外国人労働移民は「不良外国人」の掃き溜めになりかねない。
<13日午前、フィリピン・マニラのアテネオ・デ・マニラ大学で、日本の新たな在留資格「特定技能」の初めての試験が実施された。対象は「介護」分野。報道陣の立ち入りや受験者への取材は認められず、詳細は不明だが、14日までの2日間で計125人が日本語や技能の試験を受験する。合格者は今年夏にも日本で働き始める見通しだ。
「日本は一番行きやすい国。家族を養うために、今すぐお金を稼ぎたい。できるだけ長く働きたい」
マニラの事務員ジョイさん(28)はそう話す。今回は先着順の受験申請に間に合わず、次回に受ける予定だ。大学を卒業して看護師の国家試験に合格したが、なり手は多く、資格を生かせる職場はなかった。地方で暮らす母を支えるために事務員として働き、月給から月3千ペソ(約6400円)を送っている。
フィリピンは約230万人が世界で働く海外出稼ぎ「大国」。看護師だけでも毎年1万9千人が海外に出ると言われる。人気は同国の何倍もの給料をもらえるカナダや豪州。一方、「高学歴の人は見向きもしない」のが日本だと、マニラで人材業に関わる石川哲哉さん(44)は言う。給料などの待遇が良くないのだ。
ジョイさんもカナダなどの状況を調べたが、あっせん料や約50万円の銀行口座残高証明の提出などで、計約100万円の初期費用が要ると分かり諦めた。一方、日本の特定技能は長期の経験や高額の準備金は不要。日本語は日本の団体の奨学金を得て既に学んでおり、合格に十分な能力があるという。
ジョイさんは、2017年には滋賀県の老人介護施設で2カ月間の研修を受けた。高齢者を施設に預けることはフィリピンでは一般的ではなく、「すごくショックを受けた。でもお風呂や食事を手伝って、お年寄りの笑顔を見るのがうれしかった」と話した。
石川さんは「生活苦で今すぐ稼ぎたい人が多く、特定技能制度への期待は高い」と話す。受験申請はすぐに定員に達しており、マニラでは5月下旬にも試験が予定されている。(マニラ=鈴木暁子 >(以上「朝日新聞」より引用)
外国人労働移民の現実が朝日新聞に掲載されている。日本の職場は東南アジアの若者たちの憧れの的ではなくなっている。それは就労の規制が厳しい割に待遇が悪いからだ。
日本国民は東南アジアから日本へやって来る外国人労働移民の人たちが斡旋料や銀行口座に50万円の残高があるなどの条件があることを知らない。それは政府の進める外国人労働移民政策が「斡旋業者」の商売に過ぎないからだ。受け入れる日本でも派遣業者が一手に労働移民現場の事業を担っている。
日本国民は35万人も受け入れる外国人労働移民は「国策」で、相手国と国レベルの「移民」を行っている、と考えている。しかし現実は相手国でも日本でも斡旋業者や派遣業者の「食い物」になっている。
高学歴の人たちは日本に来ない、とフィリピンの人たちは言っている。つまり外国人労働移民は「低学歴」「低所得」の外国人の吹き溜まりになりかねない。そうした人たちが大量に日本へやって来るのだ。
介護や生産現場で彼らが「定着」して5年間も働き続けるとは思えない。半年も経たずして職場から姿を消して、彼らが「不法滞在者」となって都会に紛れ込んだなら、どのようにして入管は彼らを探して帰国させるのだろうか。
そのコストは一体幾らかかるというのだろうか。外国人労働移民は決して「安価」な「人手不足」の解消策ではない。日本の未来に重い課題を残す悪政だ。
既に日本で行方不明になっている「留学生」や「技術実習生」などの問題を解決してから、外国人労働者移民をもう一度原点から議論すべきだ。拙速に進めてはならない。