米中貿易戦争の応酬はガキの喧嘩だ。

中国の習近平(シーチンピン)国家主席が21日、欧米などの経営者と面会した際に「西側では誰かがあなたの左の頰を殴れば、別の頰を向けるとの考え方がある。だが、我々の文化では殴り返す」と語ったと、米ウォールストリート・ジャーナルが25日に報じた。巨額の高関税措置を振りかざして「ディール」を迫るトランプ米大統領を牽制(けんせい)した発言とみられる。
 米国側は、中国からの輸入品のほとんどが対象になる最大4500億ドル(約50兆円)分の高関税措置をとる方針で、その第1弾(500億ドル分)を7月6日に発動すると表明している。中国にとっては、米国からの輸入は約1539億ドル(2017年)にとどまるため、同規模・同条件での報復はできない。このため米国側は「中国側の方がずっと早く関税の標的がなくなる」(ロス商務長官)と楽観している。
 これに対し中国側は「総合的な措置で強力な報復を行わざるをえない」(商務省)という構えだ。中国に進出した米国企業への許認可を遅らせたり、米国からの輸入品の検疫強化をしたりといった対抗策に出る可能性がある。こうした事実上の制裁は、かつて日本や韓国も経験したことがある。
 世界の経済大国どうしの強気の応酬はどこまでエスカレートするのか。報復合戦が実体経済に冷や水を浴びせる懸念も徐々に高まっている>(以上「朝日新聞」より引用)

 まるでガキの喧嘩だ。米中の貿易関税の報復合戦は際限ないチキンレースを演じている。ハッタリ屋のトランプ氏と軍拡屋の習近平氏とでは落としどころか判らないようだ。互いに相手が一歩退くだろう、と考えているようだ。
 しかし互いにメンツがある。自分こそは超大国の指導者だ、というガキのようなメンツだ。

米国が中国からの輸入物品に25%の関税を課すことは米国の消費者がそれだけ高い物品を買うことになる。高い関税障壁に守られて米国内産業が回復したとして、それが国際競争力の獲得とはならない。
 懲罰的な高関税措置は一時的な措置でしかないことを認識しておくべきだ。つまり関税による貿易制限は一時的な措置だから、落としどころを考えた戦略が必要だ。

 トランプ氏はいかなる戦略を持ち合わせているのだろうか。ただ中間選挙を勝つための有権者に対する人気取りだけなら禍根を残すだけだ。
 米国も自由貿易を前提とした世界の投機家として世界中の富を手に入れてきた。その集大成としてトランプ氏以前の米国大統領はグローバル化政策を推進していた。

 一転して、トランプ氏は反グローバル化を旗印に掲げて大統領選に勝利した。TPPから離脱し、北米FTAにイチャモンをつけていたのは選挙戦の公約通りだった。
 しかし高関税による貿易戦争を世界中に仕掛けるとは箍が外れたようだ。WTOの枠組みの中で自由貿易の果実を享受していたのは米国も同様だ。米国が貿易で巨額な赤字を出しているとトランプ氏は主張しているが、それは米国の工業生産能力が落ちていることに他ならない。技術革新や生産革新を怠った米国の経営者の責任だ。

 日本の他人事ではない。海外投資を煽った政府外郭団体やマスメディアによって、日本の製造工場の多くが海外へ移転してしまった。その結果として国内生産投資が減退し、生産性が低下した。現在の日本の人手不足には労働人口の減少もさることながら、生産効率向上のための投資減少が主要因だ。なぜなら高度経済成長期に飛躍的に増加した工業製品出荷量は生産性向上の投資による面が大きかったことを忘れてはならない。
 トランプ氏は高関税の負荷による鬱憤晴らしをやめるべきだ。むしろ米国の生産性向上への投資が減少していることを憂慮すべきだ。そこに政治力を発揮すべきが大統領の仕事だ。派手に国際貿易戦争を仕掛けることではない。

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