マスメディアが「自国第一主義」を繰り返し批判するのはなぜか。

 本日の読売新聞は6面全面を使って「「保護貿易主義 世界のリスク」なる若い女性エコノミストの論評を掲載している。執拗に「自国第一主義」が保護貿易主義となり、それは相手国の保護貿易を促して「敵対」を激化していくと論じている。
 ここ数十年の自由貿易が結果として何をもたらし、そして日本も含めた欧米諸国が格差拡大と貧困化に喘いでいるのは「なぜ」なのかを彼女理論理は少しも説明していない。
 そもそも政治は誰のためにあるのか。国家とは誰のためにあるのか、という根本的な「問い掛け」が彼女の論理にはない。

 グローバル化が国際的に共通な「協約」として全世界で同時発効するのなら、それはそれでISD条項さえ除けば良いかも知れない。しかし現行の「自由貿易協定」は地域限定的で、それは域内経済の均衡化とブロック化をもたらしている。
 均衡化は富める域内の労働者を貧困地域の労働者が排斥する流れになり、均一化するために富める地域の労働者を貧困化させている。
 そしてブロック化により協定に参加している国々と協定に参加していない国々との間で不要な軋轢を生じさせている。それこそ第二次大戦前夜のブロック経済圏により日本を排斥した米国の陰謀を髣髴とさせるものだ。

 グローバル化は別段目新しいものではない。現在はパックスアメリカーナが崩壊してグローバル化から米国が手を引いているが、かつてはローマ帝国や元帝国などのように広範囲に統一基準国家を形成した歴史がある。
 日本でも明治維新を迎える前は各藩による地域経済が主体だった。日本全国が経済的にも統一されてたのは明治政府が成立したからのことだ。

 保護貿易が「自由な交易」を阻害する、というのは皮相な発想だ。それぞれの地域は歴史的、地政学的、地理的に異なる。当然文化や慣習も異なる。それらを「自由貿易」圏にして、非関税障壁まで取り除こうとする「自由貿易」は百害あって一利なしだ。
 国の国境をなくして「ヒト、モノ、カネ」の自由な往来を望むのは、日頃から国境が「ヒト、モノ、カネ」の自由な往来を阻害している、と感じている特殊な人たちだけだ。普通に暮らしている国民は国境の存在など誰も気にしていない。

 つまり多国籍業経営者や株主、あるいは投機家たちにとって国境が邪魔なだけであって、国境をなくすための方便として「自由貿易」を掲げているに過ぎない。
 しかし、そのために国民が被る損害は計り知れない。厳にTPP発効前から安倍自公政権はTPP発効以後への備えとして二兆円近くの「対策費」を投じ、国民にも「軽基準」の見直しなどにより軽自動車税が倍以上に引き上げられた。

 TPPを対中封じ込め政策だと論じる愚かな人たちがいるが、決してそうした要素はない。それは米韓FTAを見れば明らかだ。韓国は米韓FTAにより丸裸にされ、国家の金融経済を完全に米国資本に牛耳られてしまっている。日本もそうなりたいのならTPPを推進し、自由貿易の旗を振るが良い。
 日本のマスメディアは第二次大戦後のGHQの検閲とその後の政策に痺れている。「自国第一主義」という極めて当然な主張すら躊躇うような奇妙な風潮が蔓延っている。
 たとえば石油の備蓄にしても日本は153日分もある。それは米国の138日分よりも多いし、中国の16日分などとは比較にならない。昨今は一旦中国と有事になれば、と愚かな発想をする安倍氏のようなネトウヨが湧いているが、有事になって慌てふためくのは中国だ。習近平氏がマトモな判断力を有しているなら、日本を恫喝はするが決して日本を相手に本格的なドンパチは始めないだろう。中国に戦争遂行能力がないことは軍や政府の幹部であればあるほど認識しているはずだ。

 日本は「国民の生活が第一」の政治を強力に推進すべきだ。グローバル化などといった米国の1%のための政治に狂奔する必要はない。トランプ氏が全額基地負担をしないのなら米軍を撤退させる、といえば「どうぞ、お帰りはお早く」といえば良い。
 そして自国防衛に本気で取り組むことだ。財源は米国に与えていた「思いやり予算」がある。少々のことは出来るはずだ。バカ高い米国の兵器を買うのをやめて、日本国内で生産すれば良い。トランプ氏の脅しは日本にとって好都合だ、額面通りに受け取って、そのように実施して頂けばよい。


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