ドローンは宅配の一翼を担えるか。
読売新聞朝刊一面に「ドローン配送 20年代に」という見出しが躍っていた。今後社会のあらゆる面にAI機器が浸透して産業の一翼を担う、という近未来予測に異を唱えるものではない。
しかしドローンに上記記事のような過大な期待を寄せるのはどうか首を捻らざるを得ない。所詮竹とんぼ4個を組み合わせた代物ではないか。それをマイコン制御したところで、空中を浮揚する玩具のようなものに宅配の何を期待するというのだろうか。
そもそもドローンには決定的な欠陥がある。それは航続距離と航続時間だ。強力・軽量バッテリ―として現在存在するのはリチウムイオン電池だが、それは皆さんがノートパソコンでお馴染みの物で、強力な電力を供給するとは思えないしそれほど放電時間が長く持たないのも御存じの通りだ。
機体を浮揚させるには相当なエネルギーを必要とする。竹とんぼを回転させて得る浮揚力は単位時間当たり回転数に比例するが、高速回転させれば電池の消耗も激しく、ドローンではものの10分も連続飛行できない。
時速30㎞で飛行するとしても一分当たり500m、それに上昇と下降に要する時間などを差し引けば、宅配範囲は基地から数㎞範囲に限られる。それなら徒歩で宅配する方がよほど確実だ。
確実というのは、飛行物体に墜落は付き物だということから不確実要素は絶えずある、と覚悟すべきだ。つまり品物が届かない、という事態が頻発することを予測すべきだろう。
ドローン宅配よりもドローン基地に荷物を個々人が受け取りに行く方が現実的だ。そして受け取りに行けない事情のある人が「宅配」という特別サービスを頼むシステムに変更すべきだ。
ドローンは玩具としては面白いが、実務を担わせるほどのものではない。それほど安定性と持続性は今後とも期待できない。それは「小さい」という決定的な機器そのものとしての欠陥だ。