金融の自律性を忘れた日銀は政府ご用達の紙幣印刷工場に過ぎない。
<大規模な金融緩和で、銀行は貸し出し利ざやが稼げず、国債市場は取引が低調で市場機能が低下し、株式市場では日銀の間接保有比率が高まりすぎる銘柄がでてきて株価形成に影響を与える恐れもありました。日銀は、ゼロ%程度に誘導する長期金利の上限を0.2%程度と従来の2倍程度まで引き上げる方針を示し、国債市場の活性化を狙います。マイナス金利政策による金融機関の負担も抑える措置もとります。ETFの購入方法を見直し、一部の銘柄で株価が振れやすいとの指摘に対応します。
しかし日銀は2%の物価目標の旗を降ろさず、大規模な金融緩和は続けます。その意思を明確に示すために「フォワードガイダンス(将来の指針)」と呼ばれる手法を導入しました。現在の極めて低い金利水準を「当分の間」続けると約束したのです。こうして日銀が金融引き締め方向の政策修正に動くとの観測を打ち消しました>(以上「日経新聞」より引用)
日技那覇異次元金融緩和が限界を超えていることを認識しつつ、出口戦略を明示できないジレンマに陥っている。その原因はアベノミクスの失政だと明らかになっているにも拘らず、日銀は「金融」の自律性を放擲したまま安倍氏の経済政策にピタッと貼りついている。
そもそも2%物価上昇は単にインフレを起こすことではなかった。2%物価上昇は経済成長の結果としてインフレーションとして認識される物価上昇のはずだった。デフレ下の物価上昇はスタグフレーションでしかない。それは悪性インフレだ。
アベノミクスを成功させるには日銀の金融緩和といった協力の下で、財政拡大と経済政策といった「三本の矢」が相乗的に功を奏して景気回復を果たすといったシナリオだった。しかし現実は日銀が約束通り異次元金融緩和を果たしたものの、財政拡大は財務官僚の抵抗にあい、国土強靭化と称した公共事業を全国で実施するはずだったが頓挫した。
そして最悪の経済政策・消費増税8%を2014年4月に実施してしまった。デフレ化から脱却しつつあった経済は早春から真冬に逆戻りし、可処分所得の減少による総需要不足でデフレ化が深刻な様相を呈した。
そして再び安倍氏は来年10月に消費増税10%を実施するという。ただし食料品などに軽減税率(実際は8%据え置き税率だが)を適用するためそれほど可処分所得に影響はない、などと能天気な解説を多くのマスメディアの御用評論家は述べているが、8%の現行税率が食料品などで軽減されるわけでもないのに軽減税率などといったマヤカシを平気で行うなどマスメディアは財務省の公報機関かと疑わざるを得ない。
そして自動車や住宅などの耐久消費財にかかる税額は過重なものとなり、国内景気を奈落の底へ突き落すに十分だ。そうした平均的な国民の暮らしから遊離した解説記事を掲載するマスメディアの感覚を疑う。むしろマスメディアは報道機関ではなく、国民を洗脳するプロパガンダ機関だと思うしかないだろう。
日銀の黒田氏は安倍氏の強い意向で総裁になっれたが、安倍氏のアホノミクスのお陰で総裁の椅子を石を持て終われることになるだろう。出口戦略を未だに提示できない日銀の行き詰まり・閉塞感は深刻だ。金融機関の基礎体力を奪いつくし、さらに異次元金融緩和を押し付けるとは都銀をはじめとする金融機関を解体するつもりなのだろうか。
日銀の自律性を忘れた黒田総裁の罪は重い。政権とあまりにコミットし過ぎた日銀はただの紙幣印刷工場に成り果てた。安倍氏もだが、黒田氏も一刻も早く総裁の椅子を退くべきだ。