御用エコノミストたちも、ついに政府統計の不正確さを批判した。
<厚生労働省が「毎月勤労統計」の一部調査を不適切な方法で実施していた問題。この統計は賃金の動向を示す国の基幹統計の一つで、政府の政策判断にも影響する。景気を分析するアナリストからは困惑や憤りの声が上がった。
厚労省の勤労統計がサンプルすべてを調査したものでなかったことは先日このブログで批判した。遅ればせながら、民間シンクタンクのアナリストたちも「経済分析」が不正確になる、と批判している。
統計数字を明らかに捏造している中共政府を常々嘲笑してきた。中国のGDP統計が当てらならないことは国際社会で周知の事実だ。しかし日本の経済統計も当てにならないというのでは国家の威信にかかわる。
アベノミクスをヨイショしているエコノミストたちは安倍自公政権が「イザナギ景気超え」と発表しても沈黙を守ってきた。腹の中では「景気は少しも良くなっていない」と「実感」していたはずだ。それでも政権批判しないでテレビのコメンテータを干されない方が優先される。テレビに出ていれば地方の馬鹿な自治体担当者や商工会議所が「講演」の講師として呼んでくれる。そうすればアゴ・アシ別で百万円程度の小遣いが入る。
ゆえに日本のマスメディアは政府発表通り 「イザナギ景気超え」を一斉に報じた。世界のGDPに占める日本のGDPの割合が安倍氏治世の六年間も低下し続けて、ついに5%を割り込んだ、という報道は皆無だ。現実には日本経済はデフレ下で衰亡の坂道を転がり落ちている、というのにも拘らず。
この統計はデフレ脱却を目指す「アベノミクス」にとっても重要な指標だ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「賃金水準が不明確なままでは、伸び悩む消費への対策など、政府が正しい対策を打てなくなる」と指摘する。
勤労統計を巡っては、今回判明した不適切調査のほかに、昨年1月から従業員499人以下の事業所についてサンプルを大幅に入れ替えた際、調査対象が賃金や業績が比較的高水準の企業に偏ってしまった可能性がある。宮前氏は「統計に二重のゆがみが生じ、賃金の実勢が読み取りにくくなった」と批判する。
第一生命経済研究所の伊藤佑隼(ゆうと)エコノミストは「賃金データは注目度が高く、調査手法が不適切というだけでエコノミストの分析は信用されなくなる。政府が早急に原因を説明し、チェック体制を整えてほしい」と求めた>(以上「毎日新聞」より引用)
しかし数字の嘘は口先で誤魔化すわけにはいかない。統計資料が不正確なら、統計を基にして論じられる議論も不正確だ。
厚労省は年金履歴でもヤラカシ、残業統計でもヤラカシ、そして技能実習生の逃亡原因でもヤラカシた。防衛省は日報問題でヤラカシ、財務省は国有地売却でヤラカシた。日本の官僚制度はどうなっているのだろうか。どうも日本は根幹の部分で箍が外れたようだ。