中国バブル崩壊に備えよ。

米中貿易戦争に臨む米国は、「経済繁栄よりも国家安全保障を最優先させる」と不退転の決意である。その一端は、2回にわたるマイク・ペンス副大統領の演説で露呈している。

 貿易戦争を超えて、国防権限法、並びに付随した諸法律、さらには非常事態宣言により、中国の経済、金融、そして軍事力の拡大阻止という「総合戦」に移行した。まず、枢要部品の輸出禁止は効果的だった。インテルがZTE(中興通訊)への半導体供給をやめた途端、同社は倒産しかけた。米国が中枢部品の供給をやめれば次に何が起きるかは、目に見えている。

 米商務省が発表したエンティティ・リスト(EL)には、以下の中国企業が掲載された。ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)は監視カメラ企業。ダーファテクノロジー(浙江大華技術)は同じく監視カメラで世界シェア2位。センスタイム(商湯科技)はAI、特に自動運転の画像と認識技術の企業。メグビー(曠視科技)は顔認識技術。そして、アイフライテック(科大訊飛)はAIと音声認識と自動翻訳の最大手である。これら中国のハイテク企業を封じ込めることは、米中関係が後戻りのできない冷戦に入ったことを意味する。

 また、中国の国内経済を見ても、不動産バブルが崩壊しかけていることがわかる。人の住まないマンション群、ゴーストタウン、ゴーストシティは、いずれ「ゴースト・チャイナ」になる。

本当のGDP成長率は1%台?
 習近平外交の目玉「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)は、鄭和艦隊の二の舞になりそうだ。皇帝・習近平を悩ます難題は幾重にも複合してきた。日本から見て最悪の問題と思われる米中貿易戦争は習近平にとってそれほど深刻なことではなく、日夜頭が痛いのは国内の権力闘争、そして「香港問題」の決着である。だから、4中全会(第19期中央委員会第4回全体会議)を201910月末まで丸2年間開催できなかったのだ。

 習近平は経済に明るくないため、実質的に最悪かつ解決不能の景気悪化、人民元激安、株価暴落、不動産市場の崩壊という、目の前にある危機への認識が低い。たとえば、銀行倒産が中国経済に死活的な凶器となることを習近平は重視していない。側近や中央銀行(中国人民銀行)は嘘の数字で過大な報告をしているに違いなく、また人民銀行が近く予定している「デジタル人民元」の発行で問題はクリアできると、側近ら(イエスマンと茶坊主たち)に吹き込まれている。

 真実の数字は驚くべきもので、「ジニ係数は0.62GDP成長率は1.67%、負債総額は6500兆円前後ある」とエコノミストの向松詐が警告したが、習近平の耳には届いていない。

 米国企業の経理を監査する米国の監査法人が中国に進出し、企業税務を担当したが、あまりのずさんな報告に悲鳴を上げて、そのまま沈黙している。情報の透明性などまったくないため、米国は「中国企業のニューヨーク(NY)市場上場を拒絶するべきだ」と言うのだ。

 10月初旬に発表されたゴールドマンサックスの推計では、香港から「外貨預金」がどっと流れ出して、シンガポールの外貨預金口座に40億ドルが流れ込んだ。197月と8月の速報だけの金額である。
 過去1年分を見ると、163億米ドルがシンガポールの非居住者の外貨預金口座となっていた。米中貿易戦争に嫌気した外貨流出で、香港住民だけではなく香港に預金してきた中国共産党幹部らのカネも移動した。香港の騒擾により将来へ不安を抱き、とりあえず余裕資金を外国に、それも香港と同じ国際金融都市であるシンガポールに移管する。あるいは、マレーシアやタイの不動産購入に走っている。

 日本の論議を眺めると、香港がダメになると国際金融都市は深センに移行すると推定たくましき軽率なエコノミストがいる。しかし、情報に透明性のない市場に世界の投資資金は流れない。

巨額のデフォルト、金融恐慌の予兆も
 中国経済が抱える債務膨張は天文学的数字で、企業破産は18年上半期だけで504万社だった。国有企業は別名「ゾンビ」。巨大債務のなかでも中国企業がドル建てで外国銀行、投資家から調達した借金の年内償還は350億ドル。20年末までが320億ドル。償還が危ぶまれ、欧米金融機関は貸し出しに極めて慎重な姿勢に転じた。

 198月段階で、希望した中国国有企業の起債は20%に達しなかった。すでに2年前からドル建ての中国企業の社債にはNY、ロンドン、そして香港で2%以上の「チャイナ・プレミアム」が付いていることは周知の事実で、不動産関連企業の中には14%の高利でもドルを調達してきたところがある。

 デフォルト(債務不履行)の金額もすごい。18年だけでも1200億元(170億ドル)。19年は9月までの速報でも900億元(128億ドル)。とりわけ注目されたのは、最大最強の投資集団といわれた「民投」(中国民生投資)が債権者を緊急に集めて1年間の償還延期を承諾してもらったことだ。

