マスメディア゛の意図的な報道を批判する。
<政府の2019年度予算案で、医療や介護などの社会保障費が34兆円台に達し、過去最高を更新することがわかった。18年度当初予算(32兆9732億円)から大幅に増える。高齢化に伴う伸び(自然増)が5000億円程度に上るほか、19年10月の消費税率10%への引き上げに合わせて実施する幼児教育無償化などの社会保障充実策が1兆円程度盛り込まれるためだ。
社会保障費は、歳出全体の3分の1を占める。16〜18年度は、自然増に相当する年5000億円ずつのペースで増えていた。
19年度の自然増は概算要求段階では6000億円と見込まれていたが、これを1000億円程度圧縮し、過去3年間と同水準に抑える。具体的な圧縮策は、薬価の引き下げ(400億円超)と、高所得の人が負担する介護保険料の引き上げ(約400億円)が中心となる>(以上「BEBLOBLOGE」より)
社会保障費が増えたと報じて、若年層と老年層とを分断するかのような論調にはあまり賛同できない。なぜなら老年層も支払うべき年代には 社会保障費を負担してきたからだ。
むしろ問題なのは人口統計から三十年以上も前から分かっていた将来の社会保障費に対して備えて来なかった長期政権担当政党たる自民党と官僚たちにこそ問題がある。
そしてマスメディアは消費税率だけで欧州諸国の税率と比較するのをやめて、社会保障の充足度と合わせて比較すべきだ。社会保障が欧州諸国と同様に充足しているなら、欧州諸国と負けないほどの消費税率でも構わないだろう、ただし食料品に日本ほどの高税率の8%を課している国は欧州諸国にもない。
スウェーデンの消費税率25%は広く国民に知れ渡っているが、食料品に対しては7%に軽減されていることは知られていない。しかもスウェーデンでは医療費と教育費は無料だ。そうした社会保障費の全体像と消費税のあり方を検証可能な数値として報道すべきだ。
そして上記記事は「富裕層への社会保障400憶円の引き下げと、富裕層への400憶円の負担増で賄われる」と結んでいる。これも富裕層と貧困層の分断を画策している書き方としか思えない。
そもそも税や社会保障には「応能負担原則」がある。負担出来る者がより多く負担して格差是正する、という考え方だ。そして社会保障に関しては「一律支給原則」があることも忘れてはならない。
富裕層に多く支給される、という社会保障制度などあってはならない。しかし現実は「現役時代の保険料に比例して支給する」厚生年金制度がある。高額所得者であった者がより多く給付されるという、現役時代の社会格差をそのまま年金支給額に反映させる制度だ。その悪しき制度を是正すべき改正の改正趣旨を説明することなく、富裕層への支給が減額されける、とだけ報じるのは適切な報道とはいえない。
そして共済年金という現役時代の職業差別を年金にまで持ち込む悪性度の最たるものに一切言及しない上記記事には意図的なものを感じるし、怒りさえ覚える。国民に現役時代の職業に基づく年金格差を放置している国会議員とはいかなる人たちなのだろうか。それを放置したまま愚かな国会議員を選び続ける国民・有権者の多くは思考停止に陥っているのか、それとも自らの頭で考える訓練すら受けていない人たちなのだろうか。
社会保障費の予算総額に対する割合が増大するのは経済成長していないからだ。義務的経費が増えるのを抑制するには予算のパイを大きくするしかない。だからこそ、私はこのブログで経済成長策の推進こそが日本がとるべき道だと主張してきた。
経済成長策を片隅へ追いやり、財政規律を前面に押し出す「財務省のための」政治ではなく、「国民の生活が第一」の政治こそが いよいよ求められている。その政治を一早く提唱したのは2009民主党マニフェストであり、それを明記させた当時の民主党代表は小沢一郎氏だ。小沢氏の復活こそが日本復活の道だ。