それでも丸山穂高氏の衆院議員議席を奪うべきではない。
<北方四島を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会から除名された丸山穂高衆院議員に対し、自民、公明の与党は、譴責(けんせき)決議案を21日に衆院に提出する方針を決めた。議員の身分を保障する憲法などへの配慮から、野党が提出した議員辞職勧告決議案には同調せず、注意喚起の内容にとどめた。
丸山氏の発言をめぐっては、立憲民主党や維新など野党6党派が17日、「我が国の国是である平和主義に反し、国益を大きく損ねる暴言。国会全体の権威と品位を著しく汚した」として辞職勧告決議案を衆院に共同提出した。
ただ、辞職勧告決議案はこれまで、主に刑事責任を問われた議員に出されており、「暴言」が理由となるのは異例。自民党はもともと、「辞職勧告は議員の身分を不当に奪いかねず、憲法上疑義がある」との立場。2002年には、議員の出処進退は自ら決すべき▽国会決議で身分を奪おうとすることは慎重を要する――などの確認事項を党決定した経緯があり、野党案には難色を示していた。
とはいえ、野党案に反対するだけでは「丸山氏の発言を認めたと受け止められかねない」(自民党幹部)との懸念もあり、辞職は求めないものの、注意を促す決議案を検討。自民党の森山裕、公明党の高木陽介両国会対策委員長が20日、「譴責」で合意した。決議は国会各会派の全会一致が原則のため、衆院議院運営委員会で協議を求める方針だが、野党と調整がつく見通しは立っていない>(以上「朝日新聞」より引用)
北方四島を戦争で取り返す是非に言及し、日本維新の会から除名された丸山穂高衆院議員に対し、自民、公明の与党は、譴責(けんせき)決議案を21日に衆院に提出する方針を決めた、というのはもっともなことだ。しかし「議員の身分を保障する憲法などへの配慮から、野党が提出した議員辞職勧告決議案には同調せず、注意喚起の内容にとどめた」というのも議員の自由な発言を保障するという憲法の観点から当然のことだろう。
丸山穂高氏が衆院議員の議席を得ているのは有権者の負託があったからだ。選挙で示された有権者の意思は勝手に奪われるべきではない。それがたとえ愚かな発言であれ、国会議員の議席は選挙で奪われるべきで、国会決議で議員が奪うべきではない。
国会議員の「発言の自由」とはそれほど重い「権利」だ。なぜならそうした議員としての議席を国会決議で奪うことが常態化すれば、権力に立ち向かう野党国会議員の議席もまた奪われかねない。
人は感情によって判断を誤る場合が多々ある。戦争などが良い例だ。本来は残虐な行為を憎む人物であっても、肉親を殺害された場合などに復讐の鬼と化す場合だってある。「リメンバー・パールハーバー」と戦争へ雪崩を打った米国民もまた政権によって操作されて冷静さを失った格好の例だ。日本軍に対して戦争を仕掛けたのは真珠湾よりも半年以上も前に「フライング・タイガー」として空軍で毛沢東軍に助勢した米国だ。しかし、そうした史実を指摘する日本国民は極めて少ない。もとより、米国民は知らぬ素振りに徹している。
戦争は憎むべきだが、ロシアが「戦利品として北方領土を奪った」のだから「戦利品を返還する必要はない」と主張するのなら、ロシア国民は北方領土を占領するのに一発の銃弾も発射していないことを知った上でそうした愚かな発言をしているのだろうか。
日本はポツダム宣言により無条件で「武装解除」した。それは決して「無条件降伏」ではない。ポツダム宣言に記された「国体保持」を条件に「無条件武装解除」しただけだ。それを「無条件降伏」と翻訳して日本国民を欺いたのは日本のマスメディアだ。そこに戦後日本史の誤った原点がある。
北方四島の返還実現を果たすには史実をロシア国民に教えることが先決だ。まずその前に日本国民がポツダム宣言の条文をネットなどで調べて検証すべきだ。そしてなぜ旧ソ連がポツダム宣言にサインしていないのかを知るべきだ。つまり北方四島の占領がポツダム宣言に反することをスターリンは知っていたからだ。
そうした自分勝手な「好いとこ取り」はロシアや中国や韓国など隣諸国のお家芸だ。いや、世界各国はそうした非常識が罷り通る権謀術数の外交が未だに幅を利かせている。それは世界各国のマスメディアが公正・公平な報道姿勢に徹してないからだ。政府発表の嘘を多くの国民は信じているのはマスメディアが真実報道に命を懸けてないからだ。
丸山穂高衆院議員は国会議員としての資質を欠いているのは明らかだ。しかし、それでも彼の議席は国民から負託されたものであって、国会決議等で奪われるべきではない。それが日本国憲法の定めるところでもある。