小手先の「小骨の方針」
<政府は11日の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)で、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案を公表した。30代半ばから40代半ばとされる就職氷河期世代について、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を含めた支援プログラムを設けることが目玉だ。骨太の方針は、今月下旬にも閣議決定する。
今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案で30代半ばから40代半ばとされる就職氷河期世代について、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を含めた支援プログラムを設けることが目玉としたようだ。就職氷河期で大学を出ても碌な就職先がなく、非正規や派遣労働者となった多くの若者たちも既に中年から壮年期に差し掛かっている。
そうした非正規や派遣労働者を「正規雇用」しようと政府が経済界に呼び掛けるのは歓迎すべきことだ。しかし問題は政府が声を掛ければ良い、というものではない。
非正規や派遣労働が大量に出たのは「派遣業法の規制緩和」が原因だ。政治が企業労働者の雇用賃金の引き下げを積極的に支援したのが構造改革と称する「派遣業法の規制緩和」だ。
それにより国際分業した海外展開した企業が安い労働力を梃子に企業利益を上げた「成功例」を日本国内でも実践しようとしたのが「労働賃金」の引き下げ圧力に基づく「派遣業法の規制緩和」だった。つまり就職氷河期はリーマンショックもさることながら、国際分業による「安い海外労働力」の国内輸入の一形態だったことを忘れてはならない。
そうした経済体制を放置したまま、小手先の「骨太の方針」で雇用拡大を経済界に要請して、果たして効果が上がるのだろうか。実質的な「就職氷河期」世代の正規雇用策として如何なるメニューを示すというのだろうか。
日本には新卒と中途採用、という明確な差別がある。生涯に一度の「新卒」を不幸にして就業機会を手に出来なかったか、あるいは新卒で就職しても一度退職したなら、後はすべて中途採用になる。そうした「新卒」崇拝神話をまず企業がなくさなければならない。
そして企業側も労働分配率を上げて、労働生産性を上げるべくより良い労働力を確保するように努力すべきだ。経済成長に生産性向上は欠かせないし、生産性向上には設備投資と同時に労働者の質の向上も不可欠だ。経営者と労働者が協力し合って企業の生産性を上げなければ日本のかつての経済力を取り戻すことは出来ない。
米国とその協力者たちによって呑まされたプラザ合意によって日本経済は根底から破壊された。そして米国の日本経済破壊に協力した日本人経済評論家や学者、さらには経営者たちが日本の産業を衰退へと向かわせた。
ファーウェイの元々のIT技術は日本の半導体技術だ。米国による輸出規制を逃れるために半導体製造企業を台湾や韓国に移したのが「日の丸半導体」の凋落の原点だ。そこから台湾や中国は日本の技術を盗む旨味を覚えて、日本製家電製品や高速鉄道などの技術を盗む契機となった。
安易な解決策を採ったことが、日本の現在の衰退につながった。日本が長年かけて育んだ労使協調体制を破壊したのが「派遣業法の規制緩和」だ。それにより労働者は労働力となり、さらに細切れの労働単価とみなされるようになった。そこにあるのは人ではなく工数計算の労働力でしかない。それなら別に日本国民に限らなくても、外国人労働「力」でも良いではないか、という発想が出て来る。つまり大量外国人労働者移民策のパンドラの「蓋」が開かれた。
安倍氏には自己矛盾が何もわかっていないようだ。彼がせっせと官邸内に取り込んだ竹中氏の進言に従ってやってきた政策の汚泥が「就職氷河期」であり、労働者を人ではなく労働力とみなす企業社会に適応できなかった「引籠り」の社会適応障害者たちを大量に生み出した主要原因だ。
そうした「派遣業法」を緩和から旧来の規制へ方針転換することが、すべての経済政策の出発点だという認識が安倍自公政権の各位には皆無のようだ。いや、彼らにはそうした現実すら理解できないのではないだろうか。小手先の「骨太の方針」で国民の歓心を買っても、基本政策が是正されない限り「衰退する日本」を取り戻すことは出来ない。
