G7に見る世界秩序のターニングポイント。

日米欧の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は26日、1ページの宣言文書を発表して閉幕した。官僚ではなく各国首脳の意見を議長国がまとめる初めての手法を取り、貿易やイラン、香港など5項目に言及した。ただ米国と他国の意見の隔たりは大きく、例年触れてきた「保護主義」に反対するとの文言は入れられなかった。
G7首脳の宣言」を発表した。全7カ国が合意した内容を、貿易、イラン、ウクライナ、リビア、香港の5項目を数行ずつ短く記述した。貿易以外は地域の課題になっているのが特徴だ。
貿易については「世界経済の安定のために、開かれた正当な貿易が必要」として、世界貿易機関(WTO)の改革が必要だと宣言した。トランプ米政権もWTO改革の必要性は認めている。IT大手などへの課税問題もこの項目で、「国際的な課税方法を2020年までに経済協力開発機構(OECD)の枠組みで合意する」とした。
例年入っていた「保護主義」に立ち向かうとの文言は無い。トランプ氏の大統領就任後も前回18年までこの言葉は残っていた。各国首脳がG7サミット期間中に懸念を示した米中貿易戦争についても、トランプ氏に配慮して言及を見送った。
イランの核合意問題は「イランが核兵器を持つべきでないこと、地域の安定を目指すことで合意した」との一般的な一文を書いた。経済制裁でイランの譲歩を引き出したい米国と、強硬な手法に懐疑的な欧州諸国との間にはまだ溝がある。
デモが続く香港については「1984年の中英共同宣言はまだ有効で、暴力は避けるべきだ」などとした。共同宣言は香港の「高度な自治」を認めており、中国政府が香港の民主的なデモ活動を武力鎮圧しないようクギをさした格好だ。
マクロン仏大統領は官僚が事前に宣言をまとめる従来の手法では、会議前から米政権が態度を硬化させると懸念していた。そのため会議後に首脳自らが文言を作る方針に改めた。
ただ、フタを開けてみれば、今回の文書でも仏など欧州勢が重視する気候変動について一般的な内容さえ触れられなかった。手法の改革が議論の発展につながったかは分からないままだ>(以上「日経新聞」より引用)

 G7首脳の宣言」として全7カ国が合意した内容を、貿易、イラン、ウクライナ、リビア、香港の5項目を数行ずつ短く記述したにとどまった。貿易以外は地域の課題になっているのが特徴で個別的な列挙となり、G7全体で共有して来た「地球温暖化」と「保護貿易主義」に関しては言及されなかった。
 ただ貿易については「世界経済の安定のために、開かれた正当な貿易が必要」として、世界貿易機関(WTO)の改革が必要だと宣言した。トランプ米政権もWTO改革の必要性は認めている。IT大手などへの課税問題もこの項目で、「国際的な課税方法を2020年までに経済協力開発機構(OECD)の枠組みで合意する」とした。

 つまりグローバル化の「退潮」が明らかになったことをG7も反映したことになる。「開かれた正当な貿易」が何を指すのか定かでないが、二ヶ国や複数間のFTAや日本も参加しているTPPは「悪しき」経済ブロックを連想させる。
 開かれた正当な貿易、というのならFTA締結国と貿易関係のある国々もFTAの枠組みが適用される、というものでなければならない。あるいはTPP参加国と貿易を行う国々はTPPの枠組みで貿易が行われる、ということでなければならないだろう。

 そうでなければWTOという「自由貿易」体制下に異なる「自故貿易体制」が混在することになり、世界が異なる基準で貿易を行うことを容認することになり、WTOの精神は失われることになる。
 そもそもWTOが制定されたのは先の大戦の契機となったブロック経済により、複数の国が一国もしくは少数の国をグロックで囲い込み「封鎖」することで窮地へ追い込んだのが大きな原因だったことから、そうした策動を排除するために作られた。

 しかし安倍自公政権と日本のマスメディアはTPPを「中国封じ込め」だと表現して憚らなかった。それこそ戦前の「悪夢」の繰り返しでしかない。それこそWTO精神(自由貿易精神)に最も反する行為だ。
 保護貿易とブロック体制は異なる。保護貿易とはWTO精神を尊重しつつ、自国の様々な要因から守らなければならない産業の保護から輸入品に関税を課すことだ。ことに食糧安全保障の観点から各国は「保護貿易」策を実施している。それは国家存続に関する国内政策でもあり、他国からとやかく言われる筋合いのないものだ。

 むしろ米国が国内産業保護の観点から自動車に関税を課すのなら、日本の農産品輸入に国内農業保護として関税を掛けることを論うのは不公平だ。自動車などの工業製品と食糧安全保障に関わる穀物類の関税措置を同列に論じるのが間違っている。
 安倍氏はなぜ日本の食糧安全保障を日本国首相として全存在を掛けて主張しないのだろうか。国内の農業や農協を解体するかのような政策や全農への介入こそ、安倍自公政権が亡国政権の証拠ではないだろうか。
 G7はグローバル化とブロック経済の復活を目論んできたが、そろそろそうした先進国の横暴は終焉を迎えつつある。次の世界秩序構築へ向かうターニングポイントを世界は迎えつつあるのかもしれない。

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