軍拡に勤しむ政治家の愚かさ。

中国が開発を進めてきた最新鋭ステルス戦略爆撃機「H20」が近く初の試験飛行を行う見通しだ。H20は核兵器の搭載が可能で、西太平洋での米国の軍事的優位を崩す狙いがあるとみられる。貿易摩擦をきっかけに米トランプ政権との関係が悪化する中、H20の試験飛行は米国に対決姿勢を示す意味合いもありそうだ。
 H20は尾翼のない全翼機で、外観は米軍のステルス爆撃機B2とよく似ているとされる。国営中央テレビは8月、「新型長距離戦略爆撃機H20の研究開発で重大な進展があった」と報道。今月10日付の環球時報英語版は軍事専門家の見方として、電子機器などのテストを終え試験飛行が近いという見方を伝えた。
 今年8月に米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する報告書によると、H20の航続距離は8500キロ以上と推定される。一方、環球時報は5月、H20の航続距離を1万2000キロ以上とみる専門家の分析を伝えており、中国軍は米軍の拠点であるハワイを標的として視野に入れている可能性がある。
 中国軍は、旧ソ連機を原型とする戦略爆撃機H6Kを西太平洋に飛行させ、米空軍基地のあるグアムなどの攻撃を想定した訓練を行ってきたとみられている。習近平指導部は「将来的な西太平洋の制空権獲得」(外交筋)を目指し、H20の実戦配備を急いでいるもようだ>(以上「時事通信」より引用)


 太平洋の制空権を中国が確保したとして、いかにして維持し、それを中国のいかなる戦略に生かそうとしているのだろうか。まさか中国が古代ローマ帝国のような、当時は地中海沿岸が人類世界のすべてと思われていた時代にパックス・ローマを築いたように、中国が世界をその手中に収めようとでもしているのだろうか。
 たとえ世界を中国が完全掌握したとして、それをいかにして維持し、それが中国民の幸せにどのように還元されるというのだろうか。バカも好い加減にすべきだろう。

 そうした軍事覇権域を拡大したところで、習近平氏の生存できる期間は高々三十年もないだろう。あらゆる生物に永遠の命がないのは真理だ。始皇帝も永遠の命に恋焦がれたが、巨大な墳墓を残しただけでこの世を去っている。
 たとえ習近平氏が現代の始皇帝になったところで「起きて半畳寝て一畳、天下獲っても二合半」の現実から逃れられない。それが人としての宿命だ。

 なぜ政治家として国民の最大幸福のために死力を尽くさないのだろうか。西太平洋に航空機を飛ばして「覇権ゴッコ」という浪費を繰り返してどうするつもりだろうか。たとえ太平洋の覇権を獲ったところで大したことはない、と米国の実情を見て思わないのだろうか。
 米国の実に七名に一人はフードスタンプのお世話になっている貧困層だ。大学進学も高騰する授業料に一般米国人は年間三百万円前後という費用を子供のために負担できなくなっている。

 天下獲っても「二合半」だ。たとえ習近平氏とその仲間たちだけがゴーン氏以上の巨額報酬を手にしたとしても、使い切れない大金は紙切れと同じだ。側聞するところでは習近平氏の子弟は巨額隠匿資産と共に米国へ「留学」という名の避難を済ませているという。
 なんとも腐り切った指導者だ。それでも中国民は「強い中国」に感激して、習体制を支持しているのだろうか。それはあたかも国民は貧困に喘いでいてもプーチン氏を熱烈に支持するロシア国民と酷似している。

 国家とは何だろうか。政治とは何だろうか。権勢欲に駆られる政治家は何を目指しているのだろうか。日本の安倍氏は米国のポチではなく、ネギを背負ったカモと正体がバレたが、彼は権勢を恣に行使して何を実現して、彼の手に何を得ようとしているのだろうか。
 世界中の政権トップたちが押しなべて劣化しているのはなぜだろうか。彼らは世界平和を希求しているのではなく、戦乱を求めてその準備に余念がないとしか見えない。人類を何回も死滅し尽くす兵器を貯蔵して威を張り合うという愚かさを国家レベルで繰り広げている現実は一体何だろうか。

 雑誌やテレビなどで大富豪の居宅を紹介したり、高級車や豪華クルーザーを紹介したりするのはなぜだろうか。生活する上で人が必要とする居宅はそれほど広くはない。
 使わない部屋を幾つも保有するのは無駄だ。車は安全に移動できれば他に何が必要だろうか。豪華クルーザーを保有するよりも、必要ならレンタルすれば良いだろう。使わない資産は無いのと同じだ。

 田舎に来るが良い。かつて「庄屋様」と呼ばれた豪勢な居宅が荒れ果てて朽ち落ちている様をお見せしよう。地域で権勢を誇ったであろう屋敷の庭が荒廃して荒れ野になっている様をお目にかけよう。
 人は生きても百年と持たない。そうした儚い命で他人の命を縮める軍備に勤しむ愚かさを政治権力者は人一倍自覚すべきだ。政治家に必要なのは政治テクニックではなく、政治家としての哲学ではないか。それは「国民の生活が第一」を旨とする無私の精神の涵養ではないだろうか。

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