国会審議で日米貿易協議の詳細を明らかにせよ。

日米両政府の代表者は7日、ワシントンで日米貿易協定に正式に署名した。日本は米農産品への関税を下げて市場を開放する一方、米国産コメの無関税輸入枠の設定を見送る。米国側は行政権限で発効させる予定で、日本の臨時国会で承認されれば2020年1月1日にも発効する見通しだ。
杉山晋輔駐米大使とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表がホワイトハウスで協定文書に署名した。同席したトランプ大統領は「日米双方にとって大きな成功だ。数え切れない雇用を生み出し、貿易赤字を大幅に減らすだろう」と述べた。
米政権は議会の承認を得なくても大統領権限で発効する特例措置を活用する。このため協定の発効には日本の国会承認だけが必要になる。
日米貿易協定は9月下旬の首脳会談で最終合意した。米国から輸入する牛肉の関税は現行の38.5%から、発効時点で即座に環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国と同水準に下がり、段階的に9%になる。一方、コメはTPPで米国に認めていた7万トンの無関税輸入枠は設けない。米国が日本の自動車にかける関税の撤廃は交渉を継続し、事実上先送りになる。
デジタル貿易に関する協定にも正式に署名した。プログラムの設計図であるソースコードや、人工知能(AI)などの計算手順にあたる「アルゴリズム」について、国が企業に開示を求めるのを原則禁じる。
日米両政府は貿易交渉を2段階に分けており、協定発効後の2020年春にも、サービス分野も含む包括的な貿易協定について協議を始める見通しだ。米議会や産業界からは、自動車の安全基準や薬価制度など日本の非関税障壁の見直しを求める声が依然として多い。
米政権は発足直後にTPPから離脱したため、農産品の対日輸出競争でカナダやニュージーランドなどのTPP加盟国に苦戦を強いられてきた。トランプ氏は自動車への追加関税をちらつかせながら日本への圧力を強め、交渉第1弾は4月の開始から5カ月あまりでスピード決着した>(以上「日経新聞」より引用)


 日米貿易協定が日本の臨時国会で承認されれば2020年1月1日にも発効する見通しだ、と日経新聞が報じている。日米貿易協定で決定した詳細な中身について、日経新聞は一体どれほど報じたというのだろうか。
 確かに上記記事には「米国から輸入する牛肉の関税は現行の38.5%から、発効時点で即座に環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国と同水準に下がり、段階的に9%になる。一方、コメはTPPで米国に認めていた7万トンの無関税輸入枠は設けない。米国が日本の自動車にかける関税の撤廃は交渉を継続し、事実上先送りになる」ということと「プログラムの設計図であるソースコードや、人工知能(AI)などの計算手順にあたる「アルゴリズム」について、国が企業に開示を求めるのを原則禁じる」ということは報じている。しかしTPPと同水準の日米貿易協定ということはラチェット条項やISD条項なども協定書に書かれているのだろうか

 つまり日米貿易協定は非関税障壁まで書き込んだTPPレベルの「日米FTA」なのか、それとも前回の日米協議は物品だけに限定した「日米TAG」なのかすら説明されていない。ただ製品に組み込まれたプログラムの開示は求めない、と「貿易製品のブラックボックス」は知的財産簿擦るという認識は書き込まれているものと推定する。
 だがISD条項が書かれているとしたら物品以外の「投資取引」も貿易の一環とみなして投資家は投資協定当事国を相手方として、国際連合国際商取引法委員会または投資紛争解決国際センターに仲裁を申し立てることができる。もちろん紛争が国連に持ち込まれれば日本は米国よりも不利な扱いをされるのは自明の理であり、投資紛争解決国際センターは世界銀行の下部組織であることから米国の意のままということになる。こんな結果が見えている紛争を投資家が勝手に提訴して相手国から巨額の賠償金を奪い取って来たのがISD条項だという事実をなぜ日本のマスメディアは危機感を持って報じないのだろうか。

 上記引用記事の後段で「米議会や産業界からは、自動車の安全基準や薬価制度など日本の非関税障壁の見直しを求める声が依然として多い」とあるが、それがISD条項を指しているものなのか言及されていない。
 いずれにせよ、国会審議が始まる前から決着を年内と決めるような記事が早くも報じられるとは、国会を蔑ろにするものではないか。これから国民は日米貿易協議の詳細を知ることになるか否かは野党議員の働きいかんにかかっている。

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