民族の本質は言語にある。

<旧ソ連圏の国々で、ロシア語を社会から排除しようとする動きが出ている。反露感情が強いウクライナでは、西部リボフの州議会が9月、芸術や出版分野でロシア語の使用を禁じる条例を可決。バルト三国のラトビアや東欧のモルドバ、中央アジアのカザフスタンでも最近、ロシア語との関係を見直す政策が導入された。各国でこうした政策が相次ぐ背景には、反露感情や民族的自尊心の回復の意図に加え、ロシアの国際的地位が低下している影響があるとみられ、ロシア側には危機感も広がっている。

 ロシア語は旧ソ連時代、連邦を構成する各国の公用語として使用されていた。その結果、ソ連崩壊から30年近くたつ現在も、旧ソ連を構成していた10カ国以上で約2億7千万の話者がいるとされる。しかし最近は、各国で“ロシア語離れ”が加速している。

 イタル・タス通信によると、ウクライナのリボフ州議会は9月18日、ロシア語の歌曲を公共の場で流したり、ロシア語の書籍を出版したりすることを禁じる条例を賛成多数で可決した。

 ウクライナでは、旧ソ連からの独立後も、ロシア語が「知識層の言語」として政治やビジネス、芸術分野で広く使用されてきた。一方、政府は教育現場でウクライナ語の使用を強化し、ロシアと一定の距離を取ろうとしてきた経緯がある。

 2014年のロシアによる南部クリミア併合や、親露派住民が多い東部地域の分離独立運動などを通じ、ウクライナでは反露感情が強まっている。今後、リボフ州と同様の施策が国内に広まる可能性もある。

 ロシア語を母語とする住民が国民の3割を超すラトビアも4月、教育法を改正。ロシア系住民が通う学校であっても、小学校は50%以上、中学校は80%、高校は100%の科目をラトビア語で教育することが義務付けられた。欧米との関係を強化している同国は、ロシア語の制限により、国内で強い政治的影響力を持つロシア系住民を牽制(けんせい)する意図があるとみられる。

 また、モルドバが6月、ロシア語を国内共通語として規定した法律を失効させたほか、カザフスタンも昨年、カザフ語の表記文字をロシア語で使われるキリル文字から、英語などと同じラテン文字に変更することを発表している。

 今回のリボフ州の政策について、ロシア側は「自分の足下に地雷を埋めた」(マトビエンコ上院議長)、「国内に分裂を招く」(クリンツェビチ上院議員)などと批判した。しかし各国の反ロシア語政策は、国際社会におけるロシアの影響力低下を反映しているといえ、批判の背後には焦りも透けてみえる>(以上「産経新聞」より引用)


 帝政ロシア時代や旧ソ連時代に行われた政策に「ロシア化政策」があった。「ロシア化政策」とは国家政策としてロシア支配の及ぶフィンランド、バルト三国、ポーランド、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、コーカサス地方、中央アジア、シベリア地方、東アジアなどにおいて実行された他民族のロシア同化策だった。   
 ロシア化策の柱は非ロシア語教育の制限及びロシア語教育の導入、キリル文字の強制導入、ロシア語の国際化の促進、教育・報道機関・による文化的・政治的教化、ロシア正教の布教と非ロシア正教への弾圧などだった。

 日本の北方領土は「ロシア化政策」の典型で、そこで暮らしていた日本国民1万5千人を島外へ追放して、ロシア人を入植させて徹底したロシア化策を実行している。だから「共同開発」のために経済支援するなどという安倍自公政権の対ロ政策は全く無意味どころか、北方領土のロシア化に手を貸すものでしかない。
 旧ソ連の崩壊によりロシアの桎梏から解放された地域がなぜ再び「大ロシア」の形成に参加しないのか。それは「ロシア化政策」により言語や宗教を奪われた民族の怒りがあるからだ。日本でも終戦直後に日本語を排して英語を共通語にすべき、とか、漢字や平仮名を排してローマ字で表記すべき、と主張するバカな「文化人」がいた。

 民族の誇りは言語だ。言語を失えば文化もその多くが失われる。もちろん宗教も言語と共にある。日本語に誇りを持ち、日本国民に正しい日本語を教えようとしない政府は反日政府である、と、私が激しく批判するのはそうした考えからだ。
 ロシアが旧ソ連の衛星国だった地域の支配力を失いつつあるのは当然の帰結だ。GDPで見れば韓国に次ぐ1.28兆ドルしかなく、国民一人当たりGDPはさらに下回る8,748ドルでしかない。社会保障が十分でないのは国民一人当たり所得が1万ドルにも満たない「後進国」そのものだからだ。

 その代わり軍事力でロシアは米国に次ぐ世界第2位にある。それほど強大な軍事力は国家の富の大半を注ぎ込まなければ維持できないのは誰の目にも明らかだ。だからロシアは度々経済危機に見舞われている。
 現在もロシアの唯一の命綱である石油や天然ガスの資源輸出がクリミア半島併合に対する西側諸国の経済制裁により締め付けられている。そのためロシア国民の逼塞感は日本国民の想像を超えるものがある。

 かつての旧ソ連の衛星だった周辺諸国がロシア離れを起こすのは当然だ。クリミア半島のロシア人の入植から現地民族のタタール人迫害などを経て、ロシア人が人口の過半数を超えた段階で住民投票による「民主的な」手法でクリミア半島の帰属をロシアと決めさせた。
 そうしたロシア化政策に手を拱いていては国家が失われる、という危機感を旧ソ連支配に組み込まれた周辺民族が言語教育に乗り出すのは至極当たり前のことだ。「マジ」「ヤバイ」などといった短節の幼児語で会話を成立させて「今風のハヤリだ」と得々としているタレントなどは民族が言語を奪われた国々の悲劇が理解できないだろう。

 それは決して過去のことではない。現代でも中国がチベットやウィグルで行っている「洗国」政策がかつての「ロシア化」政策そのものだ。あまり得意顔をして近隣諸国の言語を日本国内に持ち込まないことだ。それはもしかすると他国による日本侵略の第一歩かも知れないからだ。
 特に注意すべきは他国のタレントをテレビなどに頻繁に登場させるマスメディアだ。若者たちが「流行り」に熱狂するのは理解できるが、それなら日本の古典芸能を流行らせてはどうだろうか。なぜ義務教育に「能」や「日本舞踊」ではなく「ヒップ、ホップ」を取り入れるのだろうか。日本の教育行政に似非・日本国民が深く浸透しているのではないかと危惧する。民族の言語を粗末にし、伝統・文化を積極的に教えようとしない現代日本の風潮が民族衰亡の前兆でなければよいが。

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