文民統制なき安倍政権の暴走。
<今回の自民党役員人事で総裁特別補佐となる稲田朋美・衆院議員が2日、東京都内での北朝鮮問題のシンポジウムに「サプライズゲスト」として登場した。国連平和維持活動(PKO)の文書管理をめぐる混乱の末に昨夏に防衛相を辞任したが、この日は安倍首相側近として復活をアピールした。
稲田朋美氏は平和維持活動で南スーダンへ派遣した自衛隊から日々の活動状況を報告する「日報」は「ない」と国会答弁し、後日「あった」と防衛省が隠蔽してことを認めた。その「日報隠蔽」の責任を取って稲田氏は防衛相を辞任した。
つまり海外派遣した自衛隊部隊が「戦闘」に巻き込まれていたのか、それとも派遣した当初目的の平和を維持すべく現地に滞在していたのかが問われる大問題を詳細に伝える「公文書」が日報だ。その有無に関して防衛省が嘘を防衛大臣に行い、稲田防衛相がそのまま国会で答弁した、という文民統制を根底から覆す重大事が起きた、という認識を稲田氏は持っているのかが問われている。
その当事者が安倍総裁の側近となって、北朝鮮問題を担当するという。日報隠蔽問題で調査を行い、 防衛省は今年5月23日に、教訓課の担当者を最も重い減給、監督責任を問い豊田硬事務次官を口頭注意、河野克俊統合幕僚長を訓戒とするなど計17人を処分した。一方、当時の小野寺氏は「組織的隠蔽にはつながらないという結論になった」とも語った。
稲田氏はシンポで「米朝首脳会談から3カ月半たつが、北朝鮮は実は非核化の意思はないんじゃないか。経済制裁を緩めるべきではない」と圧力路線を主張。「ミサイル防衛で1発目のミサイルを撃ち落とし、2発目(が撃たれる)までに敵基地を反撃する能力を持っていない状況でいいのか」と自衛隊による敵基地攻撃能力の保有も唱えた。
「日朝首脳会談を行う以上は拉致問題でしっかりとした成果が必要だ。条件が整えば果敢に行動する。安倍総理はそこを見すえておられる」とも語った>(以上「朝日新聞」より引用)
つまり日報隠蔽は個人的な怠慢で起きた、もしくは連絡の手違いで起きた、と「公文書の隠蔽」を個人的なミスに矮小化させて終息させた。これほど国会と国民を馬鹿にした話はない。たとえば生産工場などでプラントを稼働していて作業員が「日報」を事務管理部門に上げないことがあるだろうか。責任の所在や部隊員の人命にかかわる作戦中に、本庁へ日報を提出しないことはあり得ないし、その日報を個人的な失念で「一時的に紛失」することもあり得ない。そうした文書の回覧報告は一々細かくフォーマット化されているものだ。
明らかに南スーダンの現地から本庁へ提出された「日報」を国会で報告すれば即座に撤退すべきとされる状況にあったことは想像に難くない。自衛隊の海外派兵に向けての地均しとして行った平和維持活動で、即時撤退など決してあってはならない、と防衛省幹部は考えたのだろう。だから稲田大臣に「日報はありません」と嘘の報告をしたのだ。
自衛隊の指揮命令系統に少しでも精通していれば、即座に「嘘を吐くな」と一括すべきだった。それが「防衛ツウ」を以て知られる稲田氏の任務ではなかっただろうか。文民統制の何たるかを知っていれば、当然稲田氏は大臣職権を行使して南スーダン現地指揮官に「日報の提出」を問いただすべきだった。
そうしたこともしないで、防衛省からの答弁メモを棒読みして、結果として嘘の答弁に終始した防衛相は更迭されてしかるべきだし、彼女の防衛族としての見識を「全くの無知ではないのか」と根底から疑うべきだ。
その稲田氏が総裁特別補佐に返り咲く。彼女は北朝鮮に対して「反撃能力」を持つべきだと主張している。そこで安倍氏がイージス・アショア配備を決定した理由が解る、というものだ。反撃能力を持つためにイージス・アショアが必要なのだ。
文民統制すら出来ない安倍自公政権に繋がる総裁特別補佐が講演で敵地反撃に言及したという。ゾッとするほど恐ろしい。
なぜなら日本を戦争に巻き込むには何処からか分からないミサイルが日本へ飛翔すれば、それだけで反撃巡航ミサイルを平壌へ向けて発射して、本当の戦争が開始される。それくらいの陰謀は旧KGBであれ、CIAであれ、お手の物だ。かくして日本国民は軍産共同体連中の掌で踊らされることになる。これは決して誇大妄想ではない、その程度の陰謀は軍産共同体の連中では日常茶飯事だ。
安倍自公政権の無知蒙昧が日本を亡ぼしかねない。その最右翼が稲田氏たち防衛族だ。彼らが進軍ラッパを吹きならし、マスメディアが彼らに追従する様はまさしく先の大戦に突入した前夜の様相そのままだ。米国からポンコツ兵器を爆買いし、後はその始末に使って仕舞えということになっては大ごとだ。