不誠実な政権が政治を混乱させている。
「極めて誠実で、尊敬すべき公僕だ」。野党・民主党下院のペロシ院内総務は17日、特別検察官に任命されたモラー氏を評し、真相解明に期待を示した。
モラー氏に期待をかけるのは司法機関も同様だ。
ロシア疑惑の捜査を巡り、トランプ氏は連邦捜査局(FBI)との対立姿勢を強めていた。疑惑報道が相次いだことを受け、「FBIが情報をリークした」としてコミー前長官を批判。今月9日にはコミー氏の電撃解任に踏み切った。
ホワイトハウスは解任理由をFBI内部で信頼を失っていたためとしたが、マケイブ長官代行は解任2日後、「幅広い支持を受けていた」と議会証言で否定。「(ロシア疑惑を捜査する)FBIの正しい行為は、何にも邪魔されない」と捜査介入をけん制していた。
16日、トランプ氏がコミー氏を解任する前にロシア疑惑の中心人物の一人、フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に対する捜査打ち切りを要請したと報じられた。コミー氏はトランプ氏とのやり取りをメモにしており一部のFBI高官らと共有。ニューヨーク・タイムズ紙はコミー氏周辺からメモ内容を聞き取ったとしており、長官解任に憤りを感じた高官がリークした可能性が高い。司法の独立性が問われる中、捜査の指揮官に選ばれたのが、コミー氏の前任のFBI長官だったモラー氏だ。2004年には令状なしの通信傍受を巡り、ブッシュ政権と対立したコミー氏(当時は司法副長官)を擁護しており、「戦友」とも言える間柄だ。
「いかなる圧力にも屈しない」(元FBI高官のフィリップ・マッド氏)とされるモラー氏を起用することで司法省は毅然(きぜん)とした態度を示し、「政権対司法」の構図がより鮮明化した格好だ。モラー氏の任命について、司法省はホワイトハウスに相談せず、直前に通知したという。
ロシア疑惑は最近、ニクソン元大統領が辞任に追い込まれた「ウォーターゲート事件」をもじり、「ロシアゲート」とも呼ばれる。真相解明に向けて、モラー氏は捜査のメスを入れるが、難航しそうだ。
現時点で最も注目されるのが、フリン氏が就任前に駐米ロシア大使と接触し、対露制裁について協議したとされる疑惑だ。私人が許可なく外交交渉を行うことを禁じるローガン法違反の可能性があるが、この法律の違憲性を指摘され、適用は難しいとの声もある。
捜査の過程で、トランプ氏がコミー氏を解任したことが「司法妨害」と証明されれば、大統領本人の不法行為が問われることになる。民主党は弾劾・罷免も視野に入れるが、トランプ氏が否定を続ければ水掛け論になる可能性もある。
弾劾・罷免には下院の過半数の賛成で弾劾訴追を決定後、上院で行われる弾劾裁判で3分の2以上の同意を得る必要がある。上下両院共に共和党が多数派で、捜査での立件同様、議会での弾劾もハードルが高い。
市場、停滞感に嫌気
特別検察官の任命は、税制改革やインフラ投資などトランプ政権が掲げる公約実現を一段と遅らせる可能性が高い。疑惑解消が進まない限り、与党・共和党は関連法案の審議を進められない状況で、政権運営は停滞感が強まっている。
「どんな展開になろうとも、優先課題は独立捜査の進展だ」。ライアン下院議長(共和党)は17日の声明で、特別検察官任命を支持する考えを表明。医療保険制度改革(オバマケア)見直しや税制改革など、公約実現は既に大きく遅れている。米メディアによると、共和党の一部から「ペンス副大統領の昇格」の待望論が浮上しているほどだ。
トランプ政権は支持率が低迷する中、株価上昇と雇用増加が政権運営の支えだった。しかし、17日のニューヨーク市場は株価が急落し、昨年11月のトランプ氏当選以来最大の下げ幅を記録するなど、市場の期待ははげ落ちつつある。
当選以降、税制改革への期待感が株価を押し上げてきたが、実現には関連法案を議会上下両院で可決する必要があり、共和党の結束が不可欠だ。しかし、これまでも法人減税の財源確保策を巡り、党内は一枚岩とは言えない状況だった。政権が「ロシア疑惑」の払拭(ふっしょく)に忙殺されれば、議会との調整どころではなくなる可能性が高い。
市場では「税制改革は越年する」との声が強まるが、来年は中間選挙を控え、与野党対立の激化が予想されるため、「今年できない改革は来年もできない」(国際金融筋)と突き放した見方もある。
米経済そのものは堅調で、雇用情勢の改善も続くとみられる。ただ、一部には変調の兆しもある。
