すべての工業製品は人の暮らしを豊かにすべきものであって、人に不幸や厄災をもたらすものであってはならない。
<警察庁が、ドライバーの年齢層別に分けて死亡事故件数の平均を調べた結果、免許保有者10万人当たりで75歳未満が3.7件だったのに対し、75ー79歳は5.7件、80ー84歳は9.2件、85歳以上に至っては14.6件と、75歳未満の4倍近くにも達している。
高齢ドライバーによる事故が社会問題となっているのは、データからも裏付けられている。
高齢ドライバーによる事故が社会問題となっているのは、データからも裏付けられている。
昨年末の時点で運転免許を持っている人は8225万5195人。
このうち、65歳以上は1818万3894人で全体の22.1%を占め、免許を持つ人の5人に1人以上が65歳以上ということになる。
75歳以上では539万5312人(全体の6.6%)が保有していて、そのうち85歳以上は59万164人(全体の0.7%)を占める>(以上「警察庁データ」より引用)
このうち、65歳以上は1818万3894人で全体の22.1%を占め、免許を持つ人の5人に1人以上が65歳以上ということになる。
75歳以上では539万5312人(全体の6.6%)が保有していて、そのうち85歳以上は59万164人(全体の0.7%)を占める>(以上「警察庁データ」より引用)
5月28日神奈川県茅ケ崎市で90才の女性が運転する自動車が歩道を暴走し、4人を撥ね飛ばし1人を死亡させる痛ましい事故があった。運転していたのが90才の女性ということから高齢者から運転免許証を取り上げろ、という議論がまたしても沸騰している。
確かに加齢とともに運動神経は鈍り、時として反射的な判断に迷うようになる。そうした時は止まれば良いのだが、止まるつもりでアクセルを踏んでしまう事例も多々見受けられる。
上記警察庁のデータからも分かるように80才を過ぎると急激に事故率が増加する。それでも16才から19才の事故率の方が高い。高齢者だから危険だと一概に断定することが出来ない、個人差が大きくなるのも高齢者の特徴だ。
免許の返納制度を推進する自治体もあるようだが、地方に暮らす者にとって自動車は生活手段としてなかなか手放せない。公共交通機関の不便な地方で、足腰が弱った高齢者にとって自動車は足そのものだ。
それでも深刻な交通事故を少しでも減らすためには自動車が危険を察知して停止するように出来れば良い。自動停止装置が進行方向前方に人を認識した場合に確実に停止する装置をすべての自動車に標準装備することだ。
人の生活に資すべき工業製品を使用して事故に遭うなどということは工業製品が不完全だということに他ならない。たとえば航空機利用者が日本国内で年間4000人近く事故死したら航空機の飛行停止措置が出るのではないだろうか。
1トン以上もの鉄の塊を爆走させるには極めて不完全な人間が周辺状況や歩行者や他の通行車両などを把握くして、適宜鉄の塊をコントロールして事故を避けるのは奇跡的といっても良い。
たとえ屈強な若者でも急な疾患に襲われ、意識不明になることがないとはいえない。自動車を不完全な工業製品のまま放置し続けた製造者責任もそろそろ問われる時代になろうとしている。今ある自動車が本来の自動車だという誤った常識を私たちは捨てなければならない。すべての工業製品は人の暮らしを豊かにすべきものであって、人に不幸や厄災をもたらすものであってはならない。