肝心なところの箍が外れた日本という国家。

東京医科大(東京)が医学部医学科の一般入試で、女子と3浪以上の男子受験者の合格者数を抑制していた問題で、臼井正彦前理事長(77)が担当課長に女子や浪人生の得点を減点する操作を指示した上で、「誰にも言うな」と口止めしていたことが、関係者の話でわかった。大学を運営する学校法人のトップ自らが、秘密裏に不公正な入試を進めていた構図が浮かび上がった。
 同大は、一般入試をマークシート方式の1次試験(400点満点)と、小論文(100点満点)と面接による2次試験の2段階で実施。関係者によると、今年の小論文では、すべての受験者の得点に「0・8」を掛けて減点した後、現役と1、2浪の男子には20点を加点。3浪の男子にも10点を加点する一方、女子と4浪以上の男子については減点したままにする操作を行っていた>(以上「読売新聞」より引用)


 国は教育基本法の第三条で教育の機会均等を定めている。それによると全ての国民は人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位または門地によって教育上差別されない、としている。
 東京医科大の入試で女子と3浪以上の男子受験者の合格者数を抑制しているとは由々しき問題だ。医療現場で女性は役に立たないとか、3浪以上は留年する確率が高いからと。勝手な理由をつけて教育基本法を踏み躙ってはならない。

 東京医科大学の学長などで大きな顔をしている連中も教育によりその地位に就いた人たちだ。教育を受ける機会を奪われていたら、東京医科大の教授にすらなれなかったはずだ。
 自分たちが享受した「教育による恩恵」を他者には制限するとは飛んでないことだ。ことに医師は医学部に入学できなければ医師資格を得ることはまずできない。つまり医学部入学の機会を奪われることは医師への道を断たれることと同じだ。つまり、それは憲法に定める職業選択の自由を阻害するものでもある。

 なぜ教育従事者がこうした基本的な憲法や教育基本法を無視するのだろうか。そこには大学や医師養成を私物化してはいないだろうか。医師養成機関を担っている、という崇高な使命感を喪失して、自らの地位と権力を自身の専属権と勘違いしていたのではないだろうか。
 全く同じ精神構造がアマ・ボク連盟会長にもみられる。連盟は誰のものでもない、アマチュアボクシングを愛するすべての国民のもののはずだ。それを連盟会長を終身とするなどといった私物化の極致をなぜ連盟幹部は許したのだろうか。

 そうした傾向は日本全体に及んでいる。そもそも引用記事を掲載している読売新聞社そのものが終身主筆制度を導入しているかのようだ。それで現在は安倍ペーパーに堕している。
 いや日本政府がそうだ。安倍氏が官邸・官房に権力を集中し、国会無視の官邸政治を展開して「モリ カケ」疑惑という政治の私物化をして、その言い逃れに自身が大嘘を吐くこともさることながら官僚たちにも公文書の隠蔽や改竄をさせい平然としている。それらが国家の根幹を揺るがす重大事だという認識は安倍氏にも自公国会議員にもない、というのが大問題だという認識が日本のマスメディアにもないようだ。

 こうした無責任にして厚顔無恥の風潮が日本の隅々にまで蔓延しているようだ。厚かましくも破廉恥な行動を堂々と行うのが「カッコイイ」とする馬鹿げた風潮だ。
 危険運転もそうした系譜に連なる。控えめだとか他者を思いやる、などといったことが尊重されない。被災地へボランティアで出掛けたタレントが素顔をさらして得々として写真に納まるなど、本来なら売名行為として恥ずべきだが、そうした意識が本人たちにないばかりか、それを報じるマスメディアにも批判が一切ないのは大勢の無名なボランティアに対する冒涜だとは思わないのだろうか。

 日本は基本的なところで箍が外れてしまったようだ。教育者が教育基本法を屁とも思わない。総理大臣が日本国民全体の奉仕者という使命を忘れて仲間の優待を行う。官僚が仕事の成果を残すべき公文書を隠蔽したり改竄して恥じない。
 公的な使命の一翼を担うアマボク連盟会長が「終身」制になっているなど、上げればきりがない。日本は基本となる「規範」や「慣習」をすべて無視して、唯我独尊を各々が勝手に主張して亡国へと突き進んでいるかのようだ。




「第3条 (教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」

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