危機感応力の劣化した平和ボケ国民。

��〈この国を、守り抜く。〉──安倍晋三・首相はそんな勇ましい選挙スローガンを掲げ、テレビCMを流し続けた。




 北朝鮮の核開発と弾道ミサイル危機が深まる中、こと安全保障の面では安倍政権の下で米国は日本を守ってくれるはずだと期待している人が多いはずだ。



 安倍首相は世界の指導者のなかでもとくにドナルド・トランプ米大統領と「ケミストリーが合う」と宣伝されており、日米同盟をバックに国連総会で強硬姿勢で北朝鮮の核ミサイル開発を中止に追い込むべきだと訴えた。トランプ大統領も、「北朝鮮はこれまで世界が見たこともないような炎と怒りを見ることになる」と警告し、米軍は「斬首作戦」を用意するなど、日米が結束して北に備えているように見える。



 だが、1年以内にその軍事同盟が幻になるかも知れない。米紙ワシントン・ポストは、米国の国防情報局(DIA)が〈北朝鮮がICBMに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功した〉との機密分析報告書をまとめ、北は米本土に到達するICBMの実戦配備に必要な大気圏再突入技術を2018年末までに獲得する可能性があると報じている(今年88日付電子版)。



 外務省国際情報局の主任分析官を務めた作家・外交評論家の佐藤優氏は、実戦配備の前に米朝が日本の頭越しに妥協をはかると指摘する。



「トランプ大統領は武力攻撃に言及しているが、米軍が北を空爆しても核施設を全部破壊することは難しい。北の反撃で事実上の第2次朝鮮戦争が始まれば100万人規模の死者が予想され、韓国にいる20万人と推定される米国人にも多くの犠牲者が出る。従ってその前に米朝の交渉が行なわれるはずです。



 しかし、北朝鮮は核廃棄や弾道ミサイルの放棄には絶対に応じないでしょう。そこで、米国は北朝鮮に自国の生命線である米本土に到達するICBMを持たせないかわりに、核弾頭と日本全土が射程に入る中距離弾道ミサイルの保有までは容認する可能性が高い」



米朝が核保有容認で合意すれば、国連で「必要なのは対話ではない。圧力なのです」と言い切った安倍首相は、米国から完全にハシゴを外されることになる。



 もちろん、日本は米国の「核の傘」で守られ、日米安保条約では、北が日本を攻撃した場合、米国は反撃することになっている。ただし、佐藤氏は「それもどこまで実行されるかクエスチョンが残る」と見ている。



 安倍政権は憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使する安保法制を成立させ、自衛隊が「米艦防護」の任務を実施している。そこまで米国に尽くしても、米国が日本を見捨てる日が近づいているのだ>(以上「週刊ポスト」より引用)


 上記引用記事と私の見解は一致している。米国は米国民を守るために米軍を世界に展開している。決して日本と日本国民のために展開しているのではない。

 安倍氏の北朝鮮の脅威を煽る演説に国民はすっかり騙されてしまった。その責任の一端は安倍氏の見解を垂れ流した日本の腐り切ったマスメディアにある。


 少しでも国際政治に造詣のある人なら米軍が朝鮮半島に空母打撃群を展開して一年近くも遊弋している様は決して開戦のシグナルでなく、対話の席につけという脅しだと解るはずだ。第一、韓国政府と日本政府に断りなく米国が軍事作戦を、たとえそれが瞬時に片付くと予定される斬首作戦であれ、事前通告と承認なくして出来ないことは明らかだ。

 韓国政府と日本政府の協力なしに米軍が北朝鮮に攻撃を仕掛けることはあり得ない。なぜなら、北朝鮮の反撃で韓国で100万人規模の、日本で10万人規模の死者が出るとシュミレートされているからだ。


 もちろん、韓国に在留する米国人10万人も戦争の渦中に巻き込まれ多くが死傷することは容易に想像できる。そうした事態を米国が選択するとは決して思えない。

 現実的な選択としては上記引用した「週刊ポスト」の記事が正鵠を得ているだろう。ただし、米国と北朝鮮が「和解」したところで、日本に対する北朝鮮の脅威が一掃されるわけでないことは上記記事に書かれている通りだ。


 安倍自公政権は決して日本と日本国民の命を守り抜くことは出来ない。拉致被害者の一人として安倍自公政権の五年間に帰還していないではないか。嘘を吐くのもたいがいにしろ、と安倍氏に忠告する。

 むしろ北朝鮮と対話のチャンネルが必要なのは日本だ。北朝鮮の脅威を煽って、北朝鮮を敵に回す戦略は決して正しくない。もちろん核開発やミサイル開発は断じて許せないが、日本は「戦勝国クラブ」の一員でもなければ「核クラブ」の一員でもない。戦争を放棄している憲法下で、日本が米軍のポチとなって半島の戦争に参加することはありえない。


 戦争にトチ狂った安倍氏とその政権は日本と日本国民を戦争の惨禍へと引き摺り込もうとしている、ということがなぜ多くの日本国民に解らないのだろうか。それほど日本国民の危機感応力は低下したのだろうか。それを平和ボケというのかも知れない。



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