がるはずだが、鉄路の保守点検などの必要性から一日に電車を走らせない時間帯を設けている。コンビニ経営者にも「保守・点検時間」は必要だ。ことに地方都市や中山間地のコンビニに夜間訪れる客は殆どいない。いたとしても買い物客ではなく、コンビニの明かりに群れる蛾のような若者たちだけだ。
公取委は全国に数千店から一万店を展開する巨大コンビニチェーンを「特金法」の適用をしないのは何故だろうか。それともフランチャイズ契約は独禁法の適用外なのだろうか。
小売り・コンビニ市場を数社で分け合う「寡占状態」は好ましいものではない。そしてフランチャイズを商品や営業時間や食品廃棄などで何重にも縛る「契約」のあり方は問題ではないのだろうか。
一方が一方的に有利な「奴隷契約」が罷り通るのはなぜだろうか。それは日本が法治国家として未熟な証拠ではないだろうか。本来ならフランチャイズを申し出た経営者も弁護士同席で契約書を子細に検討して、不利な条項に対しては変更させてから契約を締結すべきだが、そうした契約社会は日本に馴染まない。
そうした盲点を突いたとしか思えない「コンビニ本部」の横暴が罷り通っている。余りに高い「暖簾代」ではないだろうか。「コンビニ本部」が膨大な利益を上げて、全国のフランチャイズ・オーナーが年中無休の労働地獄に落ちている、というのはまさに奴隷契約という表現が当てはまる。現代の奴隷解放を裁判所は叡智を以て判断すべきだ。