「戦争万能主義」を主張するロシアに何の根拠もないし、「戦争万能主義」は現代では非常識だ。

<河野太郎外相は10日、北方領土問題を含む平和条約交渉を巡り、モスクワでラブロフ露外相と会談した。日本側は当初プーチン露大統領が6月末に訪日する際に平和条約交渉の「大筋合意」を目指していたが、歴史認識や安全保障問題などで隔たりが大きいため、合意を見送る方針。今回は、日本が交渉進展への環境整備と位置づける北方領土での共同経済活動の具体化などプーチン氏訪日に向けた議題を整理した。両外相は今月末に東京で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開くことを確認した。

 両外相は昼食を挟んで約4時間協議し、北朝鮮情勢でも意見交換した。
 ラブロフ氏は会談後の共同記者発表で「第二次世界大戦の結果を全面的に認めるべきだ」と述べ、北方領土はロシアが第二次大戦の結果として合法的に手に入れたという歴史認識を受け入れるよう改めて迫ったことを明らかにした。また陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を念頭に置き、在日米軍がロシアに脅威をもたらしていると懸念を示した。

 一方、河野氏は「時には激しいやりとりになることもあったが、胸襟を開いた率直な議論ができている」と語ったが、歴史認識問題については「領土問題が解決していないから平和条約が締結されていない」と述べるにとどめた。

 日露両首脳は昨年11月、平和条約締結後の歯舞群島と色丹島の引き渡しを明記した「日ソ共同宣言」(1956年)に基づき、平和条約交渉を加速させることで一致した。これを受け、交渉責任者に指名された両外相の会談は3回目。

 日露間の当面の焦点は共同経済活動に戻っており、海産物の共同養殖など5分野に取り組むことで基本合意している。また、日本の事業者らが北方四島を訪れる際の「移動の枠組み」についても話し合い、今月20、21日に関連する作業部会を開くことで一致した。

 河野氏は会談冒頭、「幅広い分野で関係を進展させつつ、未解決の領土問題を解決し、平和条約を締結することにより、新たな次元の日露関係を構築するためしっかり協議したい」と発言。一方、ラブロフ氏は「立場の違いはかなり大きいが、よりよく理解すれば立場を接近できるかもしれない」と語った。

 プーチン氏は大阪で6月28~29日に開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するために訪日する。安倍晋三首相とは29日に会談する方向で調整されている。

 日本側はプーチン氏の訪日までに大幅な進展を狙った。しかし、ロシア側が北方領土の歴史認識や主権などの問題で強硬姿勢を崩さないため、事実上見送らざるを得なくなった>(以上「毎日新聞」より引用)


 第二次世界大戦の結果を受け容れよ、とは何を指しているのだろうか。それが戦争で勝った方が「戦利品」として占領した土地を領土とする、というのなら「戦争万能主義」は過去の遺物だとロシアこそ認識すべきだろう。
 戦争万能主義に立っているからこそ、ロシアは軍事力に国力の大半を注いで、国民の社会福祉は惨憺たるものだ。それで世界の「超大国」のつもりなら、噴飯ものだ。

 しかしロシアはあくまでも「戦争万能主義」に立つしかないのだろう。なぜなら軍事力で侵攻した他国の土地を「自国領」と今もしているからだ。ウクライナ東部やクリミア半島のことだ。軍事力で他国の領土を切り取れば、それが自国の領土になる、という前世紀の遺物というべき「戦争万能主義」を今も堅持しているのはロシアと中国だけではないか。
 そのロシアも旧ソ連時代に「戦争万能主義」を放棄したではないか。ソ連当時に国土の一部に切り従えていた地域が続々と独立したではないか。最も顕著なの「戦争万能主義」の破綻が「東ドイツ」ではないか。戦利品としての「東ドイツ」をソ連は放棄したではないか。

 そもそも中世から近代に及ぶ欧州の戦乱の歴史は「戦争万能主義」がもたらしたものだ。ドイツのヒトラーがチェコやポーランド侵攻を行ったのも「戦争万能主義」で領土を拡張しようとしたものだ。「戦争万能主義」は悪しき欧州の遺物に過ぎない。
 ロシアは日本固有の領土たる北方領土を「戦利品」として奪ったのだから「正当なロシア領」だという。しかしロシアが北方領土を侵攻したのはポツダム宣言に基づき日本が「無条件に武装解除」した後のことだ。ロシアが戦勝国の一員であることを主張するなら、その戦争の終結を約した国際条約の起草に当時のロシア代表者・スターリンも参加したポツダム宣言にロシアも従うのが筋ではないか。

 ポツダム宣言にも従わない、「戦争状態」を終結した後に侵攻して奪った北方領土を「戦利品」だと主張する、という無法なロシア政府の振舞いをロシア国民は正しく理解しているのだろうか。いやしくも国連(戦勝国クラブ)の常任理事国として大きな顔をするのなら、戦勝国の一員としてポツダム宣言に従ってポツダム宣言にサインすべきではないか。
 ポツダム宣言にサインしていたなら、北方領土への軍事侵攻はあり得ないし、それは「進駐軍」ということになり、当然北方領土は「戦利品」ではなく「進駐軍による地域支配」ということであって、サンフランシスコ条約による「進駐軍」と日本との条約締結を以て日本は独立したことになっている。だからロシアはサンフランシスコ条約にも参加できず、戦勝国の一員としてサンフランシスコ条約にもサインしていない。だから日本とロシアは「平和条約」が締結できていないのだ。

 以上のようなことを踏まえて日本のマスメディアは記事を書くべきだが、日本を代表するマスメディアの毎日新聞ですら「歴史認識の違いが両国間にある」としか書かない。これほど「歴史に無知」なのが戦後日本のマスメディアの実態だ。
 日本国民も愚かな日本のマスメディアに洗脳されて「二島返還論」で良いではないか、などと主張する国民が半数に達するなどという、領土喪失を重大事と考えない見下げた国民に成り下がっている。正々堂々と「我が利」を主張しないで日本の国土と国民の安全は守れない。北方領土で一歩でもロシアに譲歩すれば、近い将来に明らかな日本の領土たる尖閣諸島と竹島も何の根拠もない嘘八百を並べ立てて恥じない隣国によって奪われるだろう。

 ロシアと国交断絶して日本国民に何の不利益があるのだろうか。国交を閉じて困るのはロシア側だ。日本国民はロシア産のタラバガニを食わなくても餓死しない。むしろ北方領土に暮らすロシア国民が困窮するだけだ。出来れば困窮した挙句、ロシア本土へ引き上げてもらいたい。北方領土はかつて一万五千人もの日本国民が暮らしていた「祖国」だ。
 ロシアが「戦利品」だから返還しない、という「戦争万能主義」論理も明らかに破綻しているし、現代において「戦争万能主義」を主張するのは明らかに誤りだ。国境線の変更を軍事力を背景に行うのは前世紀の遺物であって、現代国際社会では恥ずべき行為だ。クウェートを軍事侵攻したイラクがどうなったか、ロシアはよくよく歴史に学ぶべきだ。

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