トランプ氏の恫喝外交は不動産取引のネゴシエイションそのものだ。

<トランプ米大統領と欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は25日、今後、貿易を巡る協議を進めていく間は新たな関税を導入しないことで合意した。トランプ大統領が輸入自動車への関税導入の意向を示して高まっていた米EU間の緊張は緩和し、貿易戦争は土壇場で回避された。
  両首脳はこの日ホワイトハウスで会談し、EUが米国産液化天然ガス(LNG)と大豆の輸入を拡大するほか、双方が自動車を除く工業製品の関税を引き下げることで合意した。ユンケル委員長は会談後の共同記者会見で、交渉が続く間、米国とEUは「他の関税を留保」すると発言。また米鉄鋼・アルミニウム輸入関税と、それに対抗してEUが導入した報復関税を「しかるべき時に」再検討するとした。
  トランプ大統領は共同会見で、「非常に重要な記念すべき日となった」と発言。「われわれはたった今から交渉をスタートさせる。ただ、交渉がどこに向かうかは承知している」と語った。また、米とEUの通商関係が「新たな局面」に入ったと成果を誇った。米国とEUの貿易戦争が回避されるとの楽観的見方から、米株価と米国債利回りは上昇した。トランプ大統領は、両首脳が工業製品の関税「ゼロ」に向けて取り組むことでも同意したと述べた。また、米国とEUは米鉄鋼・アルミ輸入関税およびEUの報復関税の「解決」と、世界貿易機関(WTO)改革も目指すとした。
  両首脳は3時間近くにわたった会談後、ホワイトハウスのローズガーデンで短く会見したが質疑応答は行わなかった。ユンケル委員長は共同会見後にワシントンでスピーチし、「われわれは交渉を続けている限り、他の関税を導入しないことで合意した。今日、この合意に達したことに満足している」と語った。ロブ・ポートマン米上院議員(共和、オハイオ州)は関税を巡る緊張を緩和させた米EU首脳を称賛。「農業だけでなく、米経済全般の懸念の一部解消に寄与するだろう。喜ばしいことだ」とした上で、「これは最初の一歩だ。われわれは詳細を詰める必要がある」と述べた。また、この数週間はEUやメキシコ、カナダ、中国との間に進展の兆候が見られず、前途に光明を見いだすのが難しかったと語った。   
しかし、米国とEUが自動車と自動車部品の貿易に関する立場の違いを克服できなければ、休戦は短期間に終わる可能性がある。トランプ大統領は5月、米国と中国との協議で合意の枠組みが示された数日後にこの枠組みを捨て去り、追加関税発動の方向に動いた経緯がある。米シンクタンク、大西洋評議会の世界ビジネス・経済プログラム担当アソシエートディレクター、マリー・カスペレック氏は電話インタビューで、「彼らは非常に前向きなことだとアピールしたが、私にとっては今回の発表は現在においてはそれほど大きなことではない。これは一種の準停戦だからだ」と発言。「鉄鋼・アルミ関税が続く限り、EUは高官級の交渉には応じないだろう」と指摘した。
  トランプ大統領はEUからの輸入車への米関税率が2.5%であるのに対し、EUが米国車に10%の輸入関税を課しているのは高過ぎるとし、またEUの対米貿易黒字1500億ドル(約166200億円)についても批判している。25日の米EU首脳の合意は、米国の貿易相手が米産品の輸入を拡大すると提案することにより、トランプ政権をなだめ、貿易戦争を回避し得るということを示す心強い証拠となった。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争が起これば、久しぶりに力強い伸びを示している世界経済の成長を阻害しかねないと警告している。米ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車など主要自動車メーカーが加盟する米国自動車工業会(AAM)は声明で「今日の発表は、貿易障壁を解消するのに一段と効果的なアプローチが関税引き上げではなく、交渉であることを証明した」と歓迎の意を表明した>(以上「Bloomberg」より引用)

 トランプ米大統領と欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長はホワイトハウスで会談して、EU米国との貿易戦争は土壇場で回避されたという。その代わり、EUは米国から輸入するLNGと大豆の輸入拡大を約束したようだ。
 つまりトランプ氏の米国は最初にガツンッと一発食らわしておいて、相手が慌てて交渉を持ち掛けると米国に有利な取引材料を持ち出して融和姿勢に転じる、という恫喝外交の典型を見せている。米国は何とも品のない国に成り下がったものだ。

 だが取引条件次第で関税引き上げは回避できる、というので自動車工業会は歓迎の姿勢を見せているという。自動車を除く工業品でトランプ米大統領と欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のユンケル委員長は関税引き下げに合意しただけで、自動車の交渉はこれからだが、米国が提示する取引条件に応じれば高関税は回避される可能性が十分に出て来た。
 しかし、それにしてもトランプ氏によって世界は引っ掻き回されている。米国が輸入超過国に転落して久しいのは米国以外の国々の問題ではない。それは米国政府が国内企業の投資減税を行って、米国内で生産を行い米国民に商品を販売できるような「競争力」を付けさせるべきだった。

 トランプ氏が米国の1%のための政治よりも「米国民ファースト」を掲げるなら、関税による貿易抑制よりも、国内への企業投資減税を行うべきだ。それは外国企業であろうと米国企業であろうと、米国内へ投資する法人に対しては大胆な減税を行う法律を制定すべきだ。
 そしてラスト・ベルトと化した古い工業地帯を光り輝く工業地帯へと一変させなければならない。米国民の雇用と所得の増加を望むなら、投資減税を行って企業の生産設備をブラッシュ・アップすべきだ。

 外国を叩けば米国民は留飲を下げるかも知れないが、留飲を下げただけで腹は膨れない。やはり安定的な雇用を確保することが社会の安定化に繋がるし、企業の競争力が高まり貿易赤字の改善にもなる。
 トランプ氏は米国の企業の尻を叩くことも忘れてはならない。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。