戦争利権屋が仕切る大国の狭間の独裁国家。

<ドナルド・トランプ米大統領が、「北朝鮮攻撃」の準備をほぼ完了させた。中国の習近平国家主席が問題解決に動かなければ、「6回目の核実験」や「ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射」をチラつかせる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対する「斬首作戦」や「限定空爆」にゴーサインを出す構えだ。あわてて北朝鮮制裁に動く、後ろ盾の中国。原子力空母「カール・ビンソン」を中心とした第1空母打撃群など、世界最強を誇る米軍は、正恩体制を殲滅(せんめつ)させるため、どんな作戦計画を練っているのか。

 「無敵艦隊を派遣した。(米国は)空母よりずっと強力な潜水艦も持っている」「(北朝鮮は)間違ったことをしている」

 トランプ氏は11日、経済専門チャンネルFOXビジネスのインタビューに応じ、核やミサイルで周辺諸国を威嚇する北朝鮮を痛烈に批判した。ショーン・スパイサー大統領報道官も「シリアに(攻撃で)示したように、米国の立場を示すため決然と適切に行動する」と記者会見で強調した。

 「無敵艦隊」とは、「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群を指すとみられる。空母には、戦闘攻撃機FA18「スーパーホーネット」や、早期警戒機E-2「ホークアイ」など約90機を搭載し、ミサイル駆逐艦2隻やミサイル巡洋艦も伴う。

 「強力な潜水艦」とは、朝鮮半島周辺に展開したと報じられたロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦「コロンバス」とみられるが、最新鋭のシーウルフ級やバージニア級の攻撃型潜水艦がひそかに配備された可能性もある。いずれも、シリア攻撃でも戦果を挙げた巡航ミサイル「トマホーク」や、対艦ミサイル「ハープーン」などを搭載する。

 これに対し、北朝鮮の機関紙「労働新聞」は、「わが革命的に強力な軍は、敵部隊のあらゆる動きに目を光らせており、われわれの核の照準は韓国と太平洋区域の米国の侵略的基地だけでなく、米国本土にも向いている」などと、徹底抗戦の構えを崩していない>(以上「夕刊フジ」より引用)

 北朝鮮の「瀬戸際外交」が本物の瀬戸際を北朝鮮に招来している。相手は戦争屋が仕切る戦争大好き国家・米国だ。
 どっちが強力で戦争上手かは歴然としている。米国は先の大戦以後、70年以上も途切れることなく実戦を積んできている。

 かたや北朝鮮は国民の大半が飢え、兵隊も日常的に農作業に従事している。頬のこけた兵隊が旧式の戦車や攻撃機を操っている図は滑稽というより悲壮だ。
 唯一核兵器とミサイルだけが頼りの北朝鮮の兵法は付け入るスキだらけというしかない。斬首作戦は金正恩の「首」を獲るのではなく、むしろ軍中枢の指揮系統を破壊する作戦ではないだろうか。

 金正恩に忠誠を誓う軍人が一体何割いるだろうか。恐怖政治ですべての国民を締め付けてきた政権に、軍人たちも少なからず反感を抱いているはずだ。
 軍幹部が金正恩出席の会議で姿勢が悪かったとして処刑されたり、居眠りしていたからと処刑されてはたまらない。米国の攻撃が始まるや、北朝鮮軍は銃口を金正恩に向けるのではないだろうか。

 ソウルは火の海になるか、いやならないだろう。数十発程度の着弾はあるかもしれないが、米国が北朝鮮を攻撃するとすればすべての兵員と兵器を総動員して一斉攻撃を行うだろう。
 38度線に展開している北の砲撃隊にもステルス戦闘機が一斉攻撃するだろうし、軍中枢部にもトマホークの嵐が降り注ぐだろうし、無線通信施設も侵入している工作員が破壊するだろう。何発かのミサイルが日本に飛来するかも知れないが、核弾頭は装備していないだろう。

 しかし北朝鮮の国民はこんなバカげたことに血道を上げる独裁者に国民の富をすべて吸い上げられて、塗炭の苦しみの暮らしを長らく強いられてきた。大国の狭間で翻弄された小国という構図はいい加減にすべきだ。
 日本も中露と対峙する米国の米国のポチ、という構図はいい加減にすべきだ。中露対米国という対立構造があったとしても、それに日本は関わりあうべきでない。戦争屋が仕切る軍事大国の対立構図は戦争屋利権そのものだ。

 古くなった兵器を費用をかけて廃棄する代わりに、戦場で消耗すれば戦争屋は儲かる。だから彼らにとって戦争は周期的に起きた方が良い。しかし戦争利権に無関係の国民が被害を受けるのは理不尽だ。
 理不尽さを糊塗するために安倍自公政権は「美しい日本」だの「日本を取り戻す」だのと空虚な文言を散りばめ、教育勅語を唱えさせる幼稚園を登場させたり「特定秘密保護法」や「共謀罪」などを制定している。それが戦前へ回帰する政治の本質だ。北朝鮮の愚かさと日本政治の愚かさは大差ないといわざるを得ない。


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