経済格差を是正するため、税による富の再配分を強めよ。

「デフレで苦しむ日本経済」と決まり文句のように言われてきた。
 しかし、消費者が嫌うのはデフレではなくインフレだ。だから、企業は価格の引き上げを避けようとする。
 しかし、こうした価格戦略が、販売価格は変わらなくても量を減らす「単価のアップ」やサービスなどを落とす「質の劣化」という「ステルス・インフレ(隠れた物価上昇)」を引き起こす。
このことに消費者は肌感覚で気が付いている。「体感物価」を見ると、日本は立派なインフレだ。
 日本の物価はなかなか上がらない。
 昨年12月の消費者物価は、生鮮食品を除いたベースで前年比+0.7%と小幅な上昇であり、さらにエネルギーも除けば+0.3%とほとんど横ばいだ。
 加えて、昨年終わりごろから原油価格が大幅に下落した。足元ではやや反発してきているが、原油価格下落は消費者物価を下げる要因として今後、効いてくる。
 さらに、4月には携帯通話料金の引き下げ、10月には幼児教育の無償化が予定されおり、物価指標を大きく押し下げる要因になりそうだ。消費者物価の伸びが前年比で再びマイナスになってくるかもしれない。
 政府や日本銀行は「これは一時的な動きであり、持続的な物価下落、すなわちデフレではない」と、主張するだろうが、日本の物価は上がりにくいことを改めて印象付けることになろう。
「デフレ脱却」をスローガンにする安倍政権がそんな時に消費税率を10%に上げられるのか心配になってくる。
 もっとも、物価が上がらなくなることによって、消費増税による実質所得の目減りが緩和される。デフレ脱却が遠のくことが、日本経済にとってプラスに作用するというのも皮肉な話だ。
 なぜ日本の物価は上がらないのか。
 日銀が大胆な金融緩和をしないから物価が上がらないのだ、と、いわゆるリフレ派を中心にさんざん言われてきたが、黒田日銀総裁による異次元の金融緩和をもってしても一向に物価が上がってこない。
 この状況を見れば、金融緩和の問題ではないことははっきりしてきた。
 日銀当座預金残高が激増したからといって実体経済や物価には影響がないことは最初から分かっていたことだ。
 デフレの原因を人口の減少あるいは高齢化といった人口動態に求める説もある。
 確かに、需要の拡大が抑えられることは、物価の上昇圧力を弱めるだろう。また、賃金が上がらないから物価も上がらない、という見方も有力だ。
 懐具合がさみしければ多くの人は価格の上昇を受け入れる余裕がなくなり、人件費比率の高いサービスの価格が上がりにくくなる。
 おそらく、こうした要因が日本の物価を上がりにくくしていることは事実だろう。
 しかし、一番、重要なことは、日本企業が価格引き上げに慎重であり、価格引き下げを販売促進のツールとしていることだ。
 需要や所得が伸び悩んでいるのに価格を引き上げれば、販売が減少することは目に見えている。日本企業は、売り上げシェアへのこだわりが強い。
 シェア低下を恐れて低価格を維持する低価格戦略がデフレをもたらした大きな要因と言えよう。
 だが、消費者が感じているインフレ率はもっと高い。
 日本銀行が3ヵ月ごとに行っている「生活意識に関するアンケート調査」では、「1年前に比べ現在の物価は何%程度変わったか」という実感を尋ねている。
 最新の12月調査では平均5.0%物価が上がっているという結果になっている。もし、この「体感物価」が正しいなら、2%の物価目標をすでに達成しているだけではなく、高インフレの心配をしないといけない。
 なぜ、物価統計の数字と体感物価はこんなに差があるのか。
 まず、日銀のアンケート調査に回答する人が、調査時点の物価動向をピンポイントで体感しているとは考えにくい。おそらく、過去1年ぐらいの物価の動向を無意識のうちに合成しているのではないか。
 また、たまにしか購入しない品目よりも、頻繁に購入する品目の価格動向の方が体感物価に大きく影響するだろう。
 そこで、「生鮮食品を除く総合」と「頻繁に(1ヵ月に1回程度以上)購入する」という二つの系列の四半期データを後ろに4四半期ずつずらしながら平均を計算して(4四半期後方移動平均)、日銀のアンケート調査で示された体感物価の平均と比べてみた。
 これを見ると、同じように変動していることが分かる。特に、「頻繁に購入する」の系列は体感物価との連動が強そうだ>(以上「ダイアモンド」より引用)


 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究主幹 鈴木明彦氏がダイアモンド誌上で「隠れたインフレ」と題して上記の論評を書いている。実は上記記事の続きで具体的な「隠れたインフレ」を鈴木氏は指摘している。
 つまりそれは量目を減らして販売しているからインフレだと結論付けている。1ℓ100円だったジュースが900CCで百円になっている、という量目を減らして価格維持をしているから「隠れたインフレ」だという。それが経済成長を阻害していると鈴木氏はいうのだ。

 いかにも安倍ヨイショの論評だ。デフレ経済に陥ったままのアベノミクスをこのブログでは「アホノミクス」と呼称しているが、鈴木氏は「デフレではなくインフレだ」と現状認識を根底から覆そうとしている。
 しかしデフレはデフレだ。量目を10%減らせば10%のインフレだ、という鈴木氏の指摘は当然消費者物価の価格動向調査に反映されている。生活必需品の価格がジワリと上昇しているのは日本国民すべてが承知だ。そうしたことも分からないほど日本国民は鈍感ではない。

 物価が上がらないのは「国際分業」で安価な製品が国内に集中豪雨のように流れ込んだからだ。それにより企業は最大の利益を手にし、内部留保は空前の額に達している。しかし、国際分業の成果だから日本の労働者は分配に与っていない。そこが大問題なのだが、鈴木氏の評論にそうした指摘は皆無だ。
 「隠れインフレ」だからインフレだと国民は認識しろ、というのは暴論だ。国民がインフレだと認識しないから経済成長しないのだ、という結論に到っては笑うしかない。経済成長は「感じろ」として認識される「情緒」の問題ではなく、生産活動や消費活動などの経済生産活動の総和として算定される「数字」だ。

 日本はなぜ格差が拡大して総体的に貧困化しているのか。それは労働者賃金が上昇していないからだ。だから安倍自公政権下の官僚たちが労働賃金が上昇しているかのように「統計数字」を誤魔化していた。しかし誤魔化しだから、国民は生活実感として賃金上昇しているとは感じていないし、経済統計数字として国民消費総額が上昇していないことにも現れている。
 正確な統計数字は「嘘」を吐かない。国民を誤魔化しもしない。日本経済の真実は消費増税による総需要不足に陥っているだけだ。そして更に馬鹿な安倍自公政権は消費税を上げようと目論んでいる。「国民の生活が第一」の真逆の政治を続けていて、経済成長するわけがないではないか。

 日本経済の主力エンジンはGDPの半数近くを占める個人消費だ。その個人消費を冷やして、企業収益が改善したから景気が良くなる、という愚かな論評を続ける経済評論家が多いのに驚く。
 彼らは大学等で学んだ学業を何処かに捨てて、安倍ヨイショの暴論経済学を展開している。「隠れインフレ」などと気取った鈴木経済論を展開する暇があったら、世界のトップ26人の資産が世界人類の半数36億人の資産に相当し、トップ26人の所得に僅か0.5%増税したなら貧困問題は解消する、というデータにこそ瞠目すべきだ。

 生涯かけても使い切れないカネはないのと同じだし、人は一度に一部屋しか必要ない。広いパーティー用のリビングを持つよりも、ホテルを利用する方が合理的だ。日本には「起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半」という言葉がある。
 富の偏在は仏教やキリストやマホメッドの教えに反するのではないか。等しく分かち合うべきだ。

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