リセッションに入った中国経済。

世界最大の自動車市場である中国で減産の動きが広がっている。販売不振の米フォード・モーターや韓国・現代自動車などに続き、日産自動車マツダ2割程度減産する。中国の新車販売は消費マインドの冷え込みなどで2018年に28年ぶりに減少に転じ、自動車工場全体の稼働率は6割台に低迷する。自動車産業は中国の国内総生産(GDP)の約1割を占めるとされ、雇用や関連産業への波及で中国景気の減速要因になる恐れがある。
日産は12月から大連工場(遼寧省)や鄭州工場(河南省)など主力3工場で2割程度の減産を始めた。3月まで生産ラインの一時停止などで3万台前後を減産し、在庫の適正化を急ぐ。
マツダも1916月に18年の生産実績から減らす検討に入った。中国企業への委託生産も含め、減産幅は最大で2割になる可能性がある。日本車は不振の米国や韓国メーカーと比べて堅調だったが、市場全体の縮小の影響が及んできた。
フォードは111月の販売台数が34%減と落ち込み、一部工場の稼働率は50%を割り込んでいるもよう。米ゼネラル・モーターズ(GM)も小型車工場の生産台数が11月に4割減となった。
現代自は17年から減産を続けており、「工場稼働率は6割程度」(現地部品メーカー幹部)。中国第一汽車集団や中国長安汽車集団などの独自ブランド車も減産を拡大しているとされる。
一方、トヨタ自動車ホンダは主力車種が好調で減産計画はないという。独フォルクスワーゲン(VW)も好調な高級車が支え、11月の生産台数も数%減にとどまる。
中国の新車販売台数は11月に5カ月連続でマイナスとなり、18年に1990年以来28年ぶりの減少となる見通しだ。
要因は主に3つある。中国は大都市の交通渋滞緩和や大気汚染の抑制のため、ガソリン車のナンバープレート発給を厳しく制限している。18年は北京や上海の8都市に海南省が加わった。
また不動産価格の下落に伴い高額消費が冷え込み、けん引役だった地方都市圏で新車販売が落ちこんだ。さらに昨年末の小型車減税の駆け込み需要の反動減も、マイナス幅を大きくしている。
英プライスウォーターハウスクーパースの調査によると、中国の自動車工場の稼働率は5年前は7割台だったが、近年は6割台で推移する。中国メディアによると年産能力は今年末の4000万台から、25年に4500万台に達するという。
政府も過剰能力対策に乗り出した。19年から工場が立地する地域の工場稼働率が全国平均を上回らないとガソリン車の新工場建設は認めない。
中国の鉱工業で自動車は最大の産業で、GDPに占める比率は約3%とみられる。全国の販売店や保守サービスを含めるとGDP1割に達するとの見方もあり、販売・生産動向は中国経済全体に影響する。
また世界の新車販売の3割を占める中国での減産拡大は、部品や素材などのサプライチェーンを通じて世界経済にも影響が及ぶ。米国や欧州など世界の自動車販売が踊り場にさしかかるなか、成長のけん引役を失う恐れもある>(以上「日経新聞」より引用)


 中国GDPの一割を占める自動車関連産業に減産が広がっているのは中国の景気が後退局面に入っている証拠だろう。いかに中共政府が未だに経済成長6%台を維持していると発表しても、それが嘘っ八だということは明々白々だ。
 しかし中国経済が減速すると直ちに日本経済に甚大な影響があるかのような評論がマスメディアに溢れるのはなぜだろうか。上記記事も中国の景気後退が世界経済に影響を与える、と書いているが、その根拠も明確に記してもらいたいものだ。さもなくば、単なる「危機感を煽る」だけの政権支持を呼び掛ける煽り記事だと批判されても仕方ないだろう。

 確かに中国が景気後退局面に入ればサプライチェーンは生産調節せざるを得ない。しかし日本から自動車産業に部品調達している企業が何社あるだろうか。そしてそこに雇用されている社員が何人で、何人程度のレイオフに到る、といった詳細な分析の上で「中国経済の後退だ、大変だ」と騒いで頂きたい。
 確かに日本の輸出入の第一位二位を占めているのは中国だ。輸出で中国は米国に次ぐ第二位のお客だ。全輸出額の19.0%を占め、第一位の米国の19.3%と双璧をなしている。日本の輸出の主要品目は全輸出額の15.1%を占める自動車だが、その大半の38.6%は米国向けで、中国向けの輸出は4.7%でしかない。輸出額の4.28%を占める鉄鋼の輸出先第一位は中国だが、その割合は16.8%でしかない。

 輸出している半導体の対中割合は26.0%、自動車部品の対中割合は20.8%、プラスティック製品は32.7%と大きな割合を占めているが、日本のGDPに占める割合は極めて低い。
 日本の輸入で大きな割合を占めているのは原油とLNGで、それぞれ9.5%と5.2%を占めている。しかし原油、LNGともに中国は貿易相手国に入っていない。中国から日本が輸入している金額ランクでいえば、第一位が一般機械で第二位が金属、第三位が衣料・繊維となっている。いずれも「安い」ことから日本国内生産を廃棄して生産拠点を中国に移したものからの「逆輸入」だ。

 中国経済が減速し景気が後退しているのはもはや明らかだ。しかし、それで日本経済に甚大な影響があるかのような煽り記事が氾濫するのは感心しない。
 日本経済に影響が出るのは間違いないが、それは好機だと捉えるべきだ。まず、人手不足が解消される。外国人労働者を大量に「移民」させる必要がなくなる。第二に中国内で邪険な扱いをされている軽工業の邦人企業への待遇が改善されるだろう。

 減速する対中輸出を勘案して、生産計画を立てるべきなのは勿論のこと、日本企業が生産技術や研究開発にこの時期にこそ投資すべきだ。中国企業が減産に入り、生産設備の何割かを廃棄するだろう。そうすると、中国が景気回復する時点で新規に生産設備を増設するときには必ず廃棄したものよりも改善された生産効率の良いものになるはずだ。
 日本企業が現在の生産設備は中国へ移転させたものと大して変わらない。そのままで生産を続ければ、中国経済が回復する時には生産性で負ける事態が起きかねない。その時こそが日本のモノ造りの危機だ。

 対中貿易が縮小するのは企業にとっては良くないかも知れない。しかし企業利益と労働者賃金とが相関関係を殆ど持たない現状では大したことではないといわざるを得ない。
 日本全体のことを考えるなら、貿易は日本のGDPの二割強しか占めていない。日本経済で最も心を砕くべきは個人消費だ。個人消費こそが日本経済の主力エンジンだということを忘れてはならない。

 個人消費の主力エンジンを温めるのは「賃金の上昇」だ。そして消費税などの消費を阻害する税制を根本から変えることだ。経済成長なくして国家の発展はあり得ない。世界経済成長の平均が約3%なら、最低でも3%を超える経済成長を実現しなければ、それは日本の衰退を意味している。
 中国経済が後退局面に入っていることは今後の軍拡も従前のペースを下回る事を意味する。断じて、日本は中国経済の後退を助けてはならない。中共政府が倒れるか、少なくとも反日政策を国是とする習近平政権が退陣するまで、日本は冷ややな視線だけを中国に送っていれば良い。

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