官僚は保身のために政権から要請されれば政権に都合の良い嘘を吐く。

��20日の衆院予算委員会集中審議で、裁量労働制に関する厚生労働省のデータ比較が不適切だった問題を巡り、野党は「捏造(ねつぞう)ではないか」と引き続き追及した。安倍晋三首相や加藤勝信厚生労働相は、厚労省の官僚による「単純ミス」であり、首相らは報告をそのまま答弁しただけだと釈明に追われた。だが「政治」から責任を切り離そうと躍起になる政権の姿勢は、国会答弁や資料の「軽さ」も露呈する形になった。【光田宗義、真野敏幸】

     「ご指名があったので私から答弁する」。この日の予算委では、14日に答弁を撤回した首相の見解をただす野党議員に対し、河村建夫予算委員長(自民)が代わりに加藤氏を指名する場面が繰り返された。首相は「(報告が)厚労省から上がってきて、私はそれを参考に答弁した。これ以上のものではなく、詳細は厚労相と議論してもらえばいい」と加藤氏に答弁を丸投げする姿勢も見せた。

     さらに加藤氏も、2015年作成のデータ比較は「(当時の担当者が)厚労相には説明に行っていない」と責任を回避。部下の厚労官僚が「不適切だとは気づかなかった」と懸命に防戦した。

     立憲民主党の長妻昭氏は「捏造なら政策をゆがめる。首相官邸サイドの『つぶやき』や厚労省のそんたくはなかったのか」と追及。首相は自身の関与を否定し、官邸幹部は「首相答弁は厚労省の事前レクチャーそのものだった」と突き放した。第1次安倍政権で同省の「消えた年金」が首相退陣の引き金となったことも、早期の幕引きを急ぐ官邸の姿勢に影響している。

     ただ、野党が今回のデータ比較の捏造を疑うのは、(1)結果が裁量労働制を拡大する政権の方針と一致していた(2)基準の違うデータを比べる禁じ手や、あまりにも単純な数字の食い違い--が重なっていたからだ。自民党の竹下亘総務会長は20日の記者会見で「小学生とは言わないが、高校生なら分かる間違いだ」と指摘した。

     野党は今後も一連の問題を追及する構え。希望の党の山井和則氏は20日の予算委で「首相は『働き方改革が今国会の目玉法案』と言っていたのに、基本的な質問からも逃げる。やましいことでもあるのか」と反発し、無所属の会の黒岩宇洋氏も「首相答弁は重い。役所の言うなりに発言するだけの存在なのか」とあきれた。公明党の山口那津男代表は会見で「撤回した答弁は首相自らの行いだ。政府は重く受け止め、丁寧に立て直してほしい」とクギを刺した>(以上「毎日新聞」より引用)


     裁量労働制を拡大する新法案の基礎となった捏造データに関する野党質問に対して、政府の答弁は答弁の体をなしていない。法案を作成する基礎データとして政府が公表した数値が真実のものでなかったからには法案そのものを撤回すべきが筋だ。

     安倍氏はそうした政権の最高責任者の責任を微塵も取ろうとせず、答弁を担当大臣に丸投げし、担当大臣は官僚に丸投げし、官僚は部下から上がってきたデータの誤りに気付かなかったとして責任回避の答弁に終始しているにも拘らず、法案そのものを撤回する気はサラサラないという。


     法案の稚拙さは自民党の竹下総務官庁も言っているように「中学生でもわかる誤りだ」を放置したまま法案提出を是認した自公与党国会議員全体の責任でもある。しかし問題の根は法案を作成した官僚たちの官邸忖度というべき(1)結果が裁量労働制を拡大する政権の方針と一致していた(2)基準の違うデータを比べる禁じ手や、あまりにも単純な数字の食い違い--が重なっていた、にも拘らず法案撤回を政府に進言した痕跡がないことだ。

     この官邸と官僚たちの政権としての倫理無視のご都合構造は「モリ カケ」問題と酷似していないだろうか。官僚たちは国民のために働くのではなく、彼らの人事権を握っている官邸のために働き、少々の倫理無視の挙に出ても恥じることは一切ない、という官僚たちのモラル崩壊が明らかだ。


     なぜ厚労官僚までそうなったのか。それは財務官僚の成功体験を目の当りにしているからだ。いうまでもなく、森友学園への国有地払い下げで平然と大嘘の国会答弁を繰り返して安倍夫人を守り切った官僚が国税庁長官に栄進した。国税長官として一年の任期を全うすれば定年退職となり7000万円の退職金を手にして天下り先まで確保してもらえるとしたら、官僚たちは国民のためにではなく、官邸・政権のために働くのが人情かも知れないが、それは明らかに官僚モラルの崩壊だ。

     安倍自公政権の五年余はアホノミクスで国民を貧困化させ、官僚のモラル崩壊を招いてしまった。それもこれも「構造改革」と称する日本の諸制度をグローバル化させるための策動だ。安倍自公政権はすべての法制度を米国の1%の要請に従って変えようとしている。このデタラメ法案の総労働制も日本の労働者を守る法規制のグローバル化に他ならない。


     しかしそうした観点からの解説は日本のマスメディアに皆無だ。なぜ日本の言論界は急速に劣化したのだろうか。安倍友になるのは安倍氏が現役の総理を退いてから、というのが一人前の言論人の矜持ではなかったか。総理との近さを誇る言論人は節操のない恥知らずと批判されたものだ。

     それは官僚も同じだった。政権におもねる官僚は官僚界で爪弾きされたものだ。しかし官邸に人事権が移ってから官僚たちは競うように政権におもねるようになった。そのことを批判するマスメディアもまた皆無だ。こうして日本は米国の世界戦略に取り込まれて、敬税調を停止したまま貧困化し普通の後進国へと転落していくのだろうか。



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