行き過ぎた自由貿易は国家の主権を侵害する。

<欧州連合(EU)は9日から開く首脳会合で、自由貿易協定(FTA)を一段と活発に締結する方針を表明する一方、保護主義を排斥する姿勢を示す見通しであることが明らかになった。

首脳会合後に発表される声明ではトランプ米大統領は名指しはしない見通し。ただEU首脳が発するメッセージは、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決定し、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を表明したトランプ氏の方針とは対照的なものとなる。

声明草案によると、EU首脳はカナダとの包括的経済貿易協定(CETA)を欧州議会が承認したことに歓迎の意を表明。これは「保護主義的な傾向が再び台頭しつつある時に」明確な動きとなるとし、EUの執行委員会である欧州委員会に対し現在進められている新たな自由貿易協定の交渉を「断固として」前進させるよう提案する。

また、不当廉売や不公正な政府助成に対する課税を呼びかける。

EUが現在進めている交渉のなかでは、日本との協定が最も妥結に近いと見られている。EUはまた、メキシコとの貿易協定の改正に向けた協議も加速させているほか、メルコスール(南米南部共同市場)加盟国との交渉も優先的に進めるとの姿勢を示している>(以上「ロイター」より引用)

 自由貿易協定は国境を越えた「ヒト、モノ、カネ」の自由な往来を保障するが、地域格差や経済格差を拡大するという副作用を持つ。そればかりか国家主家化までも侵害される、ということは米国と自由貿易協定FTAを締結した隣国韓国を見れば明らかだ。
 韓国は米国基準に合わない国内企業保護政策などに関連する法律をISD条項により70本以上も改定させられた。おそらくTPPを米国が承認したなら、さっそく「軽基準」の廃止や「減反政策」などの農業政策などもISD条鋼で提訴され、莫大な損害賠償金を日本政府は支払わされた上に法律改定を余儀なくされただろう。

 それのみならず、「非関税障壁」ということで日本国内での商談もすべて英語で行うべきとされ、すべての契約書や約款なども英語表記を「標準」とされただろう。
 日本の主権が大きく侵害されるだけでなく、日本文化なども規制されることになっただろう。そうした「単一化」が究極の自由貿易主義者が目論む世界の姿だ。EUも現在は通貨統合から国家主権を統合政府へ移行させて各国の主権を制限する方向に移っている。そうした各民族の「伝統」と「文化」の「単一化」をEU参加諸国は何処まで許容するのだろうか。

 金子みすゞの詩ではないが「みんな違って みんないい」というのが本来のあり方ではないだろうか。しかしそれでは瞬時に世界を移動する投機資金を運用する投機家たちには不都合だ。世界の金融や政府や社会がすべて同じで、手続きや仕組みがすべて同じなら電子機器で瞬時により有利な市場へ投機資金を移動させたり、資金の引き上げや投機により一国の金融市場を自在に操れて短期最大利益を手にすることが出来る。
 つまり自由貿易を提唱している連中は、そうした世界を構築しようとしているに過ぎない。すべての国の国民は自分たちが登記する金融市場を構成する働きアリ以下の無視すべき存在に過ぎないのだ。搾り取っても良い、弱肉強食の世界が彼らが求める「自由」なのだ。

 そうした索道に私は組しない。それぞれの国にはそれぞれの国民が最大「幸福」を求める権利を有している。外国との貿易は国家にとってすべてではない。
 まずは「国民の生活が第一」の政治が国家主権の下で実施され、その上で相手国の事情も交渉で十分に織り込んだ相手国の主権を侵害しない範囲で貿易を行うべきだ。必要以上の「自由」は多くの国民に取って「不自由」でしかない。「軽基準」は日本国民の多数が必要としているが、米国の自動車企業にとって「非関税障壁」でしかない。しかし本来は国内政治に貿易相手国が嘴を挟むのは「主権侵害」でしかない。そうした常識ある判断を狂わせる魔力が「自由」という言葉にはある。用心すべきだ。


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