「大阪都構想」という行政区分の変更ではなく、都道府県の廃止を議論すべきだ。

大阪府の松井一郎知事(地域政党・大阪維新の会代表)と大阪市の吉村洋文市長(同政調会長)が任期途中で辞職し、4月の統一地方選と同日に知事・市長のダブル選が実施されることが確実となった。松井氏が市長選に、吉村氏が知事選へと入れ替わって出馬する方針だ。
 大阪維新は看板政策である大阪都構想の実現のため、住民投票で賛否を問うことを目指してきた。だが、府・市両議会で議席が過半数に満たないため、住民投票にこぎつけるには公明党の協力が不可欠だった。
 公明党府本部は2日に幹部会合を開き、維新から求められていた知事・市長の任期満了(知事11月26日、市長12月18日)までに住民投票を実施する案について、対応を協議。公明関係者によると、「住民投票の実施時期ありきの要求には応じられない」として、要求を拒否する方針が決まった。支持母体の創価学会の了承も得ているという。
 大阪維新は公明との協議が決裂すれば、ダブル選に踏み切る方針だった。都構想に対する民意を問うためだ。松井・吉村両氏は8日にも辞職表明する。ダブル選は、大阪府議選・市議選と共に4月7日に投開票される予定だ。
 一方、都構想に反対する自民党大阪府連は2日の会合で、ダブル選が確定すれば知事選、市長選に擁立する候補者を発表する方針を確認した。公明も自民の候補を支援する方向だ>(以上「読売新聞」より引用)

  大阪府知事と大阪市長が入れ替わって立候補するとは前代未聞だ。前にも橋下氏が大阪坂府知事から大阪市長へ鞍替えしたことがあった。
 そうした入れ替え立候補で連想するのはメドベージェフとプーチンのロシア大統領と首相だ。つまり政権を恣にしている連中の手法に過ぎない。

 大阪維新は何が何でも「大阪都構想」に拘泥しているようだが、既に「大阪都構想」は住民投票で終わっている。いや住民投票するまでもなく「大阪都構想」による経費の無駄を省く、という根拠も殆どないことが明らかになっている。
 大阪府に府下の市を解体して統合する、というのまでは良いが、市を解体しても行政の実施主体として「区」を設置するので、当初橋下氏が説明していた年間数千億円という削減ではなく、多く見積もっても経費削減は数億円規模になることが判明していた。実際に行えば却って経費が増大するのではないか、というのが専門家の見方だ。

 なぜ大阪府内の行政区分の改変で経費削減を行おうとしているのか、理解に苦しむ。むしろ行政上不要なのは中二階当たる都道府県だ。極論すれば国と行政の実施主体の市町村だけがあれば良い。
 そして千余に減少した市町村を国が直接管理するのは現代の事務機器の進歩により可能だ。光回線情報網で日本ほど全土に張り巡らされている国も世界にはない。高速ネット回線を使えば全国市長会や町村会をネット回線を使って開催することも可能だ。

 そもそも行政ほどIT化に向いている事務作業はない。なぜならすべて法令で規定され文章に書かれているからだ。それらをプログラムに組むのはそれほど困難なことではない。
 つまり全国市町村の事務処理を一台のフレームで処理することは可能だ。安全性を考慮しても二系統の事務処理体制を構築すれば良い。つまり全国の市町村で個別的に巨額費用を投資している電算処理費は殆どを省くことが出来る。

 公務員の人員配置も、窓口業務と現業職だけいれば良いことになる。中間管理者の多くはai化出来るだろう。その代わり、各地方で民間の学識経験者による行政改革委員会を設置して、現行の行政形態を合理化促進する必要がある。
 同時に、合理化により浮いた経費を「国土強靭化」へ振り向けることだ。行政はハザードマップを制作し全国の危険個所を把握しているが、その対策はほとんど手つかずだ。危険な傾斜地だから雨が降ったら避難せよ、というだけでは安全確保とは言い難い。土木の専門家などを交えて、ハザードマップで危険と認識されている地域の安全確保に行政が乗り出すべきだ。

 意味のない「大阪都構想ごっこ」で遊ぶのはいい加減にすべきだ。むしろ非効率な行政職務そのものに切り込むべきだ。そして巨大フレームは国ではなく、全国市町村会が運営すべきだ。そして国も行政職務のai化と合理化に乗り出すべきだ。

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