最低賃金(時給)については、毎年3%程度引き上げ、全国平均で1千円にする安倍政権の目標について「より早期に」実現するとした。成長戦略にも盛り込む70歳以上の高齢者雇用の促進など、労働関連の施策が目立った。人手不足が深刻化する中で働き手を増やすなどして、生産性を上げる狙いだ。
就職氷河期世代への支援プログラムの主な対象となるのは、1993~2004年に大学や高校などを卒業した人のうち、非正規雇用や引きこもり状態にある100万人。就職相談体制や人材育成プログラムを整備。正規雇用した企業への助成金も見直して、企業側へのインセンティブ(動機づけ)も強化する>(以上「朝日新聞」より引用)今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案で30代半ばから40代半ばとされる就職氷河期世代について、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を含めた支援プログラムを設けることが目玉としたようだ。就職氷河期で大学を出ても碌な就職先がなく、非正規や派遣労働者となった多くの若者たちも既に中年から壮年期に差し掛かっている。
そうした非正規や派遣労働者を「正規雇用」しようと政府が経済界に呼び掛けるのは歓迎すべきことだ。しかし問題は政府が声を掛ければ良い、というものではない。
非正規や派遣労働が大量に出たのは「派遣業法の規制緩和」が原因だ。政治が企業労働者の雇用賃金の引き下げを積極的に支援したのが構造改革と称する「派遣業法の規制緩和」だ。
それにより国際分業した海外展開した企業が安い労働力を梃子に企業利益を上げた「成功例」を日本国内でも実践しようとしたのが「労働賃金」の引き下げ圧力に基づく「派遣業法の規制緩和」だった。つまり就職氷河期はリーマンショックもさることながら、国際分業による「安い海外労働力」の国内輸入の一形態だったことを忘れてはならない。
そうした経済体制を放置したまま、小手先の「骨太の方針」で雇用拡大を経済界に要請して、果たして効果が上がるのだろうか。実質的な「就職氷河期」世代の正規雇用策として如何なるメニューを示すというのだろうか。
日本には新卒と中途採用、という明確な差別がある。生涯に一度の「新卒」を不幸にして就業機会を手に出来なかったか、あるいは新卒で就職しても一度退職したなら、後はすべて中途採用になる。そうした「新卒」崇拝神話をまず企業がなくさなければならない。
そして企業側も労働分配率を上げて、労働生産性を上げるべくより良い労働力を確保するように努力すべきだ。経済成長に生産性向上は欠かせないし、生産性向上には設備投資と同時に労働者の質の向上も不可欠だ。経営者と労働者が協力し合って企業の生産性を上げなければ日本のかつての経済力を取り戻すことは出来ない。
米国とその協力者たちによって呑まされたプラザ合意によって日本経済は根底から破壊された。そして米国の日本経済破壊に協力した日本人経済評論家や学者、さらには経営者たちが日本の産業を衰退へと向かわせた。
ファーウェイの元々のIT技術は日本の半導体技術だ。米国による輸出規制を逃れるために半導体製造企業を台湾や韓国に移したのが「日の丸半導体」の凋落の原点だ。そこから台湾や中国は日本の技術を盗む旨味を覚えて、日本製家電製品や高速鉄道などの技術を盗む契機となった。
安易な解決策を採ったことが、日本の現在の衰退につながった。日本が長年かけて育んだ労使協調体制を破壊したのが「派遣業法の規制緩和」だ。それにより労働者は労働力となり、さらに細切れの労働単価とみなされるようになった。そこにあるのは人ではなく工数計算の労働力でしかない。それなら別に日本国民に限らなくても、外国人労働「力」でも良いではないか、という発想が出て来る。つまり大量外国人労働者移民策のパンドラの「蓋」が開かれた。
安倍氏には自己矛盾が何もわかっていないようだ。彼がせっせと官邸内に取り込んだ竹中氏の進言に従ってやってきた政策の汚泥が「就職氷河期」であり、労働者を人ではなく労働力とみなす企業社会に適応できなかった「引籠り」の社会適応障害者たちを大量に生み出した主要原因だ。
そうした「派遣業法」を緩和から旧来の規制へ方針転換することが、すべての経済政策の出発点だという認識が安倍自公政権の各位には皆無のようだ。いや、彼らにはそうした現実すら理解できないのではないだろうか。小手先の「骨太の方針」で国民の歓心を買っても、基本政策が是正されない限り「衰退する日本」を取り戻すことは出来ない。