まさに「福島を忘れた」判決だ。

<約60世帯が暮らす同地区は、若狭湾に面した内浦半島の中ほどに位置し、半島の根元に原発がそびえる。原発の定期検査などで多くの作業員が地元民宿に泊まるなど一定のメリットもあり、原発に批判的な声は少なかった。地区は40年以上原発と共存してきた。

 児玉さんは高校卒業後に旧国鉄に入社。大阪での勤務を経て、家業の民宿を継ぐため23歳で地元に戻った。43歳から9年間町議も務めた。従来から原発に批判的だったためか、児玉さんの民宿に泊まる作業員はおらず、「釣り客や宿泊客に手紙を書くなど、経営努力を続けた」という。

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故で、地区住民の意識は一変する。地区につながる陸路は原発脇の県道しかなく、事故の際の避難に不安が残る。昨年6月に老朽化した1、2号機の運転延長が決まったが、関電からは十分な説明がなく、住民の不安は不信に変わった。昨年12月、同地区自治会は運転延長反対の意見書を採択した。児玉さんも意見書作成に関わった。今年1月には、2号機敷地内でクレーン倒壊事故が発生。2週間以上たっても地区で説明しない関電に自治会が質問状を送った。

 意見書採択が毎日新聞で報道されると、地区外の住民らから「関電や町から、有利な条件を引き出すために意見書を出したのでは」と揶揄(やゆ)する声も聞こえてきた。児玉さんは「長年、原発が落とすお金に周辺地域全体が依存してきたから、そんな発想が出てくる」と話す。

 今回の決定で3、4号機の再稼働が確実になり、反対してきた1、2号機の再稼働もその後に控えている。児玉さんは失望を隠さない。「これでは、町は原発依存体質から抜け出せない」

 大阪高裁前には運転差し止めを求める住民ら約100人が集まった。午後3時すぎ、決定が伝わり、住民側弁護士が「不当決定」「住民の願いに応えず」などと書かれた紙を掲げると、大きなため息が漏れた。「何考えてんねん」「けしからん」。怒りをあらわにした住民らは「福島を忘れた高裁決定反対!」と叫んで拳を突き上げた>(以上「毎日新聞」より引用)


 福島第一原発事故の教訓は何処へ行ったのだろうか。あの日まで原発関係者のみならず、原発の広告塔になった学者や文化人や芸能人の誰一人として原発が放射能漏れ事故を起こす、とは想定していなかった。

 原発安全神話を作り上げるのに全面協力し、国民の頭から「放射能被爆」の恐怖を払拭していた。しかし現実は福一原発はメルト・ダウンして膨大な放射能を噴出させた。


 その現実を一顧だにせず、勝手な「安全基準」を策定して、「安全基準に照らして」安全だから安全だ、という同語の繰り返しという全く非論理的な根拠で再稼働の強硬を是認する判決を下した。何という愚かな判事だろうか。

 人知は絶えず超えられる、という真理をなぜ問わないのだろうか。核はいったん暴れだすと手が付けられない、ということは福一原発事故で学習したはずだ。

 事故後六年経っても核燃料の所在すら掴めていない。二年前に安倍氏がアルゼンチンのオリンピック招致会議の場で「放射能は完全にブロックしコントロールしている」から日本は安全だ、と大見得を切ったが、未だに汚染水は海洋へダダ漏れで、壊れた原子炉からは高濃度放射能が濛々と舞い上がっている。


 嘘まみれの「廉価な発電装置」だという刷り込みで、原発の優位性を未だに語るバカな評論家がいるのは驚きだし、原発再稼働を勧める原子力規制委員会のいかがわしさにはウンザリだ。

 この国の司法は死に体だ。憲法を守り多くの国民の利益のために働くべき司法が原子力ムラの下請けに成り下がっている。何と酷い判決だろうか。



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