新しい建設手法や新素材の利便性に目を奪われて危険性に目を瞑ってはいないか。

東京都多摩市の建設中のオフィスビルで5人が死亡した火災で、施工者の中堅ゼネコン「安藤ハザマ」(東京)が昨年、別の現場でも同じ原因とみられる火災を起こしていたことが分かった。27日、同社の福富正人社長らが記者会見を開き、明らかにした。
 同社などによると、昨年6月、東京都江東区の工事現場で、下請けの作業員が鉄骨をガスバーナーで切断した際、火花が断熱材のウレタンに引火。約5千平方メートルが焼け、作業員1人が全身やけどの重傷を負った。
 これを受け同社は、現場で火を使う際、周囲を不燃シートで覆ったり初期消火用にバケツの水を用意したりするなど、六つのルールを定めた。社員や下請け業者も含めて現場での朝礼などで周知し、下請け業者が変わる際には説明の場を設けていたという。同社は「過去の件にも触れて火災の怖さを伝えていたが、こういう結果になってしまった」と謝罪した。
 今回、下請けの作業員2人が地下3階で鉄骨をガスバーナーで切断した際に出た火花が、地下3階下の免震階天井のウレタンの断熱材に引火した疑いがある。1人が切断、もう1人が火花を水で消す役割だったという。同社は、周囲に不燃シートを敷いていたと説明しているが、捜査関係者によると、地下3階の床の一部に隙間があったという。警視庁は、この隙間から火花が落ちて、引火した可能性があるとみている>(以上「朝日新聞」より引用)


 亡くなられた5名は作業手順の誤りというか、全くの初歩的なミスにより命を落としたといえる。最地下にある免震層の断熱材としてウレタン樹脂を噴霧した後でその上階の地下三階で鉄骨をガスバーナーで切断していたという。
 ご存知のようにウレタン樹脂は石油製品そのもので、しかも樹脂内に多くの気泡を持つため、燃えやすく火が付くと火勢も激しく延焼する。だからウレタン樹脂の吹付は鉄骨を切断した後に行うべきだった。

 安藤ハザマは昨年6月にも東京都江東区の工事現場で、下請けの作業員が鉄骨をガスバーナーで切断した際、火花が断熱材のウレタンに引火して約5千平方メートルが焼け、作業員1人が全身やけどの重傷を負うという事故を起こしている。なぜ一年前の事故に懲りてウレタン樹脂の噴霧を最後にすべきと徹底しなかったのだろうか。
 会社幹部は「ウレタン樹脂は燃えやすいから鉄骨切断作業は気を付けるように」と朝礼で注意喚起したと釈明していたようだが、それならなぜ作業手順を変更しなかったのだろうか。同じ過ちを繰り返すのは企業として終わっているのではないだろうか。

 建設・土木作業は常に危険を伴う。その危険度を軽減し、除去するのが企業の責任だ。作業手順の変更で「火災」の危険性が除去できるのなら、なぜ企業として設計段階から作業工程仕様書にキッチリと書き込まなかったのだろうか。そして現場監督に周知徹底して作業手順の監視を行わなかったのだろうか。
 結果として燃焼燃料の上で作業員はガスバーナーで鉄骨の切断を行い、盛大に火の粉となった鉄粉をウレタン樹脂の上に降らせたのだろう。火事にならない方がおかしい状況ではないか。

 建設や土木で新しい手法や素材が開発され、現場に持ち込まれる際にはその素材の「特性」や作業の「危険性」を周知徹底させなければならない。ウレタン樹脂の噴霧は吹き付けた後に気泡が発生して膨張するため、手軽で完璧な断熱材の施工が出来ることから急速に採用する建設現場が広がっている。
 その一方で防火性能がないどころか、難燃性ですらない。むしろ着火しやすく激しく燃える。そうした欠点を作業現場に徹底しているのだろうか。また、発注者・顧客に対して知らせる義務があるのではないだろうか。

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