マスメディアの「情報操作」はいつまで続くのか。

<トランプ氏の離脱表明後に開かれた22日の参院TPP特別委員会。古賀之士氏(民進)は「首相は(トランプ氏と)90分会談した。中身や意義は何だったのか、という声もあがっている」と述べ、17日のトランプ氏との会談の成果をただした。岸田文雄外相は「国内手続きを進め(TPP発効の)機運を盛り上げる」と答えたが、発効は絶望的だ。

 日本の「次の一手」は限られる。一つは米国抜きの11カ国で発効させ、枠組みだけでも作っておくことだ。だが、参加国の最大の狙いは対米輸出増にある。安倍首相は21日、アルゼンチンでの記者会見で「TPPは米国抜きでは意味がない」と述べ、否定的だ。

 日本はひとまず国内手続きを完了させ、長時間かけてトランプ氏の翻意を待つ構えだ。しかし、既にベトナムが国内手続きを先送りする中、トランプ氏の発言を受けてTPPが推進力を失うのは必至だ。

 TPPを“塩漬け”している間に、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を進める中国が、アジア太平洋の通商交渉の主役に躍り出る可能性もある。中国の習近平国家主席は21日、ペルーのクチンスキ大統領と会談し、「ペルーとともに、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)プロセスを進めたい」と述べ、アジア太平洋地域を網羅する自由貿易協定(FTA)の構築に意欲を示した。日本はTPPなどを成立させ、貿易総額に対するFTA相手国の比率を、2015年度の約23%から、韓国並みの約7割に引き上げ、新興国市場の成長力を取り込むシナリオを描いてきたが、実現は遠のく。

 一方、トランプ氏が志向する2国間でのFTA交渉には、他国の警戒感が強い。トランプ氏は「国内に雇用と産業を引き戻すような公正な2国間協定に向け交渉する」と述べたが、日本にとっては「米国が農産物などの市場開放を激しく求めてくる可能性が高い」(経済官庁幹部)ため、受け入れがたいシナリオだ。

 日本はTPP交渉にあたり、「米国からの市場開放圧力には新興国などと協力して対抗し、知的財産権保護などのルール作りでは、米国と歩調をあわせて新興国の門戸を開かせる」戦術を取った。2国間交渉で米国の圧力を直接受ければ、TPP以上の譲歩を迫られる。12年に発効した米韓FTAでは、ブッシュ政権時代の07年にいったん妥結しながら、オバマ政権が追加交渉を韓国政府に求め、韓国向けの自動車輸出で譲歩を引き出した。米国が国益をむき出しにした交渉を進めれば、FTAへの他国の支持を失う。国境をまたいだ投資や貿易が細り、経済が停滞する恐れもある>(以上「毎日新聞」より引用)

 トランプ氏の外交貿易戦略は大統領選の中ではっきりと見えていた。彼は大袈裟な表現を用いてメキシコからの不法移民を厳しく取り締まると何度も繰り返していた。同様に、日本に対してはTPPではなく、二国間貿易協議をすると表明していた。
 それにも拘らず、安倍氏はオバマ氏の米国の1%エージェント路線に乗って「グローバル化」をジャパンハンドラーたちを使って操られるがままにTPP承認へと突き進んだ。安倍氏にはトランプ氏が「アメリカ・ファースト」と叫んだのに対して、「ジャパン・ファースト」と叫ぶ気骨も意志も何もなかった。ただただ米国の1%のポチとして、突如として米国民にご主人様のエージェント・ヒラリー氏が大統領選で敗退したため、今も右往左往している。

 改めて指摘するまでもない、TPPは日本の国益のためにあるのではない。それかといって米国の国益のためでもない、ただただ米国の1%の利益のためだけが荒稼ぎするための仕掛けに過ぎない。
 そもそもTPPに当初から「中国封じ込め」などといった役目はなかったし、たとえ奇跡的にトランプ氏が翻意して発効したとしても、中国封じ込めの手段にはなりえない。なぜなら中国はTPPに謳うところの「知的財産権」や「投資の自由化」といった価値観を共有しないからだ。中国は独善的な中国独自の貿易協定を発明しなければ「ブロック化」は出来ないし、中国の提唱する貿易構想に参加する国々は限られる。

 しかし日本のマスメディアの米国の軍産共同体やウォールストリートのエスタブリッシュメントたちが戦後GHQを使って洗脳した集団催眠からいまだに覚醒していない。米国のマスメディアの後追い記事ばかり垂れ流している。
 それでも落選する当日の午前までヒラリー氏優勢を伝え続けてきたニューヨークタイムズはトランプ氏勝利により、自分たちの大統領選報道が誤っていたと素直に反省の弁を掲載した。しかし日本のマスメディアは一社たりともヒラリー氏優勢を伝えていた報道姿勢を反省していない。

 それどころか、日本では新聞だけでなくテレビまで異口同音にトランプ氏を「ポピュリズム」の「大衆迎合」だと批判している。大資本支配の米国の報道機関よりまだ酷いといわざるを得ない。
 なぜ日本で「ジャパン・ファースト」の政治を掲げる勢力が力を得ないのだろうか。「ジャパンファースト」とはすなわち「国民の生活が第一」の政治のことだ。極めて当たり前の政治課題が国民多数に受け入られないのはなぜだろうか。

 米国では主として民主党がヒスパニックや黒人たちの支持を得て、リベラルな政治を推進してきた。過半数を占める白人優先の政治ではなく、少数民族優先の政治が「素晴らしい」ことであるかのように宣伝されてきた。
 オバマ氏の八年間の治世を見るだけでも、中間層が貧困化し、所得格差は拡大し続けている。もはや白人社会は我慢の限界を超えた。「我らの手に政治を取り戻そう」と声なき声の叫びがトランプ氏の勝因だ。

 日本でも労働者の約半数が非正規になっている。しかし賃金に関しては正規労働者も企業収益の分配割合は減少の一途をたどっている。だから連合の組織率も20%を割って久しい。
 労働者がなぜおとなしくなったのだろうか。これほど貧困化しているにも拘らず、なぜ国民大衆は「国民の生活が第一」の政治をすべきだと、素直に叫べないのだろうか。

 安倍氏が世界を漫遊してばら撒くカネはあっても、子育て世代を支援し国民生活を豊かにする政策にカネを出さないのはなぜだろうか。やっと議論が始まった給付型の奨学金が月額3万円を目指すとは、余りに少なすぎて涙が出る。都道府県会議員程度とはいわないが、せめては市会議員の政務活動費程度は出しても良いのではないだろうか。
 未来への投資と考えれば、これほどリターンが確実なものはない。

 昨日も福島沖で地震があったが、そうした自然災害への備えは万全なのだろうか。国際貢献も良いが、「国民の生活が第一」の政治をもっと進めるべきではないだろうか。昨今の政治家たちは国民といえば「給付を減額」し「負担増」を押し付けるものだとしか見做していないようだ。何度でも書くが、既に日本は貿易立国ではない。GDPに占める貿易割合は14%程度でしかなく、六割は国民の個人消費なのだ。個人消費を高める政策を実施ないで、経済成長はあり得ない。まずは国民個々人を富ますことだ。そうすれば税収は自然とついてくる。


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