日本はトランプ氏の「プロレスごっこ」に与してはならないし、中国の膨張主義に迎合してもならない。

��中国の劉鶴副首相は24日、ムニューシン米財務長官と電話会談し、中国の知的財産権の侵害を理由にした米側の制裁措置に対して「すでに中国側は準備ができており国家の利益を守る実力がある」と述べ、報復する考えを伝えた。ただ「強国路線」を旗印に集権化を進める習近平指導部は外交問題で弱腰を見せられない半面、貿易戦争が激化して経済が失速すれば共産党支配の根幹が揺るぎかねないジレンマを抱えている。

 国営新華社通信によると、劉氏はトランプ米大統領が通商法301条に基づく制裁措置を決めたことについて「国際貿易のルールに背くもので中国や米国、世界にとっていいことはない」と主張。一方で「双方が理性を保ち、経済関係の安定を維持するよう希望する」とも強調した。



 習指導部は20日閉幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正を行うなど長期政権化を見据えて2期目を本格スタートさせたばかり。憲法には習氏が唱える「人類運命共同体の建設」なども盛り込まれ、「世界を指導する大国」として中国の姿が描かれている。米中関係の不安定化は習指導部の求心力低下を招きかねない。



 「中国は合法的利益を守るため、あらゆる必要な手段を講じて最後まで戦う」(在米中国大使館)。中国側のこうした勇ましい反応とは裏腹に、中国商務省が23日発表した米国への報復措置は関税上乗せ対象品目が30億ドル(約3150億円)分にとどまり、米側の301条に基づく措置の対象となる600億ドルを大きく下回った。全面戦争を回避し、交渉の余地を残しておきたい中国当局の本音がのぞく。



 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は24日付の社説で、301条に基づく措置への報復により「米国は必ず同じ代償を払う」と牽制(けんせい)した。だが貿易戦争の激化で経済の急減速や失業率の上昇などを招けば国内の社会矛盾が一気に噴き出しかねない。同紙は「中国の社会的な団結は米国よりもはるかに強く、中国政府がとる報復行動を人民は揺るぎなく支持する」と強がった>(以上「産経新聞」より引用)


 米国と中国は政治体制こそ違え、非常に似通った国に見える。それは侵略により建国した国家だということと、現在も世界支配を国家戦略にしている国だということだ。

 そして最も良く似ているのは自国の基準を強引に世界基準にしようと振舞うことだ。米国のスーパー301条は米国の国内法だが、それを貿易相手国に適用して「制裁的な関税」を課すことを可能にしている。中国も南シナ海は中国の内海だ、という勝手な言い分を近隣諸国に強制適用しようとしている。


 国際的な協調よりも国家利益の方が勝る、というのが米・中両国の対外姿勢だ。似た者同士が衝突するのは個々の人間関係でも同じだ。

 平和的に一つのクラスにジャイアンは一人しか存在できない。どこかで妥協して協調しないと「戦争」になるのは火を見るよりも明らかだ。


 中国は大きくなった経済力を背景に大きな顔をしているが、その経済力は対外投資と外国の技術・知的財産により製造産業が急拡大したに過ぎない。中国に自前の技術開発や知的財産は乏しく、それらが産業基盤として利用されるための蓄積は未だ不足している。

 中国の製造業には外国製の部品がなければ成り立たないものが多い。たとえば自動車製造業で、中国製と称している完成車でもエンジンルームを開ければギッシリと外国製の部品が詰まっている。


 もちろん中国のGDPの四割近くは貿易によるものだが、その輸出製品も外国からの外資と部品調達により可能になっている。つまり中国は巨大なGDPを軍拡の根拠にしているが、中国のGDPが巨大な張子の虎状態から脱していないのが現状だ。

 皇帝に就任した習近平氏もそうした中国の致命的な弱点を承知している。承知していればこそ虚勢を張って、中国民に「中国は張子の虎」だと解らせないように努めている。なぜなら「強い中国」が中国政府への求心力の源泉だと習氏は知っているからだ。


 中国政府の女性報道官がピクリとも笑わないで「米国に報復する」とトランプの関税強化に対抗姿勢を示したが、それも表向きの顔に過ぎない。まさに中国経済は外資の撤退と外貨不足に陥っている。

 中国政府は無茶苦茶な国内投資でGDPの落ち込みを誤魔化してきたが、それも限界に達している。年産8億トンの鉄鋼生産を1億3千万トン減産に踏み切ったばかりだが、国内消費も年間4億トンから大きく落ち込んでいるため、生産過剰な状態は依然として続いている。


 しかし減産による失業者が鉄鋼生産の街にあふれ、その関連、下請け等の企業倒産は現政府に不満を抱く国民を増加させている。労働争議や暴動が千件以上に達している、という情報もあるほどだ。

 皇帝に就任して権力を一手に掌握しようとしている習氏は強権発動して国民の不満を押さえつけることは出来ても、それはあくまでも一時的なものに過ぎない。基本的に経済成長を維持することでしか現体制維持は困難だ。


 そうした意味で、習氏の中国は頓死寸前だ。彼らは経済成長期に果実を軍拡に回し幹部たちがポケットに入れ過ぎた。本来なら社会資本の充足と国民の社会保障の原資として蓄積されるべきだった。

 中国へ進出した企業は一刻も早く撤退すべきだ。明日にでも中国がすべての外国企業を接収すると発表してもおかしくない。損切りしてでも家族を脱出させて中国から撤退すべきだ。皇帝になった習氏が自分たちの安泰のために何を仕出かすか想定を超える事態が起きても納得するしかないのが中国だ。


 世界相手に「プロレスごっこ」を仕掛けているトランプ氏の米国も常識的な想定を超えている。そこに皇帝を目論むプーチン氏が加われば世界は一気に不安定化する。

 それはとりもなおさず「戦勝国クラブ」による世界支配の終焉を意味する。日本も能天気に「国連主義」だとか言って、思考停止に陥ってはならない。覇権主義国家による世界支配が「戦勝国クラブ」の目論む世界支配だった。それは先の大戦までに通用した時代遅れの世界戦略だ。


 日本は民主的国家連合による世界平和の構築を目指すべきだ。トランプ氏の「プロレスごっこ」に与してはならないし、中国の膨張主義に迎合してもならない。日本は民主的な国際連携を世界に呼びかける役割を担うべきだ。それこそが新世紀の世界平和のあり方だ。



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