「みなし解散」通知書が乱舞する社会。

 今日は「即位の礼」で祭日だという。新聞もテレビもない生活をしていると突然の「祭日」に戸惑ってしまう。天皇陛下の即位ということで、東京は大変なことになっているようだが、地方に暮らす者にとって同じ毎日の繰り返しでしかない。
 しかし新天皇陛下の即位を祝して、素直にフリーランスの仕事を「祭日」にしようと相手先に連絡したら、困っているから相談に乗って欲しいといわれた。何かと聞いたら「みなし解散」だという。

 彼が経営している販売会社が「みなし解散」になったと法務局から通知が来たそうだ。12月10日までに「継続」を通知しなければ職権で彼の会社を解散にするという。そうされては取引相手先や銀行取引に支障が出るから、何とかしたいという。
 司法書士に頼めば良いではないか、と云うとこの地域の司法書士は先年亡くなって誰もいないという。都市部にはゴマンといる司法書士も地方都市の山間部にはいない。もちろん弁護士もいない。

 ネットで調べてみたら、どうやら「みなし解散」は2007年に休眠会社を整理する「必要」から10年間何も登記されなければ「解散」したものとみなすという規定が出来たようだ。それは取締役の任期が最長で10までだから、必ず10年毎には役員改正の登記が必要によるからだ、という。
 重任にしろ就任にしろ、登記事項として登記すべきだから、それを怠る法人は解散したものとみなす、という理屈だ。そして「みなし解散」とされた法人は改めて臨時株主総会を開いて「継続」の決議をし、その後に役員選任を行い、役員登記をしなければならない、のだそうだ。

 もちろんタダではない。登記印紙税計49,000円を支払わなければならない。しかも、その登記には地方の街にある法務局支局ではなく、自動車で一時間半の距離にある県庁所在地の地方法務局へ出掛けなければならない、という。
 友人はかなりご立腹だ。本人は「税務申告は毎年やっているし、適切に納税もしている」税務署も法務局も同じ国の機関ではないか。なぜ法務局は変わりのない取締役「重任」の登記を必要とするのか、税務申告をしているから「休眠」でもなければ「解散」でもないことは明々白々ではないか、と憤る。

 全国で一体何社の休眠会社があるのだろうか。そのうち、実際に解散している会社はどれくらいあるのだろうか。「みなし解散」を宣告されて、慌てふためいている経営者は友人だけではないだろう。そうすると法務局は時ならぬ「臨時収入」を国庫にもたらすことになる。
 いや、それだけ零細家内企業は困窮することになる。しかも手間暇かけて県庁所在地にまで出掛けて、慣れない申請用紙を記入し他の役員や監査役の印鑑までもらわなければならない。いや、ネットと無縁な者はネットによる登記情報の送信が出来ないから登記情報を書き込んだCD-Rを作成して申請書と同時に提出しなければならない。もちろんネットもない農産品の販売事業者の友人はPCも持っていない。おそらく私がCD-Rを作ることになるのだろう。

 ギリギリと締め上げられるような「束縛」を感じているのは私だけだろうか。納税は国民の義務だが、登記まで義務化され、その都度印紙税を徴収される。そういえば私たちの世代は運転免許の更新前に5,000円を払って、検査と運転能力の検定を受けなければならなくなった。それも義務化、された。
 高齢者が車を暴走させて、事故を起こすからだという。なぜ暴走しない自動車を造れ、と国は製造業者に命じないのだろうか。工業製品とは誰が使っても安全が確保される、というのが大前提ではないだろうか。

 ギリギリと締め上げられるような束縛を感じる。それも微に入り細に入り、個人の暮らしに浸透して来るような恐怖感すら感じさせる。「みなし解散」の通知を受けた友人の驚きは想像に難くない。

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