自動車産業といえども、節度を以て臨むべきだ。

<日産の西川広人社長は27日夜、東京都内で記者団に対し、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランス自動車大手ルノーの統合交渉について、「機会が広がり、全体としては将来に向けてポジティブな(前向きに考えるべき)話だ」と述べ、歓迎する意向を表明した。

 日産はルノー、三菱自動車と企業連合を組んでおり、「アライアンス(連合)の幅が広がる方が良い」と語った。

 西川氏は、ルノーのジャンドミニク・スナール会長が近く来日するのを機に、「三菱自を含めて(対応を)議論したい」と説明。また、FCAとルノーの統合会社が発足した場合、「(日産から取締役を)1人出すことになるのではないか」との見通しを示した。
 一方、西川氏は「日産の利益で考えると、契約関係をもう少し見ないといけない」とも指摘し、交渉の行方を見極める姿勢を見せた>(以上「時事通信」より引用)


 FCAとはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のことだ。1899年創業のイタリアのフィアットが米クライスラーを子会社化して2014年に誕生した。フィアットのほか、「アルファロメオ」「ジープ」などのブランドを展開している。本社はオランダで2018年12月時点の従業員数は19万9000人。同年の売上高は約1154億ユーロ(約14兆1600億円)だったという。
 そのFCAと日産・ルノーグループが統合交渉に入るという。世界随一の経営統合の自動車生産企業体が誕生することになる。しかし手放しで喜ぶべきことなのだろうか。

 日産と三菱は日本の自動車会社だ。そこで働く労働者の多くは日本国民だ。製造企業は大きくなるのが目的ではなく、より良い製品を作り労働者と果実を分かち合い地域の発展に資することだ。
 企業連合を形成する大きなメリットは世界戦略車を世界各地の工場で生産できることと、似たような大きさの自動車は同じブラックフォームを利用して生産できるためコスト削減ができるだろう。

 しかし企業利益が必ずしも労働賃金や労働環境の改善にならないことはグローバル化路線をにより国際分業により「海外の低賃金」が日本に逆輸入されて、日本の労働者は低賃金のまま企業発展から置き去りにされた。
 しかも、日本国内を走る日本製の自動車は世界戦略の観点から押しなべて大型化し、日本の狭い道路や住環境とかけ離れつつある。国際的な企業連合が資本の有機的な運用にプラスなのは自明の理だが、それが日本の労働者にとって利となるのだろうか。

 グローバル化路線をひた走る自動車会社の世界戦略だが、それは必ずしも世界の人類の利益とは繋がらない。それぞれの国にそれぞれの自動車企業があって、それぞれの国民が自国の自動車に乗ることが世界の文化発展にどれほど資するだろうか。
 工業技術を不要だと考える国は世界のどこにもないはずだ。モノ造りは人類文明の基礎だ。石器や鉄器を造ったことから人類は猿類から決別した。資本の効率化とグローバル企業化とは別物ではないだろうか。それぞれの国の自動車産業を巨大資本で呑み込むのは自動車産業全体を見れば自動車産業の未来と、人類の未来にとって良いことではない。

 「みんな違って みんな良い」という金子みすゞの世界は人類の多様性を保存する最も良い考え方だ。だから中国の「中華思想」にも反対する。決してチベットやウィグルの併呑に賛成できないし、「洗国策」を是認することは出来ない。
 自動車産業といえども、節度を以て臨むべきだ。

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