 昇龍の勢いだったスマートフォン、自動車の販売にも陰りが見え、5Gの先行商品発売にもブームは起こらず、製造業はすでにベトナム、カンボジアなどに移転している。産業別では空洞化が起こっている。

 19524日、中国は内蒙古省が拠点で倒産寸前だった「包商銀行」を国家管理にするため89%の株式を取得、国有化した。金融パニック誘発前の予防措置である。中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)が「公的管理」し、債務は元本の30%削減という措置をとった。心理恐慌の拡大を懸念した中央銀行は62日になって「これは単独の案件であり、金融不安は何もない」と発表した。
 投資家の不安はかえって広がった。包商銀行は不動産バブル、株投機の裏金処理、インサイダー取引の“ATM”だった。当該銀行を倒産させないで救済したのは、リーマン・ショックの前兆に酷似してきたと金融界が認識することを怖れたからだ。しかし、信用組合レベルの金融機関は倒産が続き、7月には遼寧省の錦州銀行が管理下に置かれた。ほか420の金融機関が不良債権のリスクを抱えている。こうした矛盾は、全体主義システムの欠陥から来る宿命なのである。

中国が迎える“ゴースト化”という末路
 例年、中国は3月の全人代(全国人民代表大会)で、その年のGDP成長率の目標を発表する。行政単位の市、県、村、鎮は、その数字(ちなみに19年は66.5%)を守るばかりか、それ以上の数字をはじき出すために無理を重ねる。でたらめな計画の元に借金を増やし、何がなんでも目標達成がノルマになり、誰も乗らない地下鉄、クルマが通らない橋、人より熊の交通が多いハイウェイや事故が頻発するトンネル、テナントが入らないショッピングモール、そしてムジナとタヌキの住み家となった高層マンションが集合して、ゴーストタウンの乱立となる。

 砂上の楼閣、蜃気楼の繁栄は、やがて泡沫のように消滅するだろう。残るのは史上空前の借金である。成長率が落ちて、ゴーストタウン化が進み、工場が閉鎖され、潜在的失業は数百万人にのぼる。窮余の一策としての「一帯一路」は、余剰在庫と余剰労働力の処理のためのプロジェクトだった。それも、世界中から「借金の罠」と非難を浴びて世界各地で頓挫している。(以上「Business Journal」より引用)


 引用した上記の長い論評は宮崎正弘氏がBusiness Journalに掲載した中国経済の今の状況と近未来を予想したものだ。宮崎氏が見る中国の近未来の姿は「ゴースト・チャイナ」のようだ。
 中国は強権で売買や経済を統制する統制経済下にあり、無理に無理を重ねてバブル崩壊を先延ばしにして来た。しかしここに到って統制でバブル崩壊を抑え込むのも限界に達したようだ。

 ただバブル崩壊を無理やり抑え込んで来たツケが廻って、中国経済が抱える債務膨張は天文学的数字のようだ。企業破産は18年上半期だけで504万社だったようで、倒産しない国有企業は別名「ゾンビ」状態だという。
 巨大債務のなかでも中国企業がドル建てで外国銀行、投資家から調達した借金の年内償還は350億ドル。20年末までが320億ドル。償還が危ぶまれ、欧米金融機関は貸し出しに極めて慎重な姿勢に転じたという。

 国内で調達できない企業投資資本を海外で調達する「起債」は198月段階で、希望した中国国有企業の応募は20%に達しなかった。すでに2年前からドル建ての中国企業の社債にはNY、ロンドン、そして香港で2%以上の「チャイナ・プレミアム」が付いていることは周知の事実で、不動産関連企業の中には14%の高利でもドルを調達してきたところがあるというから驚きだ。
 そして中国が抱える債務の真実の数字は驚くべきもので、「ジニ係数は0.62GDP成長率は1.67%、負債総額は6500兆円前後ある」とエコノミストの向松詐氏が警告した。既にデフォルト(債務不履行)の金額もすごいことになっているようだ。2018年だけでも1200億元(170億ドル)。2019年は9月までの速報でも900億元(128億ドル)。とりわけ注目されたのは、最大最強の投資集団といわれた「民投」(中国民生投資)が債権者を緊急に集めて1年間の償還延期を承諾してもらったようだ。

 しかし日本は中国バブル崩壊の影響を最小限で止めるべく備えるべきで゛あって、決して習近平氏の微笑に釣られて新規投資や経済協力をしてはならない。それは「泥棒に追い銭」でしかないからだ。財界の強い要請に動かされて安倍政権は習近平氏の中国に肩入れしようとしているようだが、それは日本国民の税金をドブに捨てることだ。
 それよりも政府はUターン投資減税を早期に実施すべきだ。何年も前から主張してきたが、中国へ進出した日本企業は廻り回って日本の防衛に仇をなすものでしかなかった。中国へ進出した企業利益と引き換えに、国民は国防予算のためにより多くの税を使われた。中国がゴースト化しようがどうなろうが、経済が行き詰まり衰退するのは日本の安全保障にとって良いことだ。ただバブル崩壊の影響を最小限にすべく、政府は備えるべきだ。

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