軍事大国が世界を支配する世紀は終りつつある。

トランプ米大統領は22日、ツイッターで、イランのロウハニ大統領を名指しし、「二度と米国を脅すな。さもなくば歴史上類を見ないような重大な結果を招く」と警告した。ロウハニ師が同日、イランとの紛争は「すべての戦争の生みの親になる」とトランプ氏をけん制したことに反発したとみられる。
 トランプ氏は昨年、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に「ロケットマン」とあだ名を付け、「炎と怒りに直面する」などと主張したことで、北朝鮮との対立が一時激化した経緯がある。同様にロウハニ師との非難の応酬で、核問題などで対立する米国とイランの間の緊張がさらに高まる恐れもある>(以上「時事通信」より引用)


 かつてこれほど野卑な米国大統領がいただろうか。トランプ氏のことだ。気に入らない人物がいるとツイッターという公開のSNSで批判しまくる。いや、批判というよりも罵詈雑言を浴びせる、という方が正しいだろう。
 世界のいかなる国であれ、国家の統治者はその国の国民を代表している。たとえそれが宗教という意匠を凝らしているにせよ、独裁者という意匠を凝らしているにせよ、国民を代表していることに変わりない。

 かつて欧米列強はアフリカや南米やアジア諸国を「未開」だという理由だけで、大量虐殺し人権蹂躙の圧政を敷いて植民地支配した。そのことを欧米列強はは反省することなく、国際的なケジメをつけることなく、大きな顔をして未だに「宗主国」として君臨し続けようとしている。
 誤った人類としての歴史を「総括」することなく、今まで来たのも世界の国際機関が国連という軍事力で解決するのが「正義」だとする自己都合の「戦勝国クラブ」だからだ。国連が人権を尊重すべきだ、というのならアフリカや南米やオセアニアやアジアで「植民地時代」に何があったのか、を国際機関として検証しなければならない。

 米国は世界の「保安官」ではない。ましてや世界の「正義」でもない。ただ軍事超大国なだけだ。
 いわば図体の大きなガキ大将が他の非力な少年たちを脅しているだけだ。しかし、ガキ大将一人では地球で生きていけない、という事実を真剣に考えたことのないガキ大将だ。

 ガキ大将を事実上操っているのは米国の1%たちだ。彼らは豊富な資金力を背景に「ロビィスト」活動やマスメディアを使って政治に介入し、大統領選挙に「選挙資金提供」という手段で介入し、米国というガキ大将を操って来た。
 彼らの予定路線ではヒラリー・クリントン氏が大統領になるはずだった。しかし番狂わせが起きた。グローバリズムを否定する野卑な不動産業者が当選した。

 なぜそうなったのか。多くの米国民が1%の支配するグローバリズムの米国に「これは俺たちの米国ではない」と気付いたからだ。「俺たちの米国が俺たちを貧困に追いやるのは合点がいかない」と国家とグローバリズムとの乖離に気付いたからだ。
 国家は国民のためにある、という建国の大原則を思い出したからだ。その大原則の下に米国は植民地支配していた英国と独立戦争を戦った。しかし現在気付いてみると、いつの間にか多くの米国民はウォールストリートに巣食う1%によって支配され米国そのものが経済植民地化されていた。

 その米国モデルの経済植民地を世界共通システムにすべく、1%たちは世界へグローバリズム・新自由主義という意匠を纏って輸出している。最初にそのことに気付いたのは英国民だ。欧州諸国の国民も気付き始めている。
 だが日本では米国に従順な多くの国民がグローバル化を推し進める安倍自公政権の「日本亡国」の様々な工作に気付いてないようだ。自由主義に新も旧もないことは少し考えれば明らかだ。国民主権に新も旧もあっては堪らない。

 しかしトランプ氏はそうした新思潮の意匠を纏った経済植民地の布教活動と、それに抵抗する自尊独立の対立関係が明確化している対立構造を理解してないようだ。ただ不動産屋の金銭嗅覚だけを頼りに、「米国が儲かるのか」というだけのリトマス紙で世界を見ている。
 彼にとって米国が損することは悪で、得することは善だ。しかし国際関係は単純な利害関係だけで線引きできるほど簡単ではない。むしろ各国の自尊独立こそが尊重されるべきだという基本理念に立つべきだろう。それこそ米国大統領ウィルソン氏が提唱した概念ではなかったか。

 もちろん核兵器は廃絶すべきだ。それはイランのモノだけではない。北朝鮮も勿論だが、イスラエルもインドもパキスタンも、そして各クラブとして大きな顔をしている五ヶ国もすべての国の核兵器を廃絶すべきだ。
 自身だけではない、地球そのものを何百回も繰り返し破壊するだけの核兵器を保有して威張りあっているなど狂気の沙汰だ。核兵器を保有しているカネを世界の恵まれない子供たちのために使えばどれほどの子供たちの明日が明るくなるか、考えるべきだ。それが国連、国際機関の役目でなければならない。

 トランプ氏は二丁拳銃を腰に携えた保安官ではない。世界で二百近くある国の一つの国の大統領に過ぎない。ただ世界の超大国として、世界平和に責任を持つ、と勘違いしているだけだ。
 ロシアはかつてソ連として世界支配を目論んだ。しかし各クラブの一員として核保有のコストに耐え切れず崩壊した。当たり前だ、韓国以下のGDPで数千発もの核爆弾を保有し維持・管理し更新するコストは国家予算を越える。
 そして今、中共政府の中国も崩壊の危機に瀕している。急成長した経済力を使って兵器の近代化と軍事強化で世界へ進出を図ったが、余りに性急に過ぎた。中共政府は経済成長の果実を国民への社会保障の充実に使うべきだった。「玩具の兵隊ごっこ」に濫費して、実戦には全く役立たずのスキージャンプ台付きの空母まで建造した。そのコケ脅しの空母を見て歓喜する国民こそ哀れだ。

 トランプ氏はライバルが次々と脱落するのを見て米国の偉大さだと勘違いしている。単に国家予算の配分の間違いだっただけだ。そして同じ轍を米国も踏んでいる。だがトランプ氏が彼の力の背景と恃んでいる米国の軍事力も軍産共同体の巨額利権として米国そのものを深く蝕んでいることをご存知ないようだ。
 米国の軍事予算は米国GDPの3.1%に及んでいる。世界の軍事支出の実に35.1%を米国一国だけで占めている。国民の社会保障に使えば、米国民の皆保険制度や年金制度は大幅に充実したものになるだろう。そうした事実を米国民は知らないのだろうか。しかし米国の政治は米国民が決める。それが民主主義というものだ。

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