安倍氏よ、結果責任を取りなさい。
<厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題をめぐって、国会で論戦が続いている。2月4日の衆院予算委員会では、安倍晋三首相が「統計をいじってアベノミクスをよくするなんて、できるはずがない」と激怒するシーンが映された。
立憲民主党の小川淳也議員の質問に答えたもので、昨年の“もりかけ疑惑”でも、国会で野党に痛いところを追及されると、安倍首相は興奮して声を荒らげる。野党の追及が的を射ているから一国の首相という立場を忘れ、思わず興奮してしまうのだろう。安倍首相の性癖である。
小川氏は2015年10月の経済財政諮問会議で、麻生太郎副総理兼財務相が毎月勤労統計について発言したことを取り上げた。厚労省はこのときの麻生氏の発言を受けてすぐに動いたというが、小川氏はそこを質した。
小川氏によると、同諮問会議で麻生氏は「(499人以下の中小)企業サンプルの入れ替え時にデータの変動があるとされている。改善策を検討してもらいたい」と話し、この発言を“指示”と捉えた厚労省は中小企業に加え、都内の従業員500人以上の事業所の調査データを補正するため、プログラムを改修した。その結果、2018年の月ごとの名目賃金上昇率が実態より高くなった、というのだ。
小川氏は「不正調査の背景には『いい数字を出せ』という政治的圧力があった」と追及。だが、麻生氏は「統計の精度向上の話をしただけだ」とかわした。安倍首相は前述した答弁に加え、「安倍政権が偽装しようとしたという結論ありきだ」と抗議する姿勢をみせた。
麻生氏の3年半前の発言が毎月勤労統計にどう具体的に影響を与えたのか。そのからくりはまだよく分からないが、どうやらキーマンは麻生氏らしい。
この国会論戦では、物価変動を加味した「実質賃金」と、国内の労働者の所得を合計した「総雇用者所得」の違いが焦点のひとつになっている。
実質賃金を重視する野党側は2018年の毎月勤労統計の調査事業所のうち、前年の2017年も調査対象となっていた共通事業所に絞って算出してデータ化し、「9カ月もマイナスだ」と追及している。
これに対し、安倍政権側は「総雇用者所得は、名目でも実質でもプラスで、アベノミクスの成果だ」と主張している。
野党の追及と安倍政権の主張のどちらが正しいかは専門家によく調べてもらいたいが、アベノミクスによって株式などの金融資産をもつ富裕層が恩恵を受け、給与所得に頼る大半の国民が景気のよさを実感できていないことは確かである。焼鳥屋で一杯やっていて「お客が減っている」と店主から愚痴を聞く回数は、増えるばかりである>(以上「PRESIDENT online「急所を突かれると興奮する安倍首相」」より引用)
統計数字の折れ線グラフを見ていると、ある時突然「断線」したかのように変化する時がある。その時に何らかの「操作」がなされたと思えば間違いないだろう。
株価の日経平均でも安倍自公政権下で「日経平均を経済実態と合わせるため」と称して平均値を取る企業の入れ替えを行って業績が好調なIT企業を平均統計を計算するサンプル企業に入れた。果たして日経平均はハネ上がったが、そのことを断るマスメディアはなかったし、以前のサンプル企業だったとした場合の平均値を示すマスメディアは皆無だった。
マスメディアによる世論誘導はこのようにしてなされる。だからマスメディアとしては「誘導した事実はない」と反論するだろう。政府広報の情報そのままを報道しているに過ぎないと。
しかし、それが世論誘導の手口だ。自らアベノミクスを誇る場合に安倍氏が取り上げた数字は「株高」と「失業率」の二つだけだ。他にも景気を占う数字はたくさんある。最も的確に景気動向を反映する古典的な数字はエンゲル係数だが、政府がエンゲル係数を報じたことは皆無だ。なぜならエンゲル係数は安倍自公政権下で上昇しているからだ。
第二次安倍自公政権の六年有余の平均GDPの伸び率は1%前後だ。それを経済成長している、と強弁するのが安倍氏の常套手段だが、国際比較では世界のGDPが平均で3%前後成長しているため、日本の世界のGDPに占める割合は低減している。
第二次安倍自公政権が始まった当初、世界のGDPの4.6%を占めていたが、2018年は4.1%になり今年にも4%を割り込みそうだ。それほど日本は衰退の一途をたどっている。それが正しい安倍自公政権の「政治結果」だ。
安倍氏は「政治は結果だ」と常々口にしている。安倍自公政権下で日本経済は確実に衰退し、日本国民は貧困化している。政治が結果なら、安倍氏は自らの非力を詫びて直ちに退陣すべきだ。
それが「結果責任」を果たす者の責任の取り方だ。いつまでも無能な者が政権の座に居座ると国民が迷惑する。