名ある建築家の作品を弊衣のごとく投げ捨てるとは。

1975(昭和50)年4月に建築家の黒川紀章さんの設計で設立された同施設。建設から44年が過ぎ老朽化・耐震基準上の問題で今年3月末に休館した。
 所有する下松市は今年1月、活用方法の基本構想策定に向けた調査業務をYMFGZONEプランニングに委託した。民間活力(資金)の活用と笠戸島の既存施設との相乗効果を前提に、さまざまな業種の民間事業者に活用方針案の提出を依頼。その調査結果と共に今後の方針が発表された。
 事業化確度が高い案として、「若者やファミリー、ビジネス利用などを想定したアウトドア施設」「昼夜にかけゆったりと過ごせるカフェ・レストラン施設」「笠戸島の自然を使ったアクティビティーの拠点となる低価格帯の宿泊施設」の3案が示されたが、解体や改修、施設整備費の民間負担やオープン時期などには課題があると報告された。
 市は、今後より具体的な活用案の提示に向け検討を進めるとともに、施設を解体除去、さら地化とオープン時期の延期を決定。早急な活用方法の基本構想を策定したいと方針を示した>(以上「周南経済」より引用)


 下松市笠戸島の結婚式場としてもホテルとしても瀟洒な佇まいを見せていた「笠戸ハイツ」が解体撤去されるという。1975(昭和50)年4月に今は亡き日本を代表する建築家の黒川紀章さんの設計で設立された施設だ。建物が文化と時代を担うモニュメントとしての役割を果たすものだとしたなら、経済的な価値と耐震性から解体されるのは釈然としない。
 下松市は今年一月に活用方法の基本構想策定に向けた調査業務をYMFGZONEプランニングに委託していた、という。その結論が「解体撤去」ということになったのだろう。しかし最終決定を下すのは下松市議会だが、今後は「笠戸ハイツ」の解体撤去を前提とした「跡地利用」の観点だけの議論しかないのだろうか。

 なぜ黒川紀章氏の建築家としての「作品」を何とかして残そう、という前提に立った議論は出来なかったのだろうか。YMFGZONEプランニングという山口ファイナンシャルグループ(山口銀行)が100%株主の子会社が活用方法の基本構想策定に向けた調査業務を行ったというが、なぜ建築コンサルタントに依頼しなかったのだろうか。
 取り壊しは「耐震化工事が出来ない」というのが主な原因だったが、YMFGZONEプランニングにそうした調査対応能力があるのだろうか。むしろ「笠戸ハイツ」の今後に関して調査を二段階に分けて、まず現状の建築物を保存するにはどうしたら良いか、という調査検討を建築設計コンサルタントに依頼すべきではなかっただろうか。

 それで、どうしても「笠戸ハイツ」を残すのは困難だ、という結論が出てから「跡地利用」の第二段階に入るべきだったのではないだろうか。傑出した建築家・黒川紀章氏の作品が永遠に失われることを心から悼む。

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