まず一元化しない限り、年金支給開始年齢の引き上げ論は「聞こえません」。

<財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日の分科会で、社会保障制度改革に関する提言案をまとめた。高齢の雇用者が増加傾向にあることを踏まえ、現在は70歳までとされる公的年金の受給開始年齢について、受給者の希望に応じて引き上げることを可能にすべきだと指摘した。

 厚生労働省は今夏をめどに、5年に1度の年金財政検証の結果を公表。これを受けて、年金制度の見直しに関する作業が本格化する。財政審は近くまとめる建議(意見書)に提言内容を盛り込み、政府内の議論に反映させたい考えだ。

 現在、公的年金の受給開始年齢は60歳から70歳の間で自由に選べる。提言案が示した試算によれば、受給開始年齢を65歳から60歳に前倒しすると年金月額は30%減少。反対に70歳に遅らせれば42%増える。提言案はこれを踏まえ「将来の年金給付水準を向上させる選択肢を設けることは重要だ」と強調した>(以上「時事通信」より引用)


 70歳に支給開始年齢を引き上げれば42%支給額が増える、というのが年金支給開始年齢引き上げの謳い文句のようだ。民間の保険会社がそれと同じことをしたら「契約違反」として訴えられる。
 国が行う年金支給開始年齢の引き上げは「犯罪」に問われない。国は何をやっても平気の平左だ。しかし年金会計が困窮するのは昨日今日分かったことではない。人口推計はまず狂わない数少ない政府推計だ。年金会計がこうなることは数十年も前から分かっていたことではないか。

 なぜ国民に支給する年金が三種類もあるのか、という説明を何度聞いても納得できない。国民年金は最下層の第一段目で、厚生年金は二階建て部分、さらに共済年金はその上に三階部分があるから最も支給金額が多い、というのが政府の説明だが、そうしたことは何とでも「後付け」で説明できるカラクリだ。
 なぜ国民年金が「基礎年金」として一階部分なのか。その一階部分しか支給されていない国民は「最下層」の年金受給者なのか。一体いつ、国民年金は一階の最下層と位置付けられたのか。

 「ためにする」説明ではないか。国民年金は国民年金でしかない。それが厚生年金の一階部分だと、実態を目で見た国民は一人もいない。官僚の机上の「屁理屈」でしかない。
 理屈と公約は何処にでもつく。厚生年金は個人の掛け金と同額を企業が支払うから「二階建て」で、共済年金は個人負担の二倍を税金で支払っているから三階建てだ、という理屈なら理解できるが、それなら国民年金は個人負担の産廃を税金で支払ってくれれば四階建てになるのか。
 そもそも社会保障の大原則は「負担は応能で、支給は一律」ではないか。なぜ現役時代の働き方によって引退後の年金に格差があるのか、日本というあまねく同一の法律が行き渡っている国家で三種類の年金格差が制度として存在しているのだろうか。

 すべての年金に関する議論は「社会保障制度」という「そもそも論」から議論すべきだ。三種類の年金を温存したまま支給開始年齢の引き上げを論じるのは「聞こえませんぜ」と応えるしかない。

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