トランプ氏は国内雇用確保に向け自動車大手に圧力をかけてきたが、新車販売が頭打ちになる中、フォード・モーターは17日、アジアと北米で従業員を1400人削減する計画を表明。ゼネラル・モーターズ(GM)も雇用減を予定しており、トランプ氏が誇ってきた「成果」は一部で崩れつつある。
疑惑の連鎖が議会との溝を深めて公約実現がさらに遅れ、一段と求心力を落とす悪循環を食い止められるか。トランプ政権にとって正念場になりそうだ>(以上「毎日新聞」より引用)
米国は歴代と比べるまでもなく、異質な大統領を迎えて混乱している。最初はトランプ派と反トランプ派で反目していたが、今では正義か犯罪かで揉めている。
いうまでもなく、大統領選で反対派のヒラリー陣営をメール問題で攻撃するロシアからのハッキング攻撃で漏えいした情報でトランプ氏が攻撃したことだ。それは大統領選で他国が、とりわけ敵国が介入したという由々しき問題だ。
翻って日本を見ると、森友学園や加計学園という安倍氏の個人的な友人が「特別」の計らいを受けていた、という疑惑が浮上して国民の政治に対する信頼が揺らいでいる。国政だけではない、オリンピックや豊洲移転に見られる都政までも「利権」の巣窟でうごめく政治家たちの醜態が明らかになっている。
すべては選挙で選ばれた人が政治を行う民主主義の仕組みで、選挙に勝ちさえすれば良い、という倒錯した価値観で動く薄っぺらな人物が勝利して主要な地位に就いたことが原因だ。
民主主義を支えているのは情報の開示だが、その情報が世論操作に使われているのが現実だ。ブームを煽れば新聞が売れ、週刊誌が売れて、テレビの視聴率が上がってマスメディアが儲かる、という構図がある。そのために少々無理筋であろうと世論を煽る情報操作をした方がマスメディアは儲かる。
格好の例が「北朝鮮の脅威」だ。政府とマスメディアは煽ったが、現実の北朝鮮の日本に対する脅威は数年以上も前から存在していた。通常弾頭のミサイルが日本海側に乱立する原発へ向かって発射されれば日本は終わる。そうした事実は報道しなかったが、米国本土が射程に入るICBMを開発しているのが「脅威」だと騒ぎだした。安倍氏も繰り返し「脅威に対して断固非難する」と発言した。
それは何かを隠すための猿芝居に過ぎない。安倍氏の公私混同に官僚たちが「忖度」して政治を歪めている。「共謀罪」という国民・世論を操作しやすいようにする脅しの道具を権力者に付与するだけの法律を制定する政権は反・国民政権だ。
トランプ氏は米国をどこへ導こうとしているのか、ただマスメディア批判を繰り返して国家を混乱させているだけだ。まさに素人政治家が民主主義により大統領になった。その背景にあるのは米国の1%支配に嫌気をさした国民の玄人政治家に対する反感だ。
日本はまさしく素人政治家が跋扈して、マスメディアが不必要に煽り立てている。小池都知事は就任以来半年以上も都政を少しは前に進めただろうか。
かつて彼女が指摘したことは正しかったが、あまりに高額な箱モノ建設費はどのような成果を得ただろうか。豊洲市場というスッカラの箱モノが坪単価150万円という建設費は異常だが、異常は異常のまま放置されて、「安全性」といった問題にすり替わり、未だに結論を得ないまま無人の新市場の維持費が垂れ流されている。
政治理念だとか政治哲学とは無縁な連中が広告代理店張りの選挙参謀の振り付けで政治家を演じて選挙に当選しているだけだ。国民・有権者は上っ面のマスメディア報道で選挙という猿芝居に拍手喝采しているうちに素人政治の混乱に巻き込まれている。
安倍氏がいかなる政治理念を持っているのか、国民は聞いたことがあるだろうか。彼は右翼の顔を装った売国奴に過ぎないが、そのことを正面から指摘するマスメディアはない。彼のこの五年間の治世で、一体いかなる成果を国民にもたらしたというのだろうか。
彼が行ったのは「特定秘密保護法」であり「戦争法」であり、そして今度は「共謀罪」だ。対外政策では米国の経済侵略を許す「TPP」法であり、米国艦船の自衛隊艦船による「警護」だ。
これほど日本国民の権利を侵害し、日本国民を戦争に近づけた政権が戦後70年間にあっただろうか。戦後「村山政権」に次ぐ最悪の政権を国民は経験しているが、そうした自覚が乏しいのはマスメディアが正確に報道していないからだ。テレビに毎日のように登場しているマスメディア関係者が安倍氏の「寿司友」だという事実に国民は怒るべきだ。
素人政治家が公私混同して、政権維持のための猿芝居に狂奔している。そうした現実を国民は知るべきだ。