「日本ファ」は決して反・グローバル化の旗印にはならない。

��小池百合子東京都知事の側近、若狭勝衆院議員が設立した政治団体「日本(にっぽん)ファーストの会」が揺れている。若狭氏は国政進出する際には「新党名は別にする」と語るが、トランプ米大統領の「アメリカ・ファースト(米国第一)」とうり二つで、「排外主義だ」との批判も強い。日本にも登場したファーストはどこに向かうのか。

 「小池知事の理念を全国に広げるための団体。日本の自然や伝統、文化を大事にしようという意味も込めた」。若狭氏は取材に対し、小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」のイメージを重ねた狙いを語った。新党名の公募も検討するという。

 7月2日の東京都議選で、都民ファーストはいきなり第1党に躍り出た。通常国会では「加計学園」問題などで安倍政権が安倍晋三首相の周辺を優遇した疑いが浮上。千葉大の水島治郎教授(政治学)は「利益誘導型の旧来の自民党政治が顔を出して無党派層の不満が高まるなか、小池氏はポピュリズムをうまく利用し、民進党に代わって『受け皿』になった」と分析する。

 水島教授は著書「ポピュリズムとは何か」(中公新書)で「政治から排除されてきた集団の政治参加を促進」するという肯定的な面も指摘した。「欧米ではグローバリゼーションで不利益を被った古い工業地帯で盛り上がったが、日本では大都市圏での既存政治に対する不満が起爆剤になった」とみる>(以上「毎日新聞」より引用)

 小池氏の掲げる「都民ファ」が明確な政治理念を持っているとは思えない。何よりもグローバリズムに対する「国民の生活が第一」といった対立軸があるとも思えない。
 単に、自民党的な「密室談合政治」に対する「公開政治」を掲げただけではないか。しかし、公開しても基本的な自民党的な「密室談合」の本質に切り込むことがなかったため、オリンピック関係も豊洲移転も腰折れになってしまった。

 欧州や米国で起こっている反・グローバリズムのうねりはもっと深刻な事態に対する国民の怒りが原動力だ。一握りの多国籍企業の経営者や国際金融に投資している投機家たちの短期利益を最大化するために、対内的には様々な規制を「悪」として攻撃して破壊し、対外的には国境をなくして「ヒト、モノ、カネ」の自由な行き来を促進する政治によって棄損された「国民の生活が第一」の政治を取り戻そうとするものだ。
 日本の長く続いた「構造改革」路線により社会秩序を保ってきた規制という安全装置が破壊され、国民に不都合な事件や事故が多発するようになってきた。以前は考えられなかったプロ運転手によるバスの初歩的な事故が多発している。日本を代表する大企業も質実剛健といった面影をなくしているのも、企業を支えている社員が非正規という実質的な部外者により構成されるに到って、お粗末な体質を露呈しているのだ。

 断っておくが、非正規社員が悪いというのではない。非正規社員を多く抱えるに到って、企業の伝統や規律を継続的な雇用で受け継ぐことが困難になっていることに大きな原因がある、と指摘するだけだ。
 農業にも外国人実習生が欠かせない労働力になりつつある。それが将来どのような変革を農業にもたらすか考えるだけでもゾッとする。日本国民の基本の食糧を日本国民が担わなくてどうするのだろうか。そのために日本も「農業は公共事業」だとして農家の所得の90%が補助金という、フランスの農業政策を取り入れるべき段階に達しているのではないだろうか。それもかつて2009マニフェストで民主党が掲げた「農家の戸別所得補償」という概念と一致する。

 小池新党の「日本ファ」がいかなる政策を掲げるのは判然としないが、反・グローバル化といった明確な対立軸を持つものではなく、ポピュリズムを散りばめた耳障りの良いスローガンの羅列になるのではないだろうか。
 国政では土建公共事業の予算が半減して旧来の利益誘導型の旧来の自民党政治が影を潜めた半面、安倍友が「国家戦略特区」という非民主的な手法で国家を貪り食う実態が「モリ、カケ」疑惑で一挙に衆知のこととなり、安倍自公政権の支持率が失墜した。

 それらの受け皿になるのは真に日本を取り戻す大衆運動でなければならない。マスメディアが先導する「国の借金1000兆円。よって増税も財政縮減も已む無し」というデフレ化まっしぐらの経済政策を否定し、災害列島の日本国土を防災国土に変えるために砂防堰堤や混合植栽など必要な土木事業を全国で行わなければならない。
 企業に関しては法人税を基に戻して、投資減税や労働分配率に比例した減税などを行うべきだ。首相がパフォーマンスで企業にベアを要請行脚するといった、個別的な人治政治などあってはならないことだ。

 そして異常に規制緩和された派遣業法を少しでも元に戻すべく派遣業法改正を行わなければならない。それが企業の生産性向上につながることは、かつての高度経済成長期に日本国民は経験しているはずだ。安定的な雇用関係こそが企業風土の継承や技術の継承に必要だと経営者も思い出すべきだ。
 企業は短期利益の最大化に狂奔して海外移転させたことを反省し、製造部門を日本国内に回帰させるべきだ。それを促進するために政府はuターン投資減税を創設すべきだ。国内技術の海外流出を促進するだけのテレビ番組を視聴して自己満足している日本国民の背後で、ニヤリとしているのはグローバル化を裏で操っている連中だということを知るべきだ。

 「人を堕落させるのは批判ではない、拍手喝采だ」という箴言を忘れてはならない。日本は素晴らしい、というテレビ番組を見て日本国民がウットリとして自己満足したら日本は必ず堕落する。
 日本が知るべきは他国の進んだ制度だ。消費税も欧州諸国が日本よりも高税率だと刷り込むマスメディアはまさしく反日だ。自公政権が宣言した通り消費増税10%を実施したなら、日本経済は間違いなく一段と深刻なデフレ不況に陥るだろう。ここは消費税を5%に戻すべきだ。それでも欧州が食料などの生活に必要な基本的な消費に対しては非課税か極端な軽減税率を課している。25%消費税のスウェーデンですら、食糧は7%に抑えている。もちろん福祉国家スウェーデンの医療費や教育費は無料だ。

 国民の生活を第一に据えた政治こそが日本の未来に資する政治だ。企業の短期利益の最大化を目指す政治は一部の者のための政治に過ぎない。日本では官邸にたむろして「構造改革」を先導している薄汚い政治ゴロの連中たちだけだ。そうした政治を過去のものにすべく、野党連合を結集しよう。 「日本ファ」などといった第三極騒ぎはかつての維新の党で懲りたはずだ。二匹目の泥鰌を求めるマスメディアの策動に乗ってはならない。かつて「国民の生活が第一」を掲げて政権交代を果たした小沢一郎氏の再登板を心から応援しよう。


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