「この世をば わが世とぞ思う 望月の欠けたることも 無しと思えば」と詠んだ道長と同じ運命の軌跡を描くか、習近平氏は。


<中国の習近平国家主席が進めてきた「強国」路線がトーンダウンしている。米国との貿易摩擦の激化が背景にあり、習氏に対する「個人崇拝」の動きも鳴りを潜めつつある。
 習氏は「中華民族の偉大な復興」を掲げ、異論を許さない姿勢で政権運営に臨んできた。今年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では国家主席の任期制限を撤廃。中国の発展ぶりと技術力を宣伝する映画が作られ、毛沢東政治の教訓から共産党が禁じているはずの個人崇拝に似たムードが広がった。
 しかし、トランプ米政権が貿易問題で中国批判を鮮明にすると、「強国」宣伝の勢いは弱まった。民族主義的な論調で知られる共産党機関紙・人民日報系の環球時報は6月下旬、社説で「われわれの(科学技術の)水準は米国と大きな隔たりがあり、この差を克服するには数世代の苦労と努力が必要だ」と訴え、「謙虚」な姿勢を示した。
 折しも好調だった投資や個人消費が減速し、中国経済に不透明感が強まっている。「習氏の強権手法が米国との対立を招いた」(国際政治専門家)という不満が拡散し、習指導部は軌道修正を図っているもようだ。対米関係は、貿易だけでなく中国の主権に関わる南シナ海や台湾問題の要因でも悪化しており、深刻な事態になっている。
 一方、脚光を浴びるようになったのは、習氏に隠れて地味な存在に甘んじてきた党序列2位の李克強首相だ。今月5~10日、ブルガリアとドイツを訪問。欧州16カ国との首脳会議に出席し、保護主義に反対する認識を各国と共有し、米国をけん制した。
 こうした中、理論面から習氏の権力集中に貢献してきた党序列5位、王滬寧政治局常務委員の失脚説を報じる海外メディアもあるが、真相は不明だ。習氏は予定通り19日から中東とアフリカを訪問しており、「体制が揺らぐような異変は起きていない」(党員)とみられる。ただ、習氏の帰国後、長老も交えて河北省の避暑地・北戴河で開かれる毎夏恒例の非公式会議で、「習一強」体制への批判が高まる可能性がある>(以上「時事通信」より引用)



 習独裁体制が揺らいでいるようだ。習近平氏のポスターにインクをかける事件が全土で起きているようだ。それが個人崇拝に対する反感なのか、それとも習近平氏に対する反感なのか判然としていないが、習近平氏のポスターが中国全土から撤去されているようだ。
 つい数ヶ月前の3月の党全総で習近平氏の「皇帝」宣言をしたばかりなのに、綻びは余りに早くやって来た。その契機をもたらしたのはトランプ氏が仕掛けた米中貿易戦争だ。

 2017年度の中国の貿易統計は貿易総額で4兆1044億ドルで日本円に換算すると457兆円となり、ほぼ日本のGDPに匹敵する。輸出額は2兆236億ドルで輸入は1兆8409億ドルで、側鎖額が2017年度の貿易収支だ。
 中国にとって貿易がいかに大きな比重を占めているかお分かりだろうか。内需拡大を目指してきたというが、中国の個人消費はまだまだ貧弱で、平均労働賃金月額4万円程度の所得者に日本は何を売ろうというのだろうか。中国の減速する経済をした支えしていたのは投資で、それも外国からの投資というよりも国内のシャドーバンクで集めた金を注ぎ込んだり、地方政府が中央政府から禁じられている地方債を起債して集めた金を不動産に投資して稼ぎ出していたGDPだった。

 いうまでもなく、それらの投資は「鬼城」といわれるコーストタウンが全土に百以上根出現する結果を招いている。ただ中国は建築といっても内装はしないままで「完成」として、購入者が住むために内装をするまで「棚卸資産」で減価償却しない「会計方式」を採っている。
 会計原則では建築物の完成とは用途に供することの出来る段階まで仕上げることであり、減価償却は売却の如何に関わらず完成した後は減価するものとされている。だから「鬼城」の減価が不動産会社の会計を圧迫しないが、売れないことには運転資金すら捻出できないのに変わりなく、中国全土で不動産会社の倒産や経営者の夜逃げが頻発しているという。

 そこに中央政府の膨大な負債が明らかになってきた。中国の高速鉄道網は日本全土の新幹線を抜いて広大な国土を網羅しているが、運賃で借入金の償還が出来るかどうかといった段階でないほどの赤字だという。
 その原因は安価な高速鉄道運賃にあるという。たとえば日本なら東京新大阪間でも一万円程度の運賃を支払うが、中国民の平均所得月額4万円の人たちにそれほどの運賃を支払うことは出来ない。その1/10ていどの運賃を徴収していては鉄道建設費すら償還できない。

 身の丈に合った経済政策を推進すべきが、中共政府は余りに背伸びし過ぎた。しかも経済成長で得た果実を国民のための社会保障の充実に使うべきだった。そうすれば国民は溜め込まずに消費に回す金が増えて個人消費がGDPの主役に躍り出るはずだった。
 藤原道長が「この世をば わが世とぞ思う 望月の欠けたることも 無しと思えば」と詠んだ時、すでに道長の権勢は翳りが見えていた。習近平氏が自らを「皇帝」にすべく国家主席の任期を撤廃して個人崇拝を強めた時、既に習氏の権勢に終焉の影が忍び寄っていた。それを決定づけたのがトランプ氏の仕掛けた米中貿易戦争だが、中共政府は3500兆円とも3700兆円ともいわれる負債をどうやって償還するつもりだろうか。
 答えは明確だ、バブルを崩壊させて元の大暴落により負債を帳消しにするしかない。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。