憲法議論よりも、経済政策議論を。

参院選で自民、公明両党が改選議席の過半数を上回った。安倍晋三首相は自民党総裁として国政選挙で6連勝した。日本維新の会をあわせた「改憲勢力」では憲法改正の国会発議に必要な3分の2を割ったが、首相は改憲論議を深めるべきだとの民意は示されたと意を強くしている。
首相は21日の開票前、都内の私邸に麻生太郎副総理・財務相を招いた。2021年9月までの党総裁任期中の改憲実現を促した麻生氏に「これでやらなきゃおかしいですよね」と応じた。
選挙後は参院が3分の2に4議席届かない状態からのスタートとなる。この3年間、衆参で3分の2があっても、改憲論議は動かなかった。
首相は「ちょうどよいくらいの数ですね」と周囲に語る。これまでは改憲勢力だけで押し切られると野党側の警戒が強かった。野党に協力を求めざるをえない状況は、潜在的に改憲に前向きな議員の協力を引き出す呼び水にもなり、かえってやりやすくなったとみる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は議論に参加する考えを示した。同党には自民入りを探る参院議員もいる。野党が動けば、慎重な公明も協力しやすくなる。
秋の臨時国会は最初のヤマ場だ。自民は9条への自衛隊明記などの改憲案を憲法審査会に示し、議論を促す構えだ>(以上「日経新聞」より引用)


 何を以て安倍氏が「日本維新の会をあわせた「改憲勢力」では憲法改正の国会発議に必要な3分の2を割ったが、首相は改憲論議を深めるべきだとの民意は示されたと意を強くしている」のだろうか。改選議席で自民党が過半数を上回ったかも知れないが、改選議席数を守れなかったのは事実だ。
 つまり安倍自公政権は「議席数を減らした」という選挙結果から国民の目を逸らそうと必死で、それにマスメディアも同調しているだけだ。そして憲法改正議論を進める、と安倍氏は言うが、それなら勝手に政権が「解釈改憲」や憲法違反立法が出来ないような「仕組み」を是非とも憲法に書き加えるべきだ。

 そもそも憲法とは権力者の暴走を国民が止めるための最高法典だ。そこにいかなる理念を盛り込むか、という議論よりも、いかにして権力の暴走を止めるか、という「安全装置」を盛り込む方が優先されるべきではないか。
 戦後70有余年も日本国民の一人として戦死しなかった事実は重い。日本がいかなる戦争にも参加しなかったという事実も、また何よりも重い。たとえ金だけ出して兵士を一人も派遣しなかった「腰抜け」と批判されようと、日本の若者が異国の地で戦死するよりは遥かにマシだ。

 しかし他国が武力で日本に侵攻したなら、敢然と戦う用意だけはしっかりとしておくべきだ。その「他国」がもしかすると米国になる場合もあるかも知れない、ということも秘かに想定しておくべきだろう。
 米国は日本の技術力と日本国民の勤勉さを恐れている。だから日本から半導体技術を奪い、日本の義務教育に遊びの要素を多分に入れて「勤勉」さを希釈しようとしている。そうした米国の陰謀は日本が再び経済成長路線を歩みだして、経済力を恢復したなら、必ずや再び米国は「日米半導体戦争」や「プラザ合意」などと同等以上の「制裁」を日本に課して来るだろう。しかし、それを恐れて衰亡の一途を辿ることは日本国民の幸せのために許されない。

 現在の憲法論議で日本の未来が見据えられるのか、という疑問がある。なぜなら現在の憲法議論は米国の属国としての日本を前提としているからだ。日米同盟を基軸とした防衛や世界戦略しか描けないからだ。
 それでは、日本はいつまで経っても半・独立国家のままだ。真の世界平和に貢献する誇りある日本を目指す憲法を書き著すには米国の桎梏から解放されなければならない。戦争屋・米国のポチでいる限り、日本の思考体系は「米国頼みの戦争」を前提としたものでしかないからだ。

 だから現在は憲法議論よりも、まずは経済成長路線に日本経済を乗せる努力に全力を傾けるべきだ。形而上学的な憲法議論よりも、「国民の生活が第一」の具体的な政治議論こそが必要だ。

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