福島第二原発だけではなく、すべての原発を廃炉にすべきだ。

東京電力ホールディングスの小早川智明社長は14日、福島県庁で内堀雅雄知事と面会し、福島第2原発(同県楢葉町、富岡町)について「4基全て廃炉の方向で検討に入っていきたい」と述べた。福島第2原発を巡り、東電が「廃炉」の方針を明言したのは初めて。
 福島第1原発事故後、第2原発は運転を停止している。この日の面会で、内堀知事が第2原発の早期廃炉を求めたのに対し、小早川社長は「根強い風評、帰還が進まない状況を踏まえると、(第2原発の)あいまいな状況自体が足かせになっている」と述べ、廃炉の方針を表明した。
 内堀知事は面会後に記者会見し、「東日本大震災と第1原発事故以降、多くの県民が県内の原発全基を廃炉にしてほしいと訴えてきた。今日、明確な意思表示をされたことを重く受け止めている。重要なスタートだ」と話した。その上で、「今後、どういうスケジュールがあるのかを東電や国に確認しながら、まず正式な判断を求めたい」と注文を付けた。
 福島県内にある東電の原発について、県は全基廃炉を求めてきた。東電は福島第1原発の全6基について、廃炉を決定したが、小早川社長はこれまで第2原発の4基について「重く受け止める」などと答えるにとどめていた。
 今年10月に福島県知事選が予定されており、内堀知事の再選出馬が有力視されている。内堀知事は4年前の知事選で、県内全原発の廃炉を掲げて初当選。昨年11月には、世耕弘成経済産業相と会談し、第2原発の廃炉に向け、国が東電を指導するよう要請していた>(以上「毎日新聞」より引用)

 福島第一原発からわずか12㎞しか離れていない福島第二原発を再稼働させることは、たとえ損傷した箇所を完全に修復したとしても最初から不可能だった。なぜならメルトダウンした福一原発にあまりに近く、強い放射能に曝されているからだ。
 福一原発が総電源喪失に陥り、原子炉容器を冷却する術を失って爆発したのに比して、第二原発が爆発しなかった要因でまず上げられるのは第二原発が海面から12mの高台に立地していたことだ。

 それで津波の被害を第一原発と比して軽度だったことと、津波で破損した海水ポンプの復旧を行って原子炉容器内の熱をベントする前に海水へ排熱することが出来たからだ。よって第二原発は原子炉停止を正常な手順で行うことが出来た。
 しかし地震による建屋の被害もあって、再稼働するにはそれなりの修復が必要だったが、福一原発から12㎞しか離れていないため放射能汚染が甚だしく、作業員の健康確保が困難だった。再稼働したところで原発職員は放射能被爆しながらの作業が続くことになる。

 なぜ早々と福二原発の廃炉を決定しなかったのだろうか。その大きな要因は廃炉決定に伴う福二原発施設の除却損が生じるからだろう。
 福一原発の損壊による莫大な損失で傷んだ東電のB/Sを福二原発の除却損でさらに傷めると企業として存続が危ぶまれる事態に陥るからだ。いかに政府資金を入れようと、収支バランスが取れるまで迂闊に廃炉決定することが出来なかったのだろう。

 他の電力各社も再稼働に強く拘るのは廃炉による除却損が発生し企業として主体的な運営が出来なくなるからだ。だから再稼働を強く政府に働きかけ、原子力規制(実質的には「推進」)委員会が次々と再稼働を決定している。
 しかし福一原発で想定外の事態が起きれば原発は甚大な放射能被害を起こすことが実証された。年間何回も被害にあう自然災害は人知を超える想定外の事態により起きている。いかに厳しい基準で建設したとしても、原発施設にとって想定外が起きることは実証された。

 原発建設を促進するために電力各社が広告塔などを動員して莫大な広告費をかけて宣伝していた「原発は絶対安全」などといった神話は嘘っ八だった。想定内の自然災害などに際しては安全なだけだった。そうした前提を明確に伝えるのが広告を監視する委員会の使命だとしたら、電力各社が垂れ流していた原発安全宣伝を広告監視委員会は告発すべきだ。
 日本政府は誰のために政治を行っているのか。電力会社を倒産させよとは言わないが、国民生活を破壊しかねない原発を次々と再稼働させている現状は国民生活を保障する憲法に違反している。

 全国各地に原発を配置し稼働させるとは常軌を逸してはいないか。各地で起きている火山の活発な活動は「想定」を越えてはいないか。政府はすべての原発を速やかに停止すべく指示し、すべての原子炉の廃炉への工程を明確に国民に示すべきだ。

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