分断し対立する米国社会を危惧する。
<11月6日の米中間選挙を目前に、また憎悪をむき出しにした事件が起きた。ペンシルベニア州ピッツバーグ市のシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)で27日に起きた銃乱射事件では、11人が死亡。トランプ大統領が増幅させてきた「分断」「憎悪」が暴力につながる異常な連鎖が相次いでいる。
事件は、礼拝所で赤ちゃんの命名式が行われている最中に起きた。半自動ライフルと短銃を手に押し入った犯人は「すべてのユダヤ人は死ななければならない」などと叫び、約20分間にわたって銃を乱射した。
捜査当局と銃撃戦の末、拘束されたのは同市に住むロバート・バウアーズ容疑者(46)。犯行前、本人のものとされるSNSに「ユダヤ人の難民支援グループは、我々の仲間を殺す侵略者を(米国に)連れてくることが好きだ。私の人々(マイ・ピープル)が虐殺されるのを傍観はできない」と反移民と反ユダヤを結びつけ、「攻撃に入る」と書き残していた。
ほかにも「ユダヤ人はサタン(悪魔)の子供だ」などと反ユダヤをむき出しにした書き込みを繰り返していた。「米国のユダヤ社会を狙った最もひどい攻撃の一つ」(米メディア)とされ、特定のグループを攻撃するテロ行為ともいえる>(以上「朝日新聞」より引用)
トランプ氏の民主党に対する攻撃的な手法が米国を二分化させている。前オバマ大統領やヒラリー氏たちに爆弾を送り付ける事件があったばかりだが、ピッツバーグ市のシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)で銃を乱射する事件が起きた。
11人もの死者を出した悲惨な事件だが、その背景にトランプ大統領の政敵を口汚く罵る手法が影響しているとしたら由々しき事態だ。民主党の大物たちに爆弾らしきものが送られた事件に、そうした政敵潰しを狙った意図が明白に読み取れる。
そしてトランプ氏がメキシコ人などのヒスパニック系の人たちを「目の敵」にしていることが米国社会の宗教や民族的な対立を煽っているとしたら問題だ。
そもそも米国は民族の坩堝で、移民国家として成立した国だ。それが白人・福音派以外を排除するなら社会は大混乱に陥る。排除と対立ではなく、協調と融和を旨とすべきだ。