北方領土は「四島返還」以外にあり得ない。

安倍晋三首相とプーチン露大統領は25回目となる今回の会談で、お互いの立場を乗り越えて、長年の懸案である北方領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を改めて確認した。6月の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせたプーチン氏来日までに条約締結に向け、大筋合意できる可能性は十分ある。
 首相が、平和条約締結を目指すのは、中長期的に見て安全保障と経済の両面でロシアとの関係強化が不可欠だと考えているからだ。
「中露が緊密に手を組む事態だけは避けなければならない」
 首相は周囲にこう語った。日本の安全保障は将来も日米同盟が基軸となるが、米国の実力は相対的に低下しており、中露が連携を強めれば太刀打ちできなくなるからだ。
 しかも中国はこの30年間で国防費を51倍に増強し、東シナ海や南シナ海で権益膨張を続けている。首相がいかに習近平国家主席ら中国指導部と友好を演出しようと、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をあきらめることはあるまい。軍事だけでなく、経済も脅威となっている。
 ならばせめて北方の脅威は取り除き、極東地域でロシアと安全保障でも協力すべきではないか。首相のこの判断は筋が通っており、平和条約締結はその大きな推進力となり得る。
 資源・エネルギー面でもロシアは重要だ。日本は石油の8割を中東に依存するが、イランやシリアなど中東情勢は不安定さを増す。ロシアから石油や天然ガスなどを調達できれば、リスク分散の意味でもメリットは大きい。
 だが、平和条約を締結するには国境線の画定は避けられない。そのため、首相は歯舞・色丹2島の引き渡しを明記した1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を交渉の基礎とした。ソ連崩壊直後の1990年代初頭と違い、日本が従来通り四島一括返還を求めれば、2島返還すらかなわぬ夢となると判断したからだ>(以上「産経新聞」より引用)



 日ロ平和条約締結に傾斜している安倍氏を擁護する産経新聞の論評は噴飯ものだ。その根拠を見ると「中国はこの30年間で軍事費を51倍にしている。ならばせめて北方の脅威は取り除き、極東地域でロシアと安全保障でも協力すべきではないか。首相のこの判断は筋が通っており、平和条約締結はその大きな推進力となり得る」と結論付けているのだから笑えてくる。
 中国が軍事費を51倍にした原動力はGDPの爆発的な巨大化だ。それを可能にしたのは日本の経済援助と技術援助と日本企業が大挙して中国全土へ移転したからだ。中国を経済成長させて13億人の巨大消費市場化させよう、という経済界の思惑に呼応した政治家たちの産物が巨大軍事大国と化した中国だ。

 その中国の脅威を最も強く感じているのは、実はロシアだ。事実、中央アジアのかつてソ連だったロシア周辺諸国へ中国は「一帯一路」のシルクロードの現代版と称して「経済植民地化」の布石を着々と打っている。
 沿海州のロシア領内に中国人が既に公式と非公式と併せて200万人近く入り込んでいることは一昨日のブログで書いた。その地域のロシア人は600万人だから、4人に1人は中国人という有様だ。しかも、今後とも沿海州の開発に中国人労働者は不可欠だ。

 さらに産経新聞の「正論氏」は「資源・エネルギー面でもロシアは重要だ。日本は石油の8割を中東に依存するが、イランやシリアなど中東情勢は不安定さを増す。ロシアから石油や天然ガスなどを調達できれば、リスク分散の意味でもメリットは大きい」とのヘンテコな論理を展開している。中東の資源よりもロシアの資源の方が安定しているのだろうか。
 何かといえばロシアは「パイプラインのバルブを閉めるゾ」と欧州を脅しているではないか。ロシアに依存すればロシアへの従属を強いられるのは自明の理だ。朝鮮半島や中国やロシアなど「捏造した歴史」を自国民に教える国家とは距離を置く方が賢明だ。

 日本のマスメディアは「二島先行返還」の線で対ロ報道の「協定」を結んだかのようだ。「正論氏」も「首相は歯舞・色丹2島の引き渡しを明記した1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を交渉の基礎とした。ソ連崩壊直後の1990年代初頭と違い、日本が従来通り四島一括返還を求めれば、2島返還すらかなわぬ夢となると判断したからだ」と二島先行返還が「現実的」だと結論付けている。
 先行返還が「帰属」だけなのか、それとも「主権」つきの「領土返還」なのかにすら言及しないのは誤魔化しだ。そして平和条約を締結すれば確実に「二島」が返還される、という確証があるのか。そして、それは「先行返還」であって、国後・択捉も返還される道は残されるのか、という点に全く言及しないのはなぜか。

 「ソ連崩壊直後の1990年代初頭と違い、日本が従来通り四島一括返還を求めれば、2島返還すらかなわぬ夢となる」とロシアの現状を「正論氏」は読んでいるが、ロシアはソ連崩壊時とそれほど変わらない経済状態にあることをなぜ日本国民に報道しないのだろうか。
 なぜロシアの首都モスクワにすら多くのホームレスがマンホールに暮らしていることを報じないのだろうか。ロシア国民の多くが貧困層の暮らしに甘んじている現実をなぜ日本のマスメディアは報じないのか。なぜ極東に暮らすロシア人がこの30年間で800万人から600万人に減少した現実を日本のマスメディアは報道しないのか。ロシア政府は極東・沿海州地域にまで回すほど国家予算がなく、北方領土開発は窮している。だから日本の援助が喉から手が出るほど欲しいのだ。そうしたプーチン氏の窮状をなぜ日本のマスメディアは日本国民に教えないのか。

 日本のマスメディアは腐り切っている。テレビも新聞もすべて安倍氏の「二島先行返還」で平和条約締結が「既定事実」でもあるかのように報道することで「報道協定」を結んでいるかのようなステレオタイプに成り果てている。
 言論の自由を自ら放棄したバカな日本のマスメディアは存在意義を増々失うだろう。ネットの中にしか真実の情報が見いだせないなら、有料のマスメディア各社はあっという間に淘汰されるだろう。なぜなら政府の広報誌やテレビをカネを払ってまで購入したり視聴する必要を国民は感じなくなるからだ。

 北方領土は「四島一括返還」を日本国民は望むし、ロシアがかつて日本国民に何を仕出かしたか「シベリア抑留」を持ち出すまでもなく、信用できない国だということを忘れてはならない。
 チェチェン紛争やウクライナ侵攻やクリミア半島併合に対する西側ロシア制裁の輪に日本も加わって、トコトン経済制裁を行い、ロシアを困窮へ追い込むことが北方領土完全返還への近道だ。たとえそれが何十年かかろうが、最後はアラスカと同様に「カネ」で決着をつけるしかないことを日本国民は肝に銘ずべきだ。

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