金融危機が秒読みとなった中国の「元」

<中国の外貨準備高が約6年ぶりに節目の3兆ドル(約336兆円)を割った。

 中国人民銀行(中央銀行)は人民元の下落を食い止めようと必死だが、中国経済の成長鈍化に加え、中国への不満を隠さないトランプ政権の発足もリスクとなり、資本流出が加速している。人民元相場の管理はますます難しくなっている。

 ◆介入継続
 中国の外貨準備が減少を続けているのは、人民銀がドルを売って元を買う為替介入を重ねてきたからだ。人民元安が進むと、輸入品価格の上昇でインフレが起きやすくなり、インフレを抑えるために金利を上げると、借金のある企業や個人にとって打撃となる。

 「外貨準備の減少を防ぐため、人民銀は介入をやめるべきだ」と指摘する識者もいるが、人民銀の易綱(イーガン)副総裁は「マイナスよりもプラスが大きい。外貨準備は使うためにある」と意に介さず、今後も介入を続ける方針だ。

 外貨準備は本来、金融危機などで外貨建ての借金返済が滞る事態に備えて蓄えるものだ。みずほ総合研究所の玉井芳野氏の試算によると、中国の外貨準備の適正水準は1・7兆ドル(約190兆円)で、3兆ドルを切った現在でも介入の余力は十分にある。ただ、「元安圧力は強く、大規模な介入を続ければ、1年ほどで適正水準を割る可能性もある」(玉井氏)という。

 ◆「逆効果」
 人民元安の背景には、深刻な資本流出がある。ロイター通信などが伝えた国際金融協会(IIF)の統計によると、2016年の中国からの資本流出額は、前年比約500億ドル増の7250億ドル(約81兆円)と、過去最大となった。

 中国当局は1月、資本流出を防ぐため、企業が海外に送金する際の手続きを厳格化するなど新たな規制を発表し、海外市場でも投機抑制策を強行した。こうした施策は、「中国が目指す人民元の国際化が後退した」(大和総研の斎藤尚登氏)との受け止めを招き、自由な取引が制限される中国市場から投資家が資金を引き揚げる逆効果を生みかねない>(以上「読売新聞」より引用)

 中国の外貨準備高が3兆ドルを切ったという。凄まじい勢いで外貨が中国から流出しているが、まだ3兆ドルも保有しているではないか、と楽観的な人もいる。
 しかし中国の外貨は中国企業が営々として築き上げたものではない。大半は外国企業からの直接投資や、その外国企業が稼いだ外貨だ。

 直接投資した外貨とは例えば日本企業が中国に工場を建てようとすると、まず円をドルに換えて中国に持ち込み、中国当局がドルを「元」に両替する。その減で現地の地役権や「合弁」株式投資や資材調達などをして工場を建設する。
 だから撤退する場合にはその逆で、中国で稼いだ企業利益や資産売却益などを「元」からドルなどの外貨に両替して撤退する。しかしその外貨両替が去年から金融機関窓口で厳しく制限されている。

 いわば外国企業が直接投資した外貨は「敷金」のようなもので、撤退する時には速やかに清算して支払うものだ。その外貨が3兆円を割ったというが、まだ巨額な外貨準備がなければならないはずだ。
 しかし中国の金融当局が3兆円を切ったという外貨を何で保有しているのか明らかにされていない。いや、あるいは中国国営のゾンビ企業に注ぎ込んで消費したのか、あるいはアフリカなどに投資して、回収不能になっているのか。実態は不透明だ。

 中国が貿易で莫大な利益を溜め込んでいる、と考える向きもあるかもしれないが、輸出企業の半分以上は外国企業だ。外貨が入ってきたとしても、中国の金融当局が自由に外貨を使ってしまっては外国企業が外貨を引き出そうとしても無いことになる。
 そうした事態に中国の金融当局は陥っているようだ。口座残は3兆円を切ったところでも、既に実際の残高は殆どないのかも知れない。

 そうだとすると、どうなるのか。外貨決済が出来なくなりデフォルトにならざるを得なくなる。実際に「元」の暴落に備えて中国から投資を撤退させる動きが激しくなり、中国金融当局は「元」の買い支えに必死になっている。
 「元」が暴落すると「円」が買われて高騰し、日本「株」が下落する。アベノミクスの決定的な終焉を迎えることになる。米国に50兆円も投資して70万人もの雇用を創出する、売国政策を安倍氏がやっている場合ではなくなる。ノンビリとこの週末にはトランプ氏とフロリダでゴルフをやるそうだが、果たして能天気にコースを回っている暇があるだろうか。


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