介護の自立支援を地方自治体に競わせるのは危険だ。

<政府が年末に編成する2020年度の当初予算案で、介護の予防や自立支援に成果を上げた自治体に手厚く配分する交付金を、現在の2倍の400億円程度へ大幅拡充させることが分かった。認知症予防や要介護度の維持・改善に向けた取り組みを自治体間で競わせ、介護費の膨張を抑える狙いがある。

 医療や介護の予防に力点を置く安倍政権による社会保障改革の一環。専門的なケアが必要な重度の要介護高齢者の増加を防げれば、費用も安く抑えられると期待する。一方で、専門家の中には介護状態は簡単には改善しないとの声もあり、サービス利用の抑制を目指す「自立偏重」の方向性に批判もある>(以上「共同通信」より引用)


 政府は来年度予算で介護の予防や自立支援に成果を上げた自治体に手厚く配分する交付金を、現在の2倍の400億円程度へ大幅拡充して認知症予防や要介護度の維持・改善に向けた取り組みを自治体間で競わせ、介護費の膨張を抑える、という。それに対して介護状態は簡単には改善しないとの声もあり、サービス利用の抑制を目指す「自立偏重」の方向性に批判の声も上がっているそうだ。
 高齢者の一人(自分では青年のつもりだが)として、認知症に対する秘かな恐怖は絶えずある。それは認知症を患っている地域社会で高齢者と日常的に接触しているからだ。その実感でいえば、認知症は程度の差こそあれ必ず徐々に進行する。決して「全快」はもとより「快方へ向かう」などといったことは期待できない。

 認知症を抱える家族は常に緊張を強いられる。何処へ行くか何を仕出かすか分からないからだ。幼児ならまだしも、相手は高齢者といってもまだまだ力がある。男性配偶者が認知症になったら女性配偶者では対応できない。
 老々介護が常態となっている地域社会では「自立支援」されても困る場合が多々ある。ショートスティなどで日中の数時間は認知症の配偶者から解放されて家事などが出来るが、ショートスティから帰って来ると認知症の配偶者への対応に追われる。

 そうした命を削るような日々に身を晒す認知症患者を抱える高齢世帯の労苦を官僚や政治家諸氏は知っているのだろうか。そこに加えて高齢者の貧困問題がある。
 マスメディアは面白がって年金問題を世代間戦争モノに仕立てているが、若者でも必ず死なない限りいずれ高齢者になる。つまり高齢者問題は全国民の問題だ。その反対に若者が直面している非正規労働者や独身問題なども全国民の問題だ。

 認知症の配偶者や寝たきりの配偶者を抱えて奮闘していた配偶者の方が先に死んでしまうことも珍しくない。溜まりに溜まったストレスや介護疲れや看病疲れが心筋梗塞や脳溢血などを誘発する。そうした事例を嫌というほど目にしている。
 人は必ず死ぬ。いかにして他人様に迷惑を掛けないで死を迎えられるかに、高齢者は秘かに心を砕いている。だから自覚を失っていく認知症を最も恐れるのだ。

 地方自治体に自立支援を競わせるのは危険だ。老々介護が常態化している現状では介護している配偶者こそ突然死の危険性が高い。それを支援して競わせるとはいかなる魂胆なのだろうか。
 高齢者はそれなりに社会貢献された国民の「老後」だ。それぞれに人生があり、それぞれが日本という国家のために大小の差こそあれ寄与してきた。その先輩諸氏に対して、官僚や政治家諸氏は尊敬の念を持っているのだろうか。

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