地域の活性化には派手なイベント誘致よりも地道な製造業の育成の方が効果的だ。

<大阪府が2025年の誘致をめざす国際博覧会(万博)の誘致委員会のトップに、経団連の榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)が就く見通しとなった。複数の関係者によると、榊原氏は府から非公式に打診を受けており、松井一郎知事らから正式な要請があれば、受け入れる方向だという。

 府や関西の経済界は、経団連会長がトップに就任することで、全国規模での企業の協力を得たい考えだ。

 誘致委は、企業が中心となり、府や大阪市など地元自治体も参加する。開催地を決める博覧会国際事務局(本部・パリ)の加盟国にテーマを説明し、支持を取り付ける活動の中心となる。経費負担の調整や機運を盛り上げるイベントの開催なども担う見込みだ>(以上「朝日新聞」より引用)

 経団連トップが2025大阪万博の誘致会長に就任する見通しだという。この頃の経団連トップは首相の世界漫遊に随員として同行して商売展開していると思ったら、今度は行政と組んでイベント屋の片棒を担ごうというのだそうだ。
 本来なら経団連は経営者団体として企業経営に必要な「産業道路」の建設や「港湾や荷卸し設備」の拡充を政府や地方自治体に求め、その代わりに雇用を拡大して地域経済や国家財政に寄与するもののはずだ。それが「地域や国家のお役に立つ」という観点が抜け落ちたような団体に変貌したかのようだ。

 企業が存続するためには収益を上げることは必須条件だ、というのは指摘されるまでもない。しかし日本国民が貧困化し総需要が不足に陥って企業発祥の地の日本が後進国並みの個人所得に転落しても良いということにはならない。
 企業経営者や投機家たちさえ巨額の富を手にすれば良い、というのでは経営者倫理に悖る。地域とともに従業員とともに発展する、というのが企業本来のあり方のはずだ。

 行政もお祭り騒ぎを演じて、その場限りの賑わいを創出すれば良いというものではない。また、消費だけのサービスを提供して人が集まりさえすれば地域が活性化する、というものでもない。
 健全で継続的な地域の発展のためにはモノ造り産業が必要だ。原材料に付加価値をつけて製品を製造し、人々の暮らしを豊かにする製造企業が地域の基幹産業であるべきだ。カジノを誘致して地域経済を博奕に依存する、という発想は人々の暮らしを豊かにするものではない。博奕という胴元が必ず勝つという必然的勝負により、カジノに集まった他人の痛みを踏み台にして地域経済が潤うというのは不健全だ。大阪はカジノと2025万博で発展する、と現府知事は息巻いているが、不健全そのものだ。

 持続的発展を願うなら、海外へ移転した企業をUターンさせることだ。そのためにUターン減税などとして補助金を支出する必要がある、と同時になぜUターンが必要かを経営者たちや投資家たちに理解して頂かなければならない。
 「焼き畑経営」では長期的、安定的な企業経営は出来ない。「焼き畑経営」とは企業生産性などといった基本的な部門に投資しないで、労働賃金の安いところへ企業を移転させて最大利益を求める経営手法だ。進出した地域が発展して労働賃金が上昇すればその地を捨てて労働賃金の安いところを求めて企業を移転させる経営手法をいう。そうした経営では企業は生産技術の向上や生産性の向上は蔑ろにされ、ついには「焼き畑」で山々は焼き尽くされてしまう、という結果になるのは明らかだ。

 持続的発展のためにも安易な海外移転は企業にとっても長期的に良い結果をもたらすとはいえない。日本の経営団体トップはそうしたことに気付くべきだ。そして経済団体が海外移転させた製造部門をUターンさせて日本国民とともに富を分配しあう、という経営理念を加入企業すべてに取り戻させることが必要だ。万博などといったイベントは打ち上げ花火と同じだ。バッと花火が開いて消えた闇は花火が開く前と比べて一段と暗い。カジノはかえって地域を荒廃させる。そうした負の部分には目を瞑って、それらの誘致に血道をあげる大阪府はどうかしてしまったのだろうか。


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