携帯電話の非常識な商慣行は電波行政の歪みそのものだ。

<は25日、携帯電話料金の値下げに向けた電気通信事業法の改正案を自民党の部会で示し、了承された。端末代金と通信料を完全に切り離した「分離プラン」の提供を義務付け、セット料金は禁止することが柱。政府は3月上旬、今国会に提出する方針だ。

 端末代金の割引に充てるために、月々の通信料が割高に設定されるのを是正する。「2年縛り」「4年縛り」と呼ばれる拘束期間を設けた料金プランを念頭に、利用者の解約を不当に妨げる契約も禁じる。携帯会社などが違反した場合は業務改善命令の対象となる。

 日本の携帯料金は諸外国と比較して割高との指摘がある>(以上「共同通信」より引用)



 自由主義社会で「携帯電話料金」を国会で引き下げるような「法案」を決議する、という。端末代金と通信料を完全に切り離した「分離プラン」の提供を義務付け、セット料金は禁止することが柱。政府は3月上旬、今国会に提出する方針だ、そうだ。
 電話事業者が如何なる事業を行うかは基本的に自由なはずだ。しかし実際は通話料金といい、契約に「縛り」があったりといい、必ずしも携帯電話事業者間で自由競争が機能していない面があるのも事実だ。

 なぜそうなったのか。それは大手三社の寡占状態に原因がある。独占に関しては「独占禁止法」があるが、寡占に対して「寡占禁止法」はない。
 それではなぜ携帯電話業者が寡占状態になったのか。それは政治の電波事業者支配を意図した結果だ。つまり電波割当を所管する総務省が業者選定を行ったからだ。

 テレビに関しても電波割り当てを梃子にして政府がテレビ各局を支配している。各局の中でも最も支配しやすいのがNHKだ。なぜならNHK予算などを国会で審議するからだ。
 そうした支配体制を維持するために、業間の慣行に目を瞑っていた節がある。たとえば二年縛りで解約時は契約した月のだけでしか認めない、という業者が勝手に決めて、それを消費者に「強制」してきた。これほど不合理な契約が携帯電話会社以外にあるだろうか。

 消費者の無知に付け込んで、消費者に不利な使用料金制度を設定して、利用情報量を上回ったら「課金」をさせる、という実に不透明な契約を野放しにしているのも日本独特だ。
 携帯契約を行えばいかに情報を多量に遣り取りしようが利用料金は変わらないはずだ。通話時間によって利用料が異なる、というのなら合理性がある。しかしネット接続して交信いるだけで「課金」が発生するのは合理的でない。

 それらの合理性を欠く契約が横行しているのは電波支配の結果だ。そもそも電波事業の基となった電話回線は利用者が「電話債券」購入で負担したものだ。だから元は企業各社の固定資産の部の無形固定資産として「電話加入権」なる科目があった。
 それを一方的に「無価値」としたのが携帯電話だ。携帯電話を購入すれば「電話債券」を購入しなくても電話が手に入るからだ。つまり設置電話を設置した消費者が負担した「権利」を一方的にチャラにしたのだ。大人しい日本国民だから訴訟は一切発生しなかったが、権利意識の強い国民性ならどうだっただろうか。

 スマートフォンをタダであげる代わりに契約期間の「二年縛り」だというのは理解できる。しかし「縛り」の期間が過ぎればいつでも自由に契約解除できなければならない。
 業界の常識だからそれに従え、というのは自由社会にあってはならない。業界では常識でも、社会的には非常識だ。携帯電話各社が談合したかのような非常識を放置して来た公正取引委員会は何をしていたのだろうか。それとも「縛り」を勝手に設けても構わないと思っているのだろうか。

 世界と比して割高な携帯電話料金を長年放置して来た「電波行政」のあり方そのものも再考しなければならないのではないだろうか